#4 2年間
「そうだ!馨さんも試合に参加してみたら?」
ハーフタイムで休憩中、晴子がいきなり考えもしなかった提案をした。
「そうよ!アメリカでもバスケやってたんでしょ?中学の時も上手かったんだから…やってみたら?」
彩子がすぐさま晴子の提案に乗ってくる。
「え?」
馨は思いもよらぬ提案に戸惑う。
「いや…、あの…、でも…」
「久々に見たいわ、馨のプレイ」
「でも…」
馨は両手をブンブン振って断るが、彩子は一歩も引かない。
「いや~…でも~…」
馨は渋っているが、話を聞き付けた面々は興味があるとばかりに「面白い」と騒ぐ。
「やればいいじゃないのよ。久々に。昔は流川と一緒に練習してたじゃない」
流川と…?
全員がその言葉にピクリと反応する。
女ながらに流川と一緒に練習していたということは、きっと実力は互角だろうと、部員は益々盛り上がる。
「そんな、無理!無理です!私、女だし、背も165センチで皆さんと比べると小さいし!」
「あら、リョータは168だから問題ないわ」
「ア、アヤちゃん、そんなぁ……」
彩子の鋭い切り替えしに宮城は情けない声を出す。
馨は参ったなとばかりにチラリと流川を見る。
流川は黙ってこちらを見ている。
…黙っているということは試合に参加する事に文句はないようだ。
……でも…
「………そんな、無理ですよ…」
今まで自信に満ちた表情が、そこにはなかった。
流川はそれでも黙って見るのみ。
「…………」
馨は思わずうつむいてしまった。
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