#22 旅路
放課後、馨はリサに誘われるがままに校外のバスケットリングにやってきた。
来る途中に「部活動はないの?」と聞いたら、学校にはそういったものはなく、多分日本だけだろうとリサに言われた。
スポーツをやりたかったら学校外のクラブチームに入るか、公園などの広場でやるのだという。
やってきた公園の一角には周りをフェンスに囲まれ、その中にリングがあり、コート以外は青々とした芝で覆われていた。
コートでは既に他の男性グループが3on3を楽しんでおり、彼らが持参してきたであろうステレオからはHIP HOPが大音量で流れていた。
楽しそうな表情でなんの気負いもなくプレイしているものの、跳躍力や技術の高さは圧倒的だった。
そして何より彼らの体格。
近くで見るととても大きい。
小さい頃よく見ていたNBAの試合を思い出し、目の前の光景に息を飲む。
いとも簡単に届くリングは本当は低く出来ているんじゃないかと錯覚する。
そしてなにより、凄いと思うプレイをさも「当然」とばかりに皆がプレイすること。
気軽な雰囲気で軽々と難易度の高い技をこなしていく様は逆に怖さを感じるほどだった。
一つ一つのプレイごとにメンバーから歓声や歓喜の口笛が鳴る。
(これが…本場のバスケ…。この人たちが本気を出したらどれくらいのプレイをするの…?)
馨が目の前のプレイに目を奪われているとポンポンと肩を叩かれる。
「次、私達使っていいって。いつも一緒にやってる友達も来たし、行きましょ」
「…うん」
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