#5 違和感

試合形式の練習はあと後半を残すのみ。

馨は流川とは違うチームに入る事になった。

馨は準備の為、一人体育館の隅でバッシュの靴ひもを結んでいる。


「どうしたの?晴子ちゃん、暗い顔して」

「彩子さん…急に練習に参加してほしいなんて、私、悪い事言っちゃったかな…」


言い出しっぺの晴子は、まさか馨が真剣な表情で断りを入れてくるとは思わなかったので、自分の発言を気にしていた。


「大丈夫よ。練習が始まれば、あの子はきっと気にせずプレイすると思うわ」

「そーですよ!ハルコさん!気にすることないですよ!」


桜木がストレッチの途中で割り込んでくる。


「いいからストレッチしてなさいっ!!」


本日背中の調子がいい桜木も試合に参加できる事になった。

練習とはいえ久々の試合、ストレッチに気合いが入りまくる。

馨もバッシュを履き終え、右腕の肘の下の位置に黒のリストバンドをつけ、準備運動を開始した。


「ポジションはガードだってよ。楽しみだな」


同じガードである宮城の期待は高まっていた。


「中学まで流川と練習してたんだろ?結構上手いんじゃないのか?」


三井が冷静に分析をする。

中学まで流川とバスケをしていたという未知数の人物のプレイはやはり気になる。

技術は?

足の速さは?

一体、どんなプレイスタイルなのか…

相手は女性といえども、そこは「流川楓」の姉。

気になるのは当然だ。


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