#13 プレッシャー


その後山王は210センチの河田美紀男を投入し、美紀男の身長とパワーで序盤は押されるものの、桜木の持ち前のスピードと運動量で美紀男を翻弄。

34-36の2点リードでIH初出場の湘北は優勝候補山王に対して最高の形で前半を終了させた。


後半-------


あれほど天気がよかった外は黒い雲が覆い始めていた。


『いけいけ山王!!』

『おせおせ山王!!』


山王サイドの力強い応援が響き渡る。

見れば山王の選手は既にコートに並び、湘北を待ち受けている。

その堂々たる姿に王者の威厳を感じる。

--優勝して当たり前

この試合、山王が勝ち、山王メンバーが活躍すると観客のほとんどが確信している。

そんな「期待」というプレッシャーの中、山王メンバーは堂々とコートに立つ。

そしてその山王を倒すべく、湘北メンバーがコートに足を運ぶ。

彼らもまたプレッシャーの中にいる。

「この試合、山王が勝つ」という観客のプレッシャー。

目の前の「山王工業」というプレッシャー。

後半開始前、白熱する観客席とは逆に、コート内は静かな緊張感が流れていた。


『歴史に名を刻め~お前ら!!はい!』

『歴史に名を刻め~お前ら!!』


湘北サイドの応援が野太く響き渡る。


「ヘンな応援…」


相変わらず独自の応援をする湘北の観客に馨はついていけない。

気合い入りまくりの湘北。

しかし後半開始わずか数秒、沢北があっさりとシュートを決める。

3Pシュートだ。


『沢北ぁーー!!』

『スリーだっ!!』


後半開始わずか10秒、山王逆転である。

湘北が最高の形で終わった前半を、あっさりとなかったことにしてしまった。

会場外の黒い雲は大量の雨を降らせている。


波乱の予感ーー


(頑張れ、楓…)





To be continues


2010.02.06
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