#14 成長
「もう、終わりか…?流川」
「………」
容赦ない沢北に太刀打ちできない自分。
「アメリカに行きたい」自分と、
「アメリカに行く」相手。
意識の違いとはこれほどまでに違うのか…
そして、こんなプレイヤーが存在したのか…
この瞬間、流川の中で何かが吹っ切れた。
何とも言えない感情。
怒りとも悔しさとも違う。
こんなにコテンパンにやられているのに、この感情…
屈辱感は、なかった。
自分の中でドロドロと渦巻いていたものが何か、見えてきた。
ふつふつと沸き上がる感情。
流川はそれを押さえきれず、表情を変える。
自然と口角が上がった。
「何か」ふっきれた。
(ありがてぇ……贋者じゃねぇ……)
自分でも何と表現したらいいかわからない感情だった。
それは今まで体感したことのない感情だったからだ。
仙道と初めて対戦した時とはまた違う、感情。
「オレもアメリカに行くよ」
「何?いつ?」
「今日……ここでお前を倒して行く」
そう、…お前を倒して、アメリカに行く。
オレの目標でもあるアメリカ。
アイツがいるアメリカ。
そこに行くことがオレのすべきこと。
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