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#6 まだ秘密

流川が馨の近くでボールを受け取った。

馨と流川の1対1になることは誰の目から見ても明らかだった。

身長差は22センチ。

完全にミスマッチだったが、誰も手を出さなかった。


(………)

(………)


お互い睨み合う。

体育館は不思議に静まりかえり、二人の対決を見守った。


(止められるか…?私に…この身長差で…)


自分よりはるかに大きな相手。

この気迫。

鋭い視線。

飲み込まれてしまいそうになる。

圧倒される馨に流川が静かに、低く声をかける。


「……馨」

「………」

「……かかってこい」

「………!」


両者無表情。


『ーーかかってこい』……


(……止められるか?できるのか?私に…前はできた。今は、できるか?)


冷静になっているつもりだが、色々と余計な事を考えてしまう。


(…集中しなくちゃ!!)


迷う馨に流川は容赦しない。


「………いくぜ」


ダムッ!!!


「!!!」


フェイクなしの鋭いドライブ。

あっという間に抜かれてしまった。


(…くそっ!!)


馨はすぐ後ろを追いかける。

流川はそのままの勢いでリングに飛んだ。


「ふんぬーー!!ルカワ!!」


ゴール下にいた桜木も飛ぶ。


「キサマにダンクなどさせん!!」


馨は流川の隣にいて、二人のジャンプを見るのみだった。


(…くっ!!)


…ダメだ……

…トベナイ…

…コワイ…


馨は跳べずにいた。


ガツン!!!!


流川は桜木の上からダンクを決めた。


「凄い!流川くん!!」

「くそう!キツネめ!!」

「………」


流川のダンクが炸裂したところで試合は終了した。

中央に整列し、桑田がその間に立ち試合終了の合図をする。


「24ー21で赤の勝ちです!」

「「「ありがとうございました!」」」

(………)


その中で馨の顔は少し雲っていた…


(…やっぱり飛べなかった…)


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