雨の日に
夕方に近づくにつれ、雨の降りも弱くなり、部活が終わる頃にはしとしとと小降りになっていた。
いつも通り、部活終了後も練習を続けていた流川は雨がやんだのを見計らって帰る事にした。
(今日は歩きだからな…)
自転車でとばせばすぐの距離も、歩きとなると少し面倒くさい。
カバンを肩にかけ、ゆっくりを校舎を後にする。
(やはり、無理してでも自転車でくるべきだったな…)
後悔既に遅し。
流川は疲れた体に鞭打って道を歩いていく。
「……む…」
家路も中盤に差し掛かったところにそいつはいた。
ミャー…
目が金色で体が真っ黒な子猫。
「……」
足を止めて見入ってしまう。
座り込んでこちらにくるよう舌を鳴らすと警戒心など全く感じさせず、足元に擦り寄ってきた。
「お前、野良猫か?」
流川の問いに黒猫は答えないが、ずぶ濡れのままの体と首輪をつけていないところを見ると野良猫のようだ。
母猫らしき猫はどこにも見当たらない。
鞄から使っていないタオルを取り出してゴシゴシと拭いてやる。
黒猫は心地いいのか、ゴロゴロと喉を鳴らす。
(警戒心ゼロ…)
タオルでくるんでそっと抱き上げる。
「……うち、くるか?」
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