#22 旅路


その後、馨は何度もリサと1on1をした。

何度も、何度も。

気づけば日が暮れていて、ゴールの下でソフィアがあからさまに膨れていた。


「私もカオルとプレイしたかったのに、リサったらずるいわ!」


必死に謝るリサはお詫びに馨とソフィアにクラムチャウダーを1杯ずつ奢ってくれた。

馨は今日起こった事をベッドの上で思い出してクスリと笑う。


「美味しかったな、クラムチャウダー」


沢山動いてお腹がペコペコになった時に食べたので美味しさも一層引き立った。

この辺りでは名物だというそのクラムチャウダーは空腹を抜きにしても素朴な味わいにホッとする味わいだった。

久々に思いっきりプレイしたバスケは自分から何もかもを解放してくれた。

今までグルグルと考えていた事がウソだったかのように気持ちが開放的になった。

体の毒気が抜けた気分だった。

本当に気持ちよかった、本当に…

バスケをするってこんなにも気持ちよかったのかと改めて実感することができた。

リサは自分とプレイできて嬉しいと言ってくれた。

ソフィアは自分とプレイしたいと言ってくれた。

大胆に喜びを表現した二人。

むしろ深々と頭を下げてお礼を言いたいのは馨の方だった。

何もできずに立ち止まっていた自分を見つけ出して、バスケをするところまで導いてくれた。

プレイ自体もそうだが、この心の解放感はとてもありがたいことだと、お礼を言いたい。

今はうまく言えないけど、もっとバスケと英語に力をつけたら必ず言おうと決心した。

その時にはこの土地で美味しいものを見つけ出して二人に奢らなければ。

今は忘れてしまいたい、日本でのことは…



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