#1 プロローグ
風薫る5月。
植物の緑が春の光を浴びて青々しく輝き、辺りの景色を一層気持ち良くしていた。
穏やかに吹く風からは温かみが感じられる。
適度な量の白い雲が爽やかな青い空に浮かび、ポカポカとした陽の光が街中を照らす。
そんなうららかな光の中、そっくりな顔をした女の子と男の子が仲良く走ってくる。
「ねぇ!早く早く!遅いよ!」
少し前を行く女の子が走りながら後ろを振り返り、男の子を呼ぶ。
それを聞いた男の子は少しムッとした顔をして足を早める。
二人が行き着いたのはブランコや簡単な遊具しかない広場。
「公園」と呼ぶにはあまり相応しくない程のひっそりとした、人の姿も少ないただの「広場」だ。
そんな「広場」でも、二人にとって楽しい場所であった。
いつものようにブランコで遊ぼうと一直線に向かおうとすると見慣れない、背の高い置物があった。
「「…?」」
二人並んで見上げる。
自分達の身長の何倍もあるモノ。
近くで見ると本当に大きい。
白い四角の板に黒い枠。
穴の空いたカゴがついている…
こんなもの、今まであっただろうか。
今まで気づかなかっただけなのだろうか。
ともかく、初めて見るものには変わりなかった。
二人はポカンとした顔で、わけのわからないモノをずっと見つめている。
「ナンダ?コレ……知ってるか?」
「え……わかんない……」
.
植物の緑が春の光を浴びて青々しく輝き、辺りの景色を一層気持ち良くしていた。
穏やかに吹く風からは温かみが感じられる。
適度な量の白い雲が爽やかな青い空に浮かび、ポカポカとした陽の光が街中を照らす。
そんなうららかな光の中、そっくりな顔をした女の子と男の子が仲良く走ってくる。
「ねぇ!早く早く!遅いよ!」
少し前を行く女の子が走りながら後ろを振り返り、男の子を呼ぶ。
それを聞いた男の子は少しムッとした顔をして足を早める。
二人が行き着いたのはブランコや簡単な遊具しかない広場。
「公園」と呼ぶにはあまり相応しくない程のひっそりとした、人の姿も少ないただの「広場」だ。
そんな「広場」でも、二人にとって楽しい場所であった。
いつものようにブランコで遊ぼうと一直線に向かおうとすると見慣れない、背の高い置物があった。
「「…?」」
二人並んで見上げる。
自分達の身長の何倍もあるモノ。
近くで見ると本当に大きい。
白い四角の板に黒い枠。
穴の空いたカゴがついている…
こんなもの、今まであっただろうか。
今まで気づかなかっただけなのだろうか。
ともかく、初めて見るものには変わりなかった。
二人はポカンとした顔で、わけのわからないモノをずっと見つめている。
「ナンダ?コレ……知ってるか?」
「え……わかんない……」
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