#2 出会い


「ぬ…?例のオキャクサンか?」


話声をいち早く感知した桜木が扉に視線を移す。


「そうだ、見学したいって言ってたヤツだぜ、きっと」

「ん…?ありゃ男…いや女か?」


桜木の反応に気づき宮城と三井も振り返りその姿を見るが、ニット帽と眼鏡のせいで顔がいまいちよく見えない。


(……アイツは…)


流川には見覚えのあるニット帽だった。

あれは今朝、自分より先に広場でバスケをしていた人物。

服装も同じだった、ハズ…

今朝見た人物と、体育館に現れた人物が重なる。

なぜ、こんなトコロに?

両手でボールを持ったまま考えていると


「あーーーっ!!!桜木花道!!!」


来客が桜木を指差していきなり大声をあげる。

突然の大声に一同ビクッと肩を震わせる。


「本当に赤い頭!間違いない!」


目を丸くして桜木の元へ駆け寄る。


「ぬ?」

「見たよ、山王戦!もうダメかと思った矢先のリバウンド、凄かった~!」


桜木の目の前で、感動をあらわにしている。


(………!!)


桜木がやっぱり?とホンワカし、他の面々がポカンと見守る中、流川一人だけ反応する。



(あの声は…)



「背中は大丈夫?相当痛かったようだけど」



…しばらく聞いていない声だが…確かに聞き覚えのある声。

間違いない。

この人物が自分の思う人物なら、今朝のプレイが上手いのも納得がいく。


(…そうか)



桜木と会話する人物に流川は歩み出した。


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