#7 それぞれの夜


…別の場所


(凄かったな……あいつ…)


宮城は自室の机で肘をついていた。

顎を手に乗せ、今日の馨との1対1を思い出していた。

インターハイ予選やインターハイで屈指のPGと対峙してきた宮城。

藤真、牧、深津とのプレイが頭に浮かぶ。

サウスポーでシュートのタイミングが合わせづらい藤真。

ガンガンゴール下に突っ込んでくる「攻め」のPG、牧。

派手さはないものの、最強山王を確実にまとめあげた、深津。

馨は「ガード」だかPGではなかった。

SGのようだが……

ドリブルのうまさ、パスワークのうまさ、足の速さ。

PGになったら面白いのに…


(だとすればプレイスタイルは藤真タイプか?)


周りを生かし、うまくかき回して、隙あらば外からも打てる。


(いや、仙道タイプか??)


……


(まぁ、どっちでもいいか…)


やれやれといった表情で、背もたれに上半身の体重をかけ、息を深く吐き出す。


(それにしてもアイツ、中まで切れ込んでくる回数が極端に少なかったな……流川と同じでガンガン突っ込んでくるヤツだと思ったんだけどな…)


試合中の違和感は宮城も感じていた。

だからこそ最後に流川にパスをして1対1になるように仕掛けたのに…

(中に入り込めない理由でもあるのか…??)


だとしたら何が理由なのだろう。


(それとも、ただ単にプレイスタイルが違うだけなのか?)


司令塔という立場からか、思わず分析し、考え込んでしまう。


「う~む…」


ふと机の上の写真立てに目に止まる。

凜とした表情の彩子がひっそりと微笑んでいる。


(アヤちゃん…)


「はっ!!オレとした事がアヤちゃん以外の女の事を考えるなんて!!!」


ガタッと椅子から立ち上がり、「ゴメンね、アヤちゃん」と写真にチュッとキスをした。





ゾクリ


「………!!悪寒が…風邪かしら」


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