#3 同じ顔

中2の夏、父親の海外転勤が決まった。

場所はアメリカだ。

場所も場所なので、父親だけがアメリカに行く予定だった

…が、馨は自分も着いて行くと言い出した。

俺は止めた。

行く事ないと。

「他人」に言われた事なんか気にする必要などないと。

それでも頑として譲らなかった。



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「私も、行く」

「どうして」

「行く。絶対に行く!」

「…気にしてんのか」

「………」

「あれを…あんな事気にする事はねー」

「………」

「お前と俺は違う。お前はお前だ」

「……それでも……それでも悔しいの!」


馨の両手に力が入るのを見た。

声が泣きそうだ。

馨の意思はとても固かった。

一度やると決めると一直線な馨には俺の声は届かなかった。

行って欲しくなかった。

でも、止められなかった。

悔しいが言葉がでなかった。

親は非常に楽観的で「別にいーんじゃないか?」の一言で馨のアメリカ行きを了承した。

放任的なのか、どあほうなのか…



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