#21 流離人 vol.2


タイムアウトが開け、流川にボールが回るとすかさず四中のメンバーがディフェンスについた。


「……なにっ!?」

「…おい!あのディフェンスって…」


四中のディフェンスに富ヶ丘中の面々は驚きを隠せなかった。


「流川に三人がかり!!!」


四中は流川に対して三人のマークマンをつけた。

四中の「奇策」に長谷監督も動揺し、思わずベンチから立ち上がる。


「流川相手に三人のマーク…。徹底的に流川を抑える気か…!」


一人に三人のマークをつけると他の四人を二人でカバーする事になってしまう。

非常にリスクの高い戦法だ。

それほど流川のオフェンス力を恐れている結果とも言えるが、トリプルチームを仕掛けてくるとは…

長谷監督は四中のベンチに視線を向けると、四中の監督と目が合った。

四中の監督は自信満々に声を上げる。


「悔しいがウチの選手じゃ二人がかりで流川を抑えられん。だが、三人ならどうだ!いくら流川でも三人相手では何もできまい!」

「なるほど。二人がダメなら三人というわけですか…」


長谷監督はそう呟きながらフロアに目を向ける。

流川が三人のディフェンスに囲まれて動けなくなっていた。




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