#22 旅路
「リサ、あなたがいない間に新しいチームが出来たの。私も誘われたんだけど…断ったわ」
「新しいチーム?」
「そう。あ、今丁度来たチームよ」
ソフィアの視線の先には丁度公園に着いたばかりの3人が談笑しながら歩いてくる。
「うわ…」
馨の目がその3人を捕らえると同時に思わず息が漏れた。
「大きいわね…」
「そう。なんでも背の高いメンバーを揃えたかったみたい。だから誘われたの」
遠目でもわかる高身長。
多分、ソフィアと同じくらい。
その身長が3人も並ぶと目に留まらない方が難しい。
(すごい…こんなに大きな人がいるなんて)
さすが本場、と無理やり納得をしてしまうような状況だった。
「背の高い人と組めば面白いんじゃない?なんで断ったの?」
「ちょっ、リサ…」
なんて大胆な質問をするんだろう。
リサとソフィアは同じチームの仲間じゃなかったの?
そんなソフィアに「向こうのチームと組めばいいのに」なんてけしかけるなんて…
もし「それもそうね」とチームを抜けてしまったらどうするつもりなんだろうか。
そう思うと馨は焦るばかりだった。
「まぁ、リサの言うとおり背の高いメンバーで組むのも面白そうだけど…私はリサとプレイしたいしね」
ソフィアはそう言ってリサにウインクする。
「そう言ってもらえてよかった」
リサもお返しとばかりにウインクで返す。
「今はカオルともプレイしてみたいしね」
「えっ!?」
ソフィアのウインクが馨にも向けられる。
「こんな綺麗な黒髪のコとプレイできるなんて…なんだかカッコイイじゃない?」
「カッコイイ…」
カッコイイ、のかな…と照れくさくなって自分の頭をガシガシとかきながらソフィアから視線を反らしてしまう。
初対面なのにそう思ってもらえるなんて考えてもみなかった馨はストレートなアプローチに戸惑ってしまう。
「それとね…」
「?」
ソフィアは視線を「誘ってきた3人」に向けて少し険しい表情になる。
「ちょっと、メンバーが気に入らなくてね…直感って言うか『やだな』って思ったのよね…」
「へぇ…ソフィアがそう感じるなら…断って正解だったかもね」
人間的に何か気に入らなかったのだろうか。
派手な印象はあるものの、そんな感じには見えなかったが…
不思議そうな顔をしている馨に気づいたリサがそっと助け舟を出す。
「ソフィアはね、勘が鋭いのよ」
「勘?」
「そ。第六感っていうの?人の心を読む力っていうのかしらね。それが大体当たっちゃうのよ。だからこそディフェンスもうまいんだけどね」
なるほど、そういう「勘」もセンスの一つであるのかもしれない。
そんな「勘」を持つソフィアに一目で気に入られたのは誇っていいのだろうか。
なんにせよ、嬉しく思う馨だった。
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