#1 プロローグ
「ねぇ!お兄さんはバスケットボールのプロの選手?」
女の子の急な 大きな声に、男は思わず肩をビクッと肩を震わせてしまう。
「え?ああ、プロではないが……まぁ……昔からバスケはやってて高校ではそこそこ有名だったが……」
「じゃあやっぱり上手い人なんだ!!」
女の子の顔がパアッと明るくなる。
「お兄さんはプロのバスケットボール選手になるの?」
「いや、プロは流石に無理だ。だがな、この近くの高校でバスケ部の監督をやるんだ」
「かんとく……?」
「そうだな…バスケットボールを教える人、と言ったらいいだろうな」
男は続けて言った。
自分の技術を選手に伝えて、いつか最強のチームを作るのだと。
しかし、たった今、バスケットボールをプレイする楽しさを知った二人にはなぜそのような事をするのか理解できなかった。
どうして?
バスケをやらないで人に教えるなんて。
バスケットをする方が断然面白いに決まってるのに…
「ところで君達は兄弟?」
今度は男から質問がきた。
「そうだよ!」
ニッコリと女の子が答える。
「……フタゴ」
男の子が付け加える。
「双子……なるほど。どうりで同じ顔なわけだ…」