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#13 プレッシャー


(にゃろう……)


完全に虚をつかれた流川はメラメラと燃え上がっていた。

あれほどまでに速いとは。

やはり映像で見るのと実際に相手をするのとではまるで違う。

チラリと自分を見た沢北の背中を睨み付ける。


(上等だ……)


流川は仕返しせんとばかりに宮城からボールを要求する。

宮城は「当然だよな」と流川に快くパスを出す。


「そうだ。やられっぱなしはよくねーよな、流川」


『今度は11番!!』


豊玉戦で前評判がある流川に視線が集まる。

次は流川から仕掛ける。

馨の期待も高まる。

どれほどのドライブを見せるのか、2年ぶりの流川の勇姿を見守る。

馨はニヤリと笑う。


「…やり返せ、楓」


フロアの流川はボールを手に持ち、沢北を睨む。

そして昨晩の南の言葉を思い出す。


『奴が高校No.1プレイヤーや』


日本一の高校生になれと言われ今日まで自分を奮い立たせてきた。

そして今、「日本一の高校生」と言われる人物が目の前に対峙している。


『奴を倒せばなれるかもしれへんで…』


キュッ……


「日本一か…」


流川はその眼光を一層厳しくさせる。


ドム!!!!!


フェイクを一切入れず、己のスピードのみで沢北の隙をつく。


「なぬ!!!」


フェイクを入れず抜きにきたのが逆にフェイントとなり、沢北は抜かれてしまう。

リングに向かって高くジャンプする流川を野辺がブロックしようとする。

しかし流川の目に映るはリングのみ。

他は一切目に入らない。


『日本一の高校生になりなさいーーー』


この言葉だけが頭を占める。

一心でボールをリングに叩きつける。

そのダンクは馨の目に鮮明に焼きつく。


「山王が日本一のチームなら…………蹴散らすまでだ」


そう、自分の夢を形にするために、山王を倒す。

流川は自分の思いを改めて認識する。


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