#23 Reset me
一連の様子を桜木をなだめつつ見ていた水戸は、桜木が落ち着いた後、そっと廊下に出て流川の顔を覗き込むようにして正面に立つ。
「よぉ、流川。珍しいな、お前がウチのクラスに来るなんて。しかし、ああも毎度毎度騒がれちゃあ大変だな」
「別に……」
自分の心をお見通しな水戸の発言に軽くドキリとし、後に続く「どうということはない」という言葉を思わず詰まらせた。
既視感を覚えた流川は、「そういえば馨の転校初日にもこんな事があったな」と思い出す。
あの日もキャーキャーと五月蝿く騒ぎ立てる連中に対してイライラしながら廊下を歩いていたところ、馨を教室から引っ張り出してきた桜木を見かけ、その後、水戸と出くわした。
『お前も大変だな……まぁ、俺達に任せておけよ』
あの時も水戸には何も言っていなかったのに、全て知っていたような口振りに息を飲んだ事を覚えている。
水戸とは全くと言っていいほど会話はしていないのに、何故わかるのか……かなり観察能力が高いのだろう。
人の心を、見ているだけで読めてしまうという自分には出来ない水戸の器に、流川は素直に関心する。
一言飲み込んだ分、言葉に詰まった結果になった流川に、水戸は思わずフッと笑う。
「ま、俺からしたら羨ましいけどな」
「…俺からしたらうるせーだけだ」
「ははっ、違いねぇや」
流川がすんなりと返答した事に、水戸は少し驚きつつも何故か気分が嬉しくなった。
無言で返されても仕方ない相手に対して少しでも会話出来ているのは、少なくとも彼に嫌悪感は抱かれていない…そう考えていいだろうか。
試合の度に応援に行っていたが、それを認識されていたということだろうか。
周りの事に興味なさそうでも、薄情な人間ではないのだな、と思う。
そんな水戸も、このクラスに突如やってきた流川の目的は何となく察する事ができた。
「あ、もしかして、お姫様のお迎え?」
「……」
「そう睨むなよ。お前がウチのクラスに来るなんて滅多にないからな、どうしたのかと思ってよ」
「馨を迎えに来ただけだ」
「ふ~ん…」
やっぱり迎えに来たんじゃないか、と含み笑いする水戸に、流川は拗ねたように視線を反らす。
(なんだ、図星かよ…)
解りやすい反応をする流川にだんだん親近感を覚える。
普段は何事にも素っ気ない流川だが、からかうと実は人間味のある面白いヤツなんじゃないかと思った水戸は、思わずプッと吹き出してしまう。
それに気付いた流川は鋭い視線を送るが、喧嘩慣れした水戸にとっては全く怖いものではなかった。
まるで小さな子どもを見ているようで、むしろ可愛らしく感じる程であった。
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「よぉ、流川。珍しいな、お前がウチのクラスに来るなんて。しかし、ああも毎度毎度騒がれちゃあ大変だな」
「別に……」
自分の心をお見通しな水戸の発言に軽くドキリとし、後に続く「どうということはない」という言葉を思わず詰まらせた。
既視感を覚えた流川は、「そういえば馨の転校初日にもこんな事があったな」と思い出す。
あの日もキャーキャーと五月蝿く騒ぎ立てる連中に対してイライラしながら廊下を歩いていたところ、馨を教室から引っ張り出してきた桜木を見かけ、その後、水戸と出くわした。
『お前も大変だな……まぁ、俺達に任せておけよ』
あの時も水戸には何も言っていなかったのに、全て知っていたような口振りに息を飲んだ事を覚えている。
水戸とは全くと言っていいほど会話はしていないのに、何故わかるのか……かなり観察能力が高いのだろう。
人の心を、見ているだけで読めてしまうという自分には出来ない水戸の器に、流川は素直に関心する。
一言飲み込んだ分、言葉に詰まった結果になった流川に、水戸は思わずフッと笑う。
「ま、俺からしたら羨ましいけどな」
「…俺からしたらうるせーだけだ」
「ははっ、違いねぇや」
流川がすんなりと返答した事に、水戸は少し驚きつつも何故か気分が嬉しくなった。
無言で返されても仕方ない相手に対して少しでも会話出来ているのは、少なくとも彼に嫌悪感は抱かれていない…そう考えていいだろうか。
試合の度に応援に行っていたが、それを認識されていたということだろうか。
周りの事に興味なさそうでも、薄情な人間ではないのだな、と思う。
そんな水戸も、このクラスに突如やってきた流川の目的は何となく察する事ができた。
「あ、もしかして、お姫様のお迎え?」
「……」
「そう睨むなよ。お前がウチのクラスに来るなんて滅多にないからな、どうしたのかと思ってよ」
「馨を迎えに来ただけだ」
「ふ~ん…」
やっぱり迎えに来たんじゃないか、と含み笑いする水戸に、流川は拗ねたように視線を反らす。
(なんだ、図星かよ…)
解りやすい反応をする流川にだんだん親近感を覚える。
普段は何事にも素っ気ない流川だが、からかうと実は人間味のある面白いヤツなんじゃないかと思った水戸は、思わずプッと吹き出してしまう。
それに気付いた流川は鋭い視線を送るが、喧嘩慣れした水戸にとっては全く怖いものではなかった。
まるで小さな子どもを見ているようで、むしろ可愛らしく感じる程であった。
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