#3 同じ顔
変わっていない。
自分と同じ顔。
その声。
その姿。
そして、
いつも自信に満ちた笑みを浮かべている、その表情。
何一つ変わっていなかった。
彼女に会うのは2年ぶり。
しかし、2年という空白の時間などまるでなかったように、当たり前のように目の前に立っている彼女の姿を見て、不思議と懐かしさは感じなかった。
嬉しいはずなのに。
驚いているはずなのに。
なんでこんなに自分は冷静なんだろう。
…元からの性格なんだろうか。
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「『ルカワ』とは…?」
桜木は何がなんだかさっぱりわからない様子。
周りも固まったままだ。
「そ、私もルカワっての」
彼女は再び意地悪くククッと笑う。
「その顔で流川って名前って事は…」
「身内か?」
宮城と三井が三人に近づいて問う。
「ふふっ」
かけていたメガネをはずす。
「……」
流川は心の中でやれやれと思いながら見つめる。
…コイツはいつもこうやって相手をからかうクセがあるから困る。
相手の反応が面白いらしい。
特にこのような初対面の場合、相手は大概似たような反応をするので、それがたまらなく面白いようで。
ふーっとため息を吐き出した後、彼女を指さして、
「…フタゴ……っす」
真実を勿体ぶる彼女に変わり、先輩に自ら答える。
「「なにぃ!?」」
「指を差すな、指を!」
バシィ!!!
………叩かれた。
自分だってさっきやってたクセに…
叩かれた手が地味にイタイ。
「あ…あぁ、そうよ、馨、あなた帰ってきたの?」
「え?知ってるんですか、アヤコさん」
「だって同じ中学だったもの…!」
彩子の声が段々大きくなる。
「双子」だと暴露されたので黒髪の彼女は口を開く。
「どうも、馨(かおる)です。楓の双子の姉です。よろしく!」
今度は普通に笑い、流川を指さして挨拶した。
「指、差すんじゃねーよ…」
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