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#17 ふたりぼっち vol.1


-----2年前


ザシュ!!


「あーーっ!!」


流川は馨のブロックの上からジャンプシュートを決める。

息を整え、顔を伝う汗を手で拭いながら馨はギリギリと悔しそうに涼しげな顔の流川を睨み付ける。


「くそう、届かなかった…あとちょっとだったのに…」

「お前、小さくなったからな」

「むっ!小さくなってない!楓が身長伸び過ぎてるの!…この前までは同じくらいだったのに、こうも簡単に抜かされるとは…不覚…」

「……チビッコ…」

「なにぃ!」


中学2年の初夏。

流川と馨の二人は部活終了後、体育館に残っていつものように1on1を行っていた。

このように居残って練習するのは日課。

熱心な二人に先生方も快く体育館を解放してくれた。

そして、もうすぐ地区予選が始まる。

神奈川強豪の富ケ丘中…

強豪故、レギュラー争いは熾烈なのだが、2人は1年生で既にユニフォームを手にすることができていた。

そして2年生となった今年も…


「そういえば、ユニフォーム貰った?」

「おう」


しばしの小休憩。

タオルで汗を拭く馨の目がキラリと光る。


「…何番、だった?」

「…13」

「勝った!!私12番!」

「…何の勝負だ」

「私の方が1コ番号が上…!」


馨はニヤニヤ笑いながら流川に歩み寄り、流川の鼻先にビシリと人差し指を突き出す。


「つまり私の方が上!!」

「はぁ…なんだ、それ」


流川はやれやれと呆れ顔でくるりと向きを変える。


「1年の時は同じ15番だったもん!でも今年は私の方が上だ!」

「…くだらん」

「いや、この1つの番号の差は大きいよ…」


グッと握り締めた両手を見つめながらメラメラと燃えている馨。

いつも小さな事でいちいち煽ってくる。

それに呆れつつも心の隅っこで「こいつには負けられない」と思っている流川。

お互いにライバル心を持っていた。

バスケを始めた時は同じ背丈、同じ力量。

刺激しあい、高めあった。

中学に入ってから体格の差が出てきたが、お互い気にせず当然のように勝負しあった。

しかし、できた二人の差は、二人にとっても周りにとっても大きなものだった。


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