スネイプ先生の日常シリーズ
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ある夏の休日の昼下がり。
ホグワーツ魔法魔術学校の教師であるセブルス・スネイプはロンドンにあるスポーツ用品店にいた。
彼の本日のお目当ては水着である。
水難事故防止のために急遽設けられた水泳の授業を任されたスネイプは、前回の授業で非常に苦い思いをした。
次の授業では絶対に同じような目には合うまいと、彼は貴重な休日の時間を使ってはるばるロンドンまで買い物に来たのである。
かなり大きなスポーツ用品店は休日ということもありかなりの人出だった。
そんな中に冷房の効いた店内とはいえ、暑苦しい服装のスネイプはやや浮いていたが、彼はそんな視線など気にしない。
スネイプは水泳用品コーナーを何周もし、あれやこれやと吟味するうちについに自分の理想とする水着を見つけた。
それはウェットスーツタイプのぴっちりした水着だった。もちろん上下とも黒である。
前回はマグルの水泳用品に馴染みなどなかったため、普通のハーフパンツタイプの水着をローブの下に着用していたのだが、よく見ればこんなに便利で、自分の思うように肌を隠せる水着があったのだ。
しかもこれなら黒とはいえ水着素材であるから、こないだのように熱中症になって死にかける羽目になることもなさそうだ。
ウェットスーツはそれなりの値段がしたが、あとで経費として落とせばいいだろう。
教師全員で「若いから」という理由だけでスネイプに押し付けたのだから、それくらいは払ってもらわなければ割に合わない。ついでに夏のボーナスも弾んで欲しい。
スネイプは同時にSPF50+PA++++の強力な日焼け止めも購入した。もちろんウォータープルーフだ。
そう。スネイプは元より色白なのに加え、日頃直射日光に当たる習慣などないため、前回の授業のあと酷い日焼けに襲われたのである。
たかが日焼けくらいと思っていたが、時間が経つにつれ背中や腕がヒリヒリと痛み始め、夜にシャワーを浴びたときには悶絶するほどの痛さであった。
運良く彼は魔法薬の専門家であるので火傷の薬が手元にあり、なんとか事なきを得たのだが、それでも数日は皮むけに悩まされたり、チクチクと背中が痛み、授業中に背中を掻くのを何度も我慢する羽目になった。
紫外線の恐ろしさを三十路を超えてから知ったスネイプは、次は二の舞いを踏むまいと、ネットのレビューで一番評価の高かったア○ッサをカゴに入れた。
***
そして迎えた二回目のプールの日。
講師がスネイプであっても前回それなりに楽しかっただけあり、生徒たちのテンションは最初からマックスだった。
こう暑い日にはやはりクィディッチよりも冷たくて気持ちいいプールだ。
ガヤガヤとざわつくプールサイド。
皆が今か今かと首を長くしてスネイプの登場を待っていた。(魔法薬学の授業ではまず見られない異常事態である)
ネビル・ロングボトムだけは前回、スネイプにファーストキスを奪われかけた恐怖から、今回も恐ろしい事が起こるのではないかとガタガタと震えていた。
一方、テンション高く騒がしい生徒たちとは対照的に、プールの一番端っこで体育座りしている三人の女子たちシャーリー、イザベル、エミリーは深刻な表情で何やらヒソヒソと話し合っていた。
「いい?計画通りちゃんとやってよね」
「もちろん。準備ばっちりよ」
「ああ!早くあの素晴らしい体をもう一度お目にかかりたいわ!」
そう。彼女たちは前回の授業で、スネイプの隠された肉体美にハートを撃ち抜かれてしまったスリザリン生である。
彼女たちは今回、何としてでもスネイプの引き締まった身体をカメラに収めるべく綿密な計画を立てていた。
その計画とは以下の通りである。
スネイプは前回の授業の終わりに、次回は25メートル泳を実施すると予告していた。
おそらくスネイプは生徒達が泳ぐ段階に入ったら、前回のようにプールサイドから生徒を監視するだろう。その時にエミリーが溺れたフリをし、スネイプをプールに飛び込ませようという作戦である。
シャーリーは授業が始まってすぐに、気分が悪くなったフリをしてプールサイドで休み、こっそりカメラを構えている予定だ。
日頃からスリザリン生には甘いスネイプのこと。(特に女子にはとても甘い)
ネビル・ロングボトムが溺れた時でさえあの慌てようだったのだから、溺れているのが自寮の女子ともなれば彼は即飛び込むはずである。
単純だがうまくいきそうな計画だった。
しかし授業が始まると予想外のことが起きた。
「ねえ、ちょっとあれなに。聞いてないんだけど」
「うわ……最悪」
授業開始時間きっかりにプールサイドに現れたスネイプは、前回のように真っ黒なローブを着ておらず最初から水着姿だった。
水着姿ではあるが前回のようなボクサータイプの水着ではなく、首元から足首までピチッとした黒のウェットスーツに包まれており、肌色の面積は極端に少ない。
彼女達がもう一度見たいと願っていた割れた腹筋や、色白の肌、意外としっかり生えている体毛などはすべて黒い生地で覆い隠されていた。
スネイプはこのウェットスーツタイプの水着を買ったはものの、いざ着る段階になるとあまりにピチっとしていることに抵抗を覚えた。
体のラインはくっきりと出てしまうし、普段の服装に比べたら明らかに滑稽だ。
マグルのダンスに男がこんな格好で踊るものがあったような気がする。
しかし覚悟を決めて着てみれば、ピチッとはしているが真っ黒なせいか、そこそこいつもの威厳が保てていた。そのため本人はそれなりに満足していた。
前回とは変わった格好で現れたスネイプにグリフィンドールの誰かが「スネイプはイルカの調教師にでも転職したのかい?」と陰口を叩く。
幸運なことにそれはスネイプの耳には届かなかった。
シャーリー、エミリー、イザベルは落胆した。
「これじゃあ裸の写真が撮れないじゃない……どうすればいいの?」
「こうなったらプランBね。こんなこともあろうかと私、考えておいたのよ」
がっくりと肩を落とすイザベルとエミリーをよそにシャーリーは水泳バッグからゴソゴソと小さい何かを取り出し、手のひらに乗せた。
一体何かと二人は目を細める。
「シャーリー、何それ?」
「ドローンよ。パパに頼んで買ってもらったの」
「ドローンって?」
「あら知らないの?小型のカメラが付いてて、どこでも飛び回って撮影ができるのよ」
シャーリーが隠し持っていたのは、マグルのデパートで手に入れた小型ドローンだった。
もともとはライオンなどの獰猛な野生動物を撮影するために作られたもので、一見ただの虫にしか見えないようカモフラージュが施されている高性能なものだ。
「これでスネイプ先生の裸を撮ってみせるわ!」
「でもどうやって裸に?今日の先生はピチピチだわ」
自信満々なシャーリーにエミリーが尋ねる。
「それもちゃんと考えてあるわ。いい?水泳の授業が始まったらエミリーが溺れたフリをする。そこまでは一緒ね。で、無事に救出されてスネイプ先生がホッとしているところをイザベルが後ろから近付いて「先生!虫がいます!」って叫ぶのよ。それで虫を取ってあげるフリをして、背中のファスナーを一気に下ろす!その瞬間私が操作するドローンで先生の裸を激写する。こんな感じよ」
「私にそんなこと出来るかしら……」
シャーリーが提案する、やや無理のありそうな作戦にエミリーとイザベルは難色を見せる。
しかしシャーリーはやる気満々だ。
「今さら何を言ってるの?私たちはスリザリンの女よ。欲しいものはどんな手段を使っても手に入れてみせるわ」
「でも……スネイプ先生そんなことして怒らないかしら」
「大丈夫よ!あなた先生のハダカもう一回見たくないの?」
「見たい……」
「なら決行あるのみよ」
シャーリーはニヤリと笑い、ドローンのスイッチを入れると、小さな虫にしか見えないそれを夏の空に解き放った。
***
第二回目の水泳の授業は予告通り、クロールの練習をメインに行われた。
シャーリーは授業が始まって30分もしないうちに体調不良だと嘘をつき、すでにプールサイドの日陰で休んでいる。
イザベルとエミリーはシャーリーの目の合図があるまで、他の生徒達と同様に泳いでいた。
大勢の生徒が一斉に泳いでいると、二人でずっと一緒に居続けるというのも難しく、なかなかタイミングが合わない。
ようやく二人が合流できた頃、二人はプールサイドのシャーリーに目配せした。
(シャーリーまだ?)
(いいわ!今よ!)
シャーリーの合図にイザベルとエミリーは顔を見合わせ無言で頷く。まずはエミリーがプールの壁を勢いよく蹴って、もう一度泳ぎ出した。
そしてプールの真ん中ほどまで行き、計画通り「溺れた」
「せ、せんせい!!たすけて!!!」
地中海にいくつも別荘を持つエミリーは本当は小さな頃から泳ぎが得意だ。しかし計画を成功させたい一心で、女優顔負けの名演技で必死に助けを求めている感を出す。
スネイプはプールサイドから腕組みし、全体を睨みつけるように生徒達が泳ぐのを監視していたが、突如聞こえてきた悲鳴にプールに目を凝らした。
声のした方を見れば溺れているのはなんと自寮の生徒ではないか。
スネイプはすぐさまプールに飛び込んだ。
水をかき分けるようにバシャバシャと大きな飛沫を上げながら、スネイプはエミリーのもとへと辿り着き、水の中で激しくもがく彼女の腕を掴んで立たせた。
「はあっ……!せん、せ!!ゴホッゴホッ!」
「落ち着け。何があった……立てるか?」
「泳いでる途中で脚が攣って……溺れるなんて……すみません」
「無理をしなくていい。一度落ち着くまで上で休んでいたまえ」
「ありがとうございます……」
スネイプはエミリーの背中に手を添え、陸に上がるよう促す。周りの生徒が突然の騒ぎにざわめくなか、シャーリーから目で合図を受け取ったイザベルはゆっくりと水中を移動し、スネイプの背後に近付く。
無事にエミリーをプールサイドに上がらせたスネイプは、大事にならなかったことに胸をなで下ろす。
やはり泳げているように見えても、水泳の授業は危険が常に付きまとい油断ができない。
ホッとしたのもつかの間。
スネイプが生徒の監視に再び戻ろうとすると、背後から突然甲高い声が響いた。
「スネイプ先生っ!!!」
スネイプが驚いて振り返ると、そこにはイザベルが彼を指差し怯えた顔をしていた。
「あ、あの、虫がっ!!!」
「……は?」
スネイプは眉をひそめた。イザベルは指を震わせながら彼の背中を指差す。
「変な虫が先生の背中に……!!!」
スネイプは反射的に肩を払うが特に何も感じられない。
「先生そこじゃありません!私が追い払ってあげます!」
「虫くらい平気だ」
「でも先生!! そ、それ、毒を持ってるやつじゃないですか?! はやく追い払わないと!!!」
「毒?」
異様な慌てようのイザベルに怪訝な顔をするスネイプ。そんな虫などホグワーツ周辺で出くわしたことがない。大抵の女子は虫が嫌いだから大袈裟に騒ぎ立てているだけなのだろう。
「そのうちいなくなる。大丈夫だ」
「でも先生が刺されたら……私に任せてください!」
「ミス・バーケット、いいから君は早く練習に……」
虫を追い払おうとジリジリと近寄るイザベルにスネイプは若干恐怖を感じた。しかしイザベルは必死だった。
何としてでも成功させなくてはならない。
スネイプは身をよじり、鬼気迫る女子生徒から逃げようとしたが、それよりも一瞬早くイザベルの手がウェットスーツのファスナーを掴み、一気に下まで引き下ろした。
はらりとウェットスーツの上着がはだけ、スネイプの存外に厚い胸板が露わになった。
(よくやったわエミリー!!!!!)
プールサイドのシャーリーは心の中でガッツポーズをしながら叫んだ。
シャーリーはチャンスとばかりに急いでドローンをスネイプの正面に移動させた。
(今よ!! 先生の……完璧な体を撮るのよ!!!)
ところが――
バシンッ!!!
スネイプは急に目の前に旋回してきた黒い物体を認識すると即座に叩き落とそうとした。
シャーリーは焦ってスネイプの手を逃れようとコントローラーをガチャガチャと操作する。
しばらくの間、ドローン虫とスネイプの格闘が続いた。
スネイプの敏捷さもさることながら、ドローンも高性能ゆえ素早い動きで彼の攻撃を交わす。
自分の周りだけを何故かブンブンと飛び回る謎の厄介な虫に、スネイプは段々と苛立ち始めた。
一体何が起きているのか。
プールをのびのびと泳いでいた生徒達は一人で小さい何かと格闘しているスネイプを呆気に取られて眺めていた。
次第にドローンは何度も叩かれ、ダメージを受けたせいか、飛行が安定しなくなってきた。空中でしっかりと制止しなければ思うような写真は撮れない。
スネイプのイライラもそろそろ限界だった。絶対にこの虫を捕まえて殺してやるといわんばかりに、ドローンを握り潰そうと必死だ。
もしドローンが捕まってしまえば、スネイプなら本当の正体を見破ってしまいそうである。
そうなれば誰の所有物か彼は躍起になって探すだろうし、彼女達の仕業と判明すれば最悪退学なんてことにもなりかねない。
それだけは何としてもごめんだ。
シャーリーはここまでかと諦め、ドローンを空高く飛び上がらせ撤退させようとした。
しかしスネイプのほうが一瞬早かった。
真夏の空に逃げ切ろうとした寸前のところでドローンはスネイプに空中でバシッと捉えられてしまった。
(やばい!!)
焦ったシャーリーは急いでドローンを上に向かって急発進させた。しかし操作を誤ったのか、ドローンはスネイプの手の中から抜け出し、下に勢いよく突き抜けた。
ドローンはその勢いのままスネイプの下着の中へスポッと入り込んだ。そして数秒間、下着の中を彷徨ったあと、下着の裾から再び姿を現し、ブーンと空高く飛んでいった。
スネイプは鬱陶しい虫を仕留められなかったことに舌打ちした。股間にまで入りこまれて気持ち悪いといったらこの上ない。
しかし真面目な彼はすぐに仕事に戻るべく、何事もなかったかのように背中のファスナーを戻すと、泳ぎを止めて呆然としている生徒たちにもう一度泳ぐように指示を出した。
(た、助かった……)
シャーリーとイザベルとエミリーの三人は静かに胸をなで下ろした。
こうして3人組の密かな作戦は失敗とも成功とも言えない形に終わった。
***
プールの授業後。
寮の部屋に誰よりも早く戻った三人は、シャーリーのベッドに集まるとカーテンを閉め切った。ベッドになだれ込むように転がると全員が疲れ切った顔で脱力した。
「あーやばかった……あそこで捕まってたら私達終わってたわよ」
「だからあんな計画無理だって言ったのよ!私本当にヒヤッとしたわ!」
「でもああするしかなかったじゃない!まさかスネイプ先生、ウェットスーツ着てくるなんて思わなかったんだもの」
三人はしばらく責任をなすりつけあっていたが、ドローンの映像ことが全員気にかかっていたのがすぐに言い争いをやめた。
一瞬とはいえスネイプを脱がすことに成功はしたのだ。どんな映像が撮れたのか気になって仕方がない。
「ねえシャーリー、ところでデータは……?」
「……ドローン本体のSDカードはやはり破損していたわ。でも大丈夫。録画しながらクラウド保存もされるようになっていたから……何かしらは残っているはずよ」
シャーリーは枕の下に隠していたタブレットを取り出し電源を入れる。写真クラウドを開くと遠目に映ったプールがサムネイルになっている動画が一つ表示された。
「あったわ。これね……じゃあいい?再生するわよ」
そこに映し出された映像を見た三人は絶句した。
そこに映っていたのは、一言で言えばスネイプの「神秘」だった。
いや、スリザリンの寮に古くから伝わる伝説の大蛇と言ってもよいかもしれない。
動画の最初はドローンがスネイプから逃げ回っていたせいで、画像が荒く、せっかく脱がせたにも関わらず、お目当てだったスネイプの引き締まった体はほとんど撮れていなかったのだが、問題はその後だった。
ドローンがスネイプの下半身に潜り込んだあとの映像は、「暗所の撮影も安心」を謳っていた最先端のドローンなだけあって鮮明にスネイプの「秘宝」を捉えてしまっていた。
その時間たるや数秒だったが、明瞭に映し出された巨大なソレに彼女達は危うく失神しかけた。
彼女達は動画の再生が終わると無言で顔を見合わせた。
そういうことには誰よりも興味があるくせに初心なイザベルは口を覆ったまま真っ赤に。
エミリーは今見たものが信じられないといった様子で何度も瞬きをしていた。
シャーリーは眉間に深い皺を寄せ、腕組みして押し黙り、俯いている。
黙りこくっているシャーリーにエミリーが泣きそうな震えた声で尋ねた。
「……ねえ、こんなもの持っていて大丈夫かしら……?まずいんじゃない?」
エミリーは心配だった。
近頃ホグワーツにマグルの便利な電子機器を持ち込む人が増えていて、スリザリン生とはいえ限度を超えた使い方をしている人がスネイプ先生に没収されているのを見たことがある。
表向きは品行方正なシャーリーのタブレットが没収されるなんて事態はまず無さそうだが、万が一のことがあったら?
盗撮は立派な犯罪だ。
盗撮したというだけでもまずいのに、とんでもないモノを撮っていたとバレれば、いくらスリザリン生でも退学は免れないだろう。
「今すぐ削除するのよシャーリー。……もう一回くらい見てから消しましょう」
メアリーと同じ恐れを抱いたのか、イザベルも焦ったような声で言う。
しかし怯えた言葉とは裏腹に彼女の指はもう一度再生ボタンを押したそうにウズウズとしていた。
うろたえる二人の親友を置いてシャーリーは腕を組み、深刻な顔をしていた。
数分間の沈黙のあと、彼女はようやく深く息を吸ってから二人に言い聞かせるように口を開いた。
「……いいえ、削除はしないわ」
シャーリーが突如、神々しいまでの真剣な表情で宣言した。
「な、なんでよ!? こんなもの持ってたら危険すぎるってば!」
「バレたら終わりよ!? 退学どころか、アズカバン行きかもしれないわ!」
イザベルとメアリーが必死に食い下がるが、シャーリーは微動だにしない。
シャーリーは無知な信徒に教えを言い聞かせる教祖のごとく、神妙な顔つきで言った。
「……これは、ただの映像じゃないわ。これはスネイプ先生の偉大さを証明する歴史的記録よ!」
「歴史的記録!?」
思わず素っ頓狂な声を上げる二人をよそに、シャーリーはどこか恍惚とした表情でタブレットを抱きしめた。
「スネイプ先生は素晴らしい方なのにホグワーツでは過小評価されているわ。そうでしょ?」
「え、ええ、まあそうだけど、それとこれに何の関係が?」
「私たちは彼の偉大さの一部をこの目で見た目撃者ってことよ。もちろん人に言えるものではないけれど、スネイプ先生はきっとこれから更にすごいお方になられるはずだわ。そう……サラザール・スリザリンと並ぶほどの偉大な魔法使いになってもおかしくないって私思うの……。あんなに聡明で強い魔法使いはそうそういないってパパも言ってたわ。
だからこれは将来、スネイプ先生が伝説となった時に彼の偉大さを証明するためのものの一つとして残しておかなければならないわ」
「「いや、それは無理があるって!!!」」
メアリーが必死にツッコミを入れるが、シャーリーはすでに何らかのスイッチが入ってしまったようだった。
「大丈夫よ。厳重にロックをかけて、誰にも見られないようにするから!」
シャーリーは素早く動画を秘密のフォルダに移し、何重ものセキュリティ設定を施していく。その手つきは異常なほどに素早く、もはや職人の域だった。
「さあ、これで完璧!」
「いや、完璧って何が!?!」
完全に彼女の理論に着いていけていない二人だったが、もうシャーリーの暴走は止められない。
彼女の目はキラキラと輝き、恍惚とした笑みを浮かべていた。
「ああ!!! やっぱりスネイプ先生って偉大なお方ね!!!」
こうして、スネイプの神秘は闇に葬られることなく、三人の友情に固く守られる形で保存されることになった――。
それ以来、スネイプは彼女たちがすれ違うたび沸騰したように顔を真っ赤にするのを訝しんでいた。
しかし彼女達に一体何があったのかなどスネイプが知る由もなく、ただ思春期の少女とはつくづくよく分からないものだと首を傾げるばかりだった。
おわり