#19 ふたりぼっち vol.3
樹の了承もあって馨のアメリカ行きは周りが思っているほど早くあっさりと決まってしまった。
(何考えてんだ、あのオヤジは…考えが全く読めん…)
一人混乱しているのが馬鹿馬鹿しくなるほどの事の運びに多少の眩暈を覚える。
学校に行くとバスケ部の面々を中心に質問攻めに合うが、自分でもどう答えたらいいのかわからず冷たくあしらうのみ。
自分でもこの流れについていけずに混乱しているというのにどうしろというのだ。
ここはいっそのこと混乱の原因である奴になんとかしてもらうしかない。
どうして急にアメリカになんか行く気になったのか。
どうして日本を離れてしまうまでになったのか。
どうしてそこにたどり着く前に自分に言ってくれなかったのか。
モヤモヤと考えれば考えるほど余計にわからなくなってくる。
それと同時に自分に対する苛立ちも感じ始める。
何もできない自分に。
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