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#5 違和感

宮城と馨の1対1はその後も続いた。

お互い抜きつ抜かれつの攻防。

互角だった。

馨はフリーになった味方にすぐさまパスを出し、得点に繋げる。


「あのリョータと互角にやり合えるなんて…すごいわ」

「ホント!上手く相手を引き付けてパスしてますね!」

「ボールの扱いも上手いな」

「……う~む」


馨を褒める3人に対し、赤木は馨のプレイを見て考え込んでいる。


(…何か引っ掛かる…)


何か引っ掛かるのは赤木だけではなかった。

安西と流川も馨に違和感を感じていた。


「………ふむ」

(………やっぱり、アイツ、おかしい…)






安田から馨にボールが渡る。


「また1対1!」

「リョータ!止めなさい!」

「おう!!」


宮城は彩子の声援に応えたあと、グッと腰を落として馨と睨み合う。


(流石だぜ…この上手さと速さ、流川の言うとおりだ。) 


お互い視線を動かさない。


(…なんだか本当に流川と勝負してるみてぇだな…)


身長は自分とほぼ同じ。

速さも強さも申し分なし。

相手にするには不足はない。


(でもな、負ける訳にはいかねぇんだ!!)


宮城は自分に一層の気合を入れる。


…ピクッ


馨の手が僅かに動く。


(フェイクだ!)


宮城の読みは当たっていた。

フェイクに引っかからず馨のドライブに食らい付く。


(いかせねぇ!)


走り出した瞬間、馨は急ストップ。


キュッ!


「!!」


宮城のマークが一瞬外れる。


(またパスか!?)


しかし次にきたのはパスではなく……


「3Pだ!!!」


馨は両手でボールを打つ。


「リバウンドーー!」


手から放たれたボールは高く高く弧を描き……

パツンと音を立ててリングをくぐった。


「キャーーー!すごい!」


晴子が思わず声を上げる。


「外からの攻撃も上手くなってるわね!」


彩子も自分の事の様に喜ぶ。


「うむ……ただ、外だけだな…」

「お兄ちゃん!」


赤木は腕組みをして話し始めた。


「宮城とのマッチアップを見ればオフェンス力が高いのがわかる。パスワークも上手い。外からもシュートが打てる。」


赤木は冷静に馨のプレイを分析する。

流石は湘北の大黒柱だ。


「ただ、中がないな。」


そう。馨のプレイは外のみだった。

宮城のディフェンスで中に切れ込む事はあったが、攻撃は外からだけだった。

パスも、シュートも、外からの攻撃。

攻撃のために中に入る事はなかった。


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