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#6 まだ秘密


「いやぁ、いい試合でしたよ」


安西が整列しているメンバーに歩み寄る。

そして宮城に視線を向け、にこやかに話しかける。


「宮城くん」

「あ、はい!!」

「馨さんとのマッチアップはどうでしたか?」

「…!」


宮城はピクリと反応し、真剣な顔つきになる。

安西は宮城のその反応だけで答えを読み取った。

…いい相手だった、と。


「ふむ……では、桜木くん」

「ぬ?なんだよオヤジ」

「馨さんのボールさばき、見ましたか?あれは基本がしっかりしている、その賜物です」


安西の眼鏡が光る。


「キソ……」

「それと今日の桜木くんのブロック、…君はもっと跳べるはずです」

「ぬ………」


背中のケガの影響で、桜木のジャンプは山王戦のそれと比べるとはるかに劣っていた。

ケガの痛み、1ヶ月近くのブランク、そして無意識に背中をかばってしまう事で、本来の力を出せずにいた。

桜木自身、それは身に染みていた。


「当たり前だ、オヤジ」

桜木の目がギラリと光る。


(ルカワになんぞ負けてたまるかってんだ!)


それを見て安西がニコリと笑う。


(そう……それでいい…桜木くん)


そして視線を馨に移す。


「それと…馨さん」

「…!はい!」


まさか自分に声がかかるとは思わず、少し驚いてしまう。


「君は明日から、毎日バスケ部にくるといい」

「………」

「君ももっと高く跳べるはずですよ」

「………!!」


馨は驚いたように目を見開く。

この人は何者だろう。

全てを見透かしているような…


「ちょ、ちょっと待ってください、安西先生!」

「ん……?どうしました?三井くん」


突然声を上げる三井に安西の顔は不思議そうだ。


「いや、あの、今のって…」


『君は明日から、毎日バスケ部に来るといい』


この言葉に何か引っ掛かるものがある。


「ああ…、その事ですか……。馨さんは明日、湘北に転校してくることになってるんですよ」

「なっ………」

「「「なにいいぃぃ!!??」」」


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