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#21 流離人 vol.2


試合開始から流川は次々と得点を重ねていった。

流川の怒涛のオフェンスを前に、四中は何も出来ずにいた。


「さすが流川といったところだな…」


その抑えきれないオフェンス力に四中の監督は静かに指示を出す。

ボールを手にした流川の前に二人のマークがついた。


「ダブルチーム…」


流川にダブルチームをつかせることは四中監督にとってはまだまだ想定内。

焦るという感情は見られない。


(なるほど、二人がかりか…)


長谷監督は相手の作戦に動じず、無言で流川に視線を送る。

流川は視線に気づき、視線をベンチへと送ると長谷監督と目が合った。

すると長谷監督は黙って頷いた。


(存分にやれ、流川)


流川はその意味を汲み取ったのか、僅かに頷き返し、目の前にいる二人に視線を戻した。


(二人がかりであろうと、関係ねー…)


抑えられるつもりはさらさらない流川は躊躇する事無くフェイクを一つ入れた。

それに反応してしまった二人のディフェンス。


ダムッ!!!


その一瞬の間に流川はドリブルで二人の脇を一気に抜き去った。


「抜いたっ!!」

「すげぇっ!!!」


そのままゴール下までつっこみ、ブロックに跳んだセンターの腕の間から静かにレイアップシュートを決めた。


「さすが流川!!」

「ダブルチーム相手にものともしねぇっ!」



流川のプレイにベンチから歓声が沸く。

その後も流川は二人のディフェンスを難なくかわしていき、シュートを決めていく。

流川の勢いは止まらなかった。

二人がかりではその勢いを止めることは出来なかった。

二人のマークをものともしない流川の攻撃を一旦止めるべく、四中の監督は思わずタイムアウトを取った。


「富ヶ丘中の流川楓…。夏の大会よりオフェンス力が上がってるな…。ヤツを押さえない限り、勝てん…」


四中の監督はイライラする手を握り締めながら次の指示を出した。


その指示に四中はざわめく。


「…えっ!監督、それは…」

「いいから、それでやるんだ」

「でも、それだと他の選手のマークは…」

「他の選手にやられるのは仕方ない。今は流川を止めるのが先だ!流川一人に30点も取られてるんだぞ!」



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