#19 ふたりぼっち vol.3


無理やり理解し、受け入れた自分に苛立ちを覚える。


本当は相手の感情を無視して引き止めるべきだったのかもしれない。


本当は諸悪の根源を、あの時…試合があったあの日に殴っておけばスッキリしたのかもしれない。


でも、それでは何の解決にもならない。


自分のやりたいように周りを動かして、力でねじ伏せて…


それはただの自己満足に過ぎない。


自分がこうして悩んでいる以上に馨は悩んでいるはず。


自己を否定され、ズタズタにされて…


方法はなんであれ、自分で前に進もうとしているのなら受け入れてやりたい。


黙って見守ってやりたい。


だけど…だけど、今の自分の感情は苛立ちで一杯だ。


どうしてこんなにも感情が爆発しそうなのか、自分でも理解できなかった。




(くそっ…なんなんだ…!)



受け入れる気持ちはあるのに、感情が受け入れない。


…やりきれない。


拳を握り締めるが、それだけでは満たされなかった。



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