#1 プロローグ
「このリングは大人用の高さだ。入らなくても無理はない」
十数球ボールを放った所で男は見かねてふぅっと息を吐き、なだめるように口を開いた。
ボールを持ったまま悔しそうにしている男の子の眉間のしわが彼の心境を強く表していた。
「君達は小学生くらいか?」
「……年長」
「来年小学生か……」
男は少し考えたあと、再び語り掛ける。
「小学校の体育館にコレと同じものがあるはずだ。高さもこれより低い。君達はそこから始めるといい。」
「む…」
「小学校にも同じのがあるの?」
女の子は少しワクワクした顔になる。
それを見た男はまたニヤリと笑った。
「ああ、あるとも。」
「ねぇ!小学校で一緒にバスケットボールしようよ!そうしようよ!」
「………」
男の子は黙ったまま、返事をしなかった。
が、答えは目を見ればすぐわかった。
両手で持っているボールに力が入っている。
男は再び男の子の前に片膝を付き諭すように言った。
「ボールもこれより小さい。いきなり大人用のボールでは君には扱いにくいだろう。だがサイズが変わればもっと扱い易くなるはずだ」
「……」
「自分の体に合ったもので練習すれば、きっと上手くなる」
「……上手く?」
十数球ボールを放った所で男は見かねてふぅっと息を吐き、なだめるように口を開いた。
ボールを持ったまま悔しそうにしている男の子の眉間のしわが彼の心境を強く表していた。
「君達は小学生くらいか?」
「……年長」
「来年小学生か……」
男は少し考えたあと、再び語り掛ける。
「小学校の体育館にコレと同じものがあるはずだ。高さもこれより低い。君達はそこから始めるといい。」
「む…」
「小学校にも同じのがあるの?」
女の子は少しワクワクした顔になる。
それを見た男はまたニヤリと笑った。
「ああ、あるとも。」
「ねぇ!小学校で一緒にバスケットボールしようよ!そうしようよ!」
「………」
男の子は黙ったまま、返事をしなかった。
が、答えは目を見ればすぐわかった。
両手で持っているボールに力が入っている。
男は再び男の子の前に片膝を付き諭すように言った。
「ボールもこれより小さい。いきなり大人用のボールでは君には扱いにくいだろう。だがサイズが変わればもっと扱い易くなるはずだ」
「……」
「自分の体に合ったもので練習すれば、きっと上手くなる」
「……上手く?」