甘いのはお好き?


ーー1ヶ月後


三井・宮城・桜木の3人はバレンタインに貰ったチョコのお返しの品を買うべく、駅前に買い物に来ていた。


「なんか野郎が連れ添って買い物とか色気ねぇよな…」

「三井サン、チョコ貰ったんだし、ちゃんと返さないとダメっすよ」

「…ハルコさんに…お返し…ブツブツ…」


1人でお菓子を買いに行く度胸がなかった三名、互いの目的が合致し、駅ビルをプラプラしていた。


「クッキーとか買わねぇから全然わかんねぇな…アヤちゃん、どういうの好きなんだろ」

「ったく、そんなの適当でいいんじゃねーの?」

「アヤちゃんにあげるんだから適当なモン選べないっすよ」

「ミッチー一人じゃ買いにも行けないくせによく言うぜ」

「るせー!てめーは人の事言えんのかよ!」


三人はホワイトデー用のお菓子のコーナーで可愛く包装されたクッキーやキャンディをあれこれと眺めているが、可愛らしいお菓子とは全くの無縁だったので、どれを選べばいいのかさっぱりわからず、ただただ時間を持て余している。


「…あ?あれ流川じゃねーか?」


遠くからでもわかる長身。

テナントの一角に見えるのは間違いなく…


「あれ、ホントだ。あんなところでなにやってんだ?アイツ…」

「ぬ……?」


思わず目を凝らして見るとある店で何かを購入している流川の姿が見える。


「アイツもホワイトデーか?」

「そんなガラかよ」


何か購入し、何か成し遂げたかのように店を後にする流川。


「何買ったんだ?」

「なんか気になるな…」


流川がいなくなるのを見届けてから、三人は彼がいた店の前に足を運ぶ。


「「「…………」」」


流川がいた店の前で固まる3人。


「…芋ようかん?」

「意味わかんねぇ…」

「こりゃホワイトデーじゃねぇな」

「…ふ、キツネがホワイトデーとかそんな知能があるわけないな」


三人が見ている店は芋ようかんが売りの店。

綺麗な黄色の芋ようかんのサンプルが見える。


「見に来て損したぜ。早く選ぼうぜ、ミッチーにリョーちん!」


そう言って三人は店の前を後にした。

……………


「うわっ!この芋ようかん美味しいっ!」

「ワザワザ買ってきたんだ、感謝しろ」

「ん、ありがとう!」




END


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