#4 2年間
「お取り込み中悪いわね」
流川と馨の間に彩子が後ろから声をかける。
「彩子先輩!あの、…ご無沙汰してます」
彩子に声をかけられ、馨は立ち上がり一礼する。
中学で同じバスケ部なので二人は顔見知りだ。
「硬い挨拶はなしなし!ホント、相変わらずそっくりな顔してるわね~。」
見れば見るほどそっくりだ。
彩子はにっこり微笑んで馨の肩をポンポンと叩く。
「事情がどうあれ、貴方がここにいるのは嬉しいわ!ささ、見学に来たんでしょ?そろそろ練習再開するわよ。ほら、流川!アンタもボーっと座ってないで立った立った!」
ほらほら、と流川の背中を押して体育館へ入っていった。
彩子は馨に何があったのか聞かなかった。
本当は聞きたかったけれど、今は湘北というチームを見て欲しかった。
事情はいつかきっと聞けるはずだと…
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