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#22 旅路


試合はアメリカの高校が勝った。

9番の彼はベンチに座ったまま動かないままだった。


「…帰ろっか」


切り出したのは馨だった。


「…残念だったね、サンノウ」

「…うん」


馨は彼のプレイに釘付けになっていた。

何度やられても立ち向かっていく姿が目と心に焼きついた。


(あの人は諦めずにプレイしていたのに、あの日の私ときたら…)


シュートを打とうとして叩きつけられたあの日の試合を思い出していた。

あの日の自分は目の前が真っ暗になって、その後は何も出来なかった。

日本でも同じ事があった。

体が動かなくなってプレイどころではなかった。

でも、あの人はそうではなかった。

何度やられても立ち向かっていった。

だからこそ、彼のプレイから目を離せずにいた。

そして、無意識のうちに自分と重ね合わせて見ていた。


「あれっ?カオル?」


急に後ろから男性の声がかかった。

ここには知り合いなんていないはずなのに、と思うと同時に振り返る。


「あぁ、やっぱりカオルだ」

「えっ、なんで?」


そこには見覚えのある金髪…マイケルが立っていた。


「久し振りだねぇ~」

「久し振りって…マイケル、日本にいるはずじゃ…」


日本の高校に行くと行っていたマイケルが、何故ここにいるのか…


「ホント、せっかく日本に行ったのにねぇ。戻ってきちゃったよ」

まるで他人事のように話すマイケルに馨は驚き半分呆れ半分の眼差しで見るしかなかった。



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