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清書
アナキンとナマエは任務が終わってコルサントに戻る途中だった。彼らが乗っている船、シスィス級輸送船の後部でナマエも休んでいた。飛行が安定してくると、アナキンは慣れた手つきで操縦盤をいじりオートパイロットモードに切り替えた。
アナキンはふう、とため息をついて席に寄りかかった。そしてデータパッドで暇つぶしにホロネットのデータベースを見始める。退屈しながらデータパッドをスワイプしていると、彼はスワイプの手を止めた。
自分とナマエの名前が目に入ったからだ。
アナキンは、彼とナマエの名前がページに載っていることに気づいた。クローン戦争に関するジェダイや戦況の解説記事か何かか?しかし、よく読んでみるといわゆるファンフィクションというものだということがわかってきた。つまり、小説だ。アナキンは興味本位でページをスクロールした。
読むたびにアナキンのひそめられた眉が緩み、口角は上がり、笑顔になった。アナキンは立ち上がって機内後部に振り向いた。
「ナマエ!来てくれ!面白いものを見つけたんだ!」
返事はない。
「ナマエ!」
全く。アナキンはムッとして奥のキャビンにずかずかと向かった。そしてクルー休憩用ベンチに横たわって寝たふりで無視をつらぬくナマエを揺さぶった。
「ナマエ!起きるんだ、ほら!」
揺さぶられるナマエのこめかみに青筋が浮く。この男は時々ものすごく自分勝手だとナマエは思う。ナマエが何かをしている最中だとか、たとえ寝ていてもアナキンはこうして彼女の注意をむりやり向けようとすることがある。
ナマエはしかたなく起き上がった。
「何だよ。コルサントに着いたら起こすように言っただろ……」
「見て欲しいものがあるんだ。これを見たらカフェインをたくさん摂るより、何百倍も目が覚める。ほら、こっちに座って。見てくれ」
アナキンも彼女のベンチに座って彼の近くに座るように隣を軽く叩いた。ナマエはアナキンの隣に這い寄り、データパッドを覗き込んだ。
「はあ。『それは彼らが出会った日だった。彼らは初めて会ったその日から火花…いや、内なる炎を感じた。』何だ……小説?」
ナマエはその文章を読みながらあくびをした。
「続けて」
アナキンはにやにやしながらあごで指し示すだけだった。彼は彼女の反応を見て、そしてからかいたかった。
「何なんだ」
肩をすくめて、ナマエはそれから小説の残りの部分を読み始めた。
「ううん。私とお前が小説に出てるのか?しかもなんか雰囲気が……もう怪しいぞ。」
アナキンは彼女が読むのを見ながら、すでに笑いを抑えるのが難しかった。物語は、彼らが情熱的な禁断の愛に落ちるという、感傷的なラブストーリー。ぜんぜん彼女に似合わない。
ナマエの目が文字を追い続けて左右を往復する。そして彼女の眉間にしわが寄せられた。
「おい。小説で何か私たちが急に戦場でキスし始めたぞ!何が起こってるんだよ!」
ナマエの叫びにアナキンはとうとう吹き出して笑いながら膝を叩いた。笑いすぎて、ほとんどデータパッドを落としそうになった。
「いいから読み続けてみてくれ!行を読み飛ばさずにね。笑える部分がまだまだある。」
「どうなってるんだ?キスをより印象的にするために戦場での爆発まで背景にしてる。これもう何というか……」
「言っただろ!」
アナキンはまだ大笑いしていて、お腹を抑えていた。
「ああ面白い、少し泣きそうだ。読み続けて、この次の部分はもっと……ハ、なんて言うか、最高だから。」
彼は彼女の肩に腕を回し、彼女を引き寄せた。ナマエが次のもっと直接的でセクシーなシーンにたどり着いた時、彼女がどう反応するか見たかったのだ。
「『彼らはお互いのチュニックに手をかけ……』って、待て!これ正気か?戦場のど真ん中のキャンプでなんか始めちゃってるぞ、私達!しかも、なんで小説の中の私はこんなに押しに弱いんだよ!もっとこう何か……抵抗してくれ、せめて!」
アナキンはゾッとしてるナマエを見て笑い続けた。いつも冷静で落ち着いているナマエが取り乱してる。彼は彼女にさらに近づいた。彼女の髪の香りがした。アナキンは得意げに片方の口角を上げて言った。
「『彼女は彼のなすがままだった』って書いてある部分を忘れずに。そこが最高の部分だから。しっかり声に出して読んで」
「読むか!アホ!」
ナマエは彼の膝にデータパッドを放り投げた。
「何でこんなものにたどり着いたんだ?」
「暇だったから、ホロネットを見てたんだ。ニュースとかね。そしたらアルゴリズムがこのページを拾ったんだ。ほら、コメントも読んだ方がいい。」
「コメント?」
ナマエが怪訝に彼のデータパッドをのぞいた。アナキンはパッドをスクロールしながらコメントを読み上げた。
「ほら、『戦場のシーンは最高です!』とか。『ファンフィクションサイトのトレンドリストにアナキン/ナマエが載った!』とか。」
「こういうのを規制できる法律とかないのか。私たちは仮にも平和の守護者だぞ。」
「表現の自由っていうだろ?」
この話題であと数ヶ月はからかえるな、とアナキンはほくそ笑んだ。ナマエは寄りかかってくるアナキンを振り払った。
「重い。ああ、何か全部お前のせいな気がしてきたぞ。お前の距離感センサーが取り返しのつかないほど壊れてるから、私たちは勘違いされるんだ。適切な距離感を保つことが始めろ」
「申し訳ないけど僕の距離感センサーは正常に作動してる。」
アナキンは得意げに口角を上げた。
ナマエはため息をついてふたたびベンチに横たわった。
「もう一回寝る。くだらないことでまた起こすんじゃないぞ」
「くだらない?僕たちはトレンドリストに乗りさえしたのに」
ブランケットをすっぽりかぶって無視しようとするナマエに聞こえるように言って、アナキンは最後まで彼女をからかうのを楽しんだ。
---
翌日、彼らは昨夜ミッションの報告を終えてジェダイ寺院に無事到着していた。ナマエは朝餉をジェダイ寺院のカフェテリアで食べていた。
「おはようナマエ。座っても?」
「良くない」
期待通りの反応。アナキンは気にせず彼女の隣に座った。アナキンはナマエの言うことをそもそも聞かないのだ。
「残念だけどもう座った。そしてどこにも移動しないから、そのつもりで。」
ため息。
アナキンはナマエのすぐ隣にいて、肩と脚がほとんど触れていた。ナマエが迷惑そうな顔を向けると、彼は口角をあげた。彼はあの小説を読んだ今となっては、もう彼女を別の視点でみているようだった。アナキンは頬杖をついて微笑みながら彼女を見つめた。
「調子はどう?」
「朝ごはん食べろよ」
アナキンは小さく首を振ってフォークで彼の皿からフルーツの一切れを刺し、にやりとした。
「朝から不機嫌だな。ほら、口開けて。」
彼はそのフルーツを彼女の唇の近くに持っていった。
「いいって。自分で食べれる」
「何だよ。やったことあるじゃないか」
「パダワンの時の話だろ!フォークをどけろ、たたき折るぞ!」
「ナマエ、アナキン、おはよう。朝から穏やかじゃないな。」
アナキンとナマエはぱっと顔をあげると、オビワンが口角を上げて二人を見下ろしていた。
「おはよう、オビワン。アナキンがうっとおしいから何とかしてくれないか?弟子だろう」
「うっとおしい?君がよそよそしいだけだ。僕たちは仲がいいだけなのでお構いなく、マスター」
オビ=ワンは困ったように肩をすくめてアナキンとナマエの向かいに座った。
「ナマエ、昨日のミッションはどうだった。インナーリム外の辺境の星に行くのは久しぶりだっただろう。」
「暑かった。でもあの惑星に原生する植物や生物達は興味深い。個人的にまた近いうちに訪れたいな。」
「そうか、良かった。」
アナキンはオビワンとナマエが話してるのを見て彼は不機嫌にフルーツををフォークで突き刺した。ナマエの注意を自分に向けて欲しかった。
「確かに。現地の植物を観察するのに夢中で、巨大な蜘蛛型の生物に襲われかけたのは誰だった?僕が助けてやったんだぞ。どういたしまして。」
「はあ?自分で何とかできたっつうの!」
ナマエはすぐさま反論した。
アナキンは椅子にもたれかかりながらニヤリと笑って言った。
「何とかできたって? 蜘蛛が苦手なくせに。その場で固まってたじゃないか。僕がいなかったら、君は2、3年間はずっとそこに立ち尽くしてただろうな。」
「仕方ないだろ、蜘蛛嫌いなんだよ!あの膨らんだ腹、たくさんの足、早い動き!」
ナマエは自分を抱きしめながら巨大な蜘蛛を思い出して震えがっていた。ナマエは戦いでは勇猛果敢なくせに、蜘蛛が苦手だった。アナキンはかわいいな、と思った。
「小さい蜘蛛ですら?意外な弱点だな」
「寧ろ蜘蛛を好きなやつの方が少ないだろ!なあ、オビワン!」
ナマエはオビワンに助けを求めた。
「まあ、確かに。一部の愛好家を除いては、かもしれない。」
オビワンはナマエに微笑んだ。アナキンがすかさずオビワンに言った。
「ところでそれよりも面白いことがあって…」
アナキンはにやりと笑って話し始めた。ファンフィクションの小説について持ち出すつもりだった。ナマエはそれを察して慌てて立ち上がった。
「食べたからもう任務の準備しないと!それじゃ!」
「待て、逃げるなよ!」
アナキンも立ち上がった。いつも通りナマエをアナキンが追いかける光景をみてオビワンは頭を掻いた。
ナマエがカフェテリアを出てから少し歩いたところで、背後から足音が近づいてくるのに気づいた。彼女は立ち止まり、振り返ると、アナキンが口角を上げて腕を組んで柱に寄りかかっていた。
「まだ何か用か」
ナマエはわずかに不機嫌な顔で言った。
アナキンは息を吐いてから、いたずらっぽく微笑んだ。
「ファンフィクションの話だけど。もし僕たちが本当に…小説みたいに付き合ったら、どんな感じだと思う?」
「またそれか。そんなこと考えたこともない。」
「でも、もし考えてみたら?」
アナキンは彼女の返事を遮るように言った。
ナマエはその質問に対してどう答えるべきか一瞬迷った。それから肩をすくめて答えた。
「喧嘩が多い。」
アナキンはナマエの短い答えにくっと笑った。
「喧嘩だけ?」
「まあ…お互い譲らないところがあるし。」
「僕はそうは思わない。」
アナキンは口角を上げて一歩ナマエに近づいた。
「全然そう思わないよ、ナマエ。君となら、もっと楽しいことがたくさんあると思う」
アナキンは優しく言ってから、そっとナマエの髪を彼女の耳の後ろにかけてやった。
勝手に思っとけ、とか、何か皮肉の一つでも言ってやるつもりだった。でもそのかわり、ナマエは何も言い返せなかった。
しばらくの間、二人の間には言葉がなく、その静寂には彼らが今まで持ったことのない不思議な感覚があった。
やがて、ナマエは軽く息をつき、無理にこの微妙な空気を切り替えようとした。
「どうかな」
それだけいってナマエは歩き始めた。
アナキンは微笑んで頷き、彼女の隣を歩いたが、彼の心にはまだその問いが残っていた。そして、それが二人の関係に新たな意味をもたらすことを、彼は願っていた。
---
翌日、ナマエとアナキンは再びミッションに出ることになった。今回は、アウターリムとインナーリムの間くらいに位置する小さな星系での任務だった。分離主義者が基地を設置するために現地の村を攻撃し、人々が避難を余儀なくされているとの報告があり、彼らはその救助と部隊の撃退に向かった。
彼らは即座に行動に移り、ライトセーバーを手にドロイドと戦いながら、住民たちを安全な場所へと誘導した。彼らの迅速な行動が功を奏し、多くの住民が無事に避難することができた。
ドロイドをすべて片付けた後、避難施設の一角にいた女性が駆け寄ってきた。
「ありがとう、あなたたちのおかげで家族も私も怪我なく済んだわ」
「いや、無事でよかった。」
「あなた達の活躍についてホロネットでよく見てる。だから本物に会えて嬉しいわ。ファンなの。特にあなた達2人の。」
「僕と彼女の?」
アナキンは意外そうに言った。
「そう。あなた達2人が特に好きで。あなた達についての活躍のホロ記事も保存してる!」
「そ、そうか。ありがとう」
ナマエは戸惑いながらもお礼を言った。
「本当よ。だからずっと応援するわ、あなた達二人。命を助けてもらったし。気をつけてね」
その言葉に、ナマエとアナキンは少し驚いたが、彼らは一瞬目を合わせ、やがて照れくさそうに微笑んだ。
その後、村人に礼を言ってから、二人は再び任務に戻り、無事にその場を離れた。
---
帰りの輸送船で、ナマエとアナキンは並んで座っていた。静かな船内で、ナマエは自分のライトセイバーを手入れし、アナキンは外を眺め、彼らはそれぞれの思いにふけっていた。アナキンがふと口を開いた。
「彼女がファンフィクションの作者だったりしたかもしれないな。」
「はあ?」
「つまり、彼女は僕達2人のファンだと言っていた。」
その言葉に、ナマエは片眉をあげてアナキンを見たが、すぐに呆れたように言った。
「どんな確率だ」
「あり得るだろ」
アナキンの主張にナマエはライトセイバーのエミッターを磨きながらただ息をついて口角を上げた。
「ファンサービスでハグの一つでも見せてやればよかったかな。」
アナキンはさりげなく言ってから反応を伺うようにちらりとナマエを見た。
ナマエは軽く肩をすくめながら言った。
「かもな。ビジネスハグ。」
「ビジネス…なるほど。」
アナキンは少し乗り気に返事したナマエに意味深な笑みを浮かべて言った。
「ハグだけ?」
「だけ」
「わかったよ。頑固だな」
アナキンはしばらく自分のライトセイバーに集中しているナマエを優しい視線で見つめた。アナキンは一人で笑みを深めながらも、それ以上は何も言わず、静かな時間が流れた。外の宇宙空間を眺めながら、アナキンは彼女との心地よい沈黙を楽しみながら思いを馳せた。「ビジネス」という口実でこれからどれだけ彼女に彼がハグを要求できるか。そして、いつか小説のように…。アナキンは小説のように彼らが戦場のど真ん中で爆発を背に唇を合わせる姿を想像して、ほんの少しの憧れと馬鹿馬鹿しさにもう一度一人ひっそり微笑んだのだった。
アナキンとナマエは任務が終わってコルサントに戻る途中だった。彼らが乗っている船、シスィス級輸送船の後部でナマエも休んでいた。飛行が安定してくると、アナキンは慣れた手つきで操縦盤をいじりオートパイロットモードに切り替えた。
アナキンはふう、とため息をついて席に寄りかかった。そしてデータパッドで暇つぶしにホロネットのデータベースを見始める。退屈しながらデータパッドをスワイプしていると、彼はスワイプの手を止めた。
自分とナマエの名前が目に入ったからだ。
アナキンは、彼とナマエの名前がページに載っていることに気づいた。クローン戦争に関するジェダイや戦況の解説記事か何かか?しかし、よく読んでみるといわゆるファンフィクションというものだということがわかってきた。つまり、小説だ。アナキンは興味本位でページをスクロールした。
読むたびにアナキンのひそめられた眉が緩み、口角は上がり、笑顔になった。アナキンは立ち上がって機内後部に振り向いた。
「ナマエ!来てくれ!面白いものを見つけたんだ!」
返事はない。
「ナマエ!」
全く。アナキンはムッとして奥のキャビンにずかずかと向かった。そしてクルー休憩用ベンチに横たわって寝たふりで無視をつらぬくナマエを揺さぶった。
「ナマエ!起きるんだ、ほら!」
揺さぶられるナマエのこめかみに青筋が浮く。この男は時々ものすごく自分勝手だとナマエは思う。ナマエが何かをしている最中だとか、たとえ寝ていてもアナキンはこうして彼女の注意をむりやり向けようとすることがある。
ナマエはしかたなく起き上がった。
「何だよ。コルサントに着いたら起こすように言っただろ……」
「見て欲しいものがあるんだ。これを見たらカフェインをたくさん摂るより、何百倍も目が覚める。ほら、こっちに座って。見てくれ」
アナキンも彼女のベンチに座って彼の近くに座るように隣を軽く叩いた。ナマエはアナキンの隣に這い寄り、データパッドを覗き込んだ。
「はあ。『それは彼らが出会った日だった。彼らは初めて会ったその日から火花…いや、内なる炎を感じた。』何だ……小説?」
ナマエはその文章を読みながらあくびをした。
「続けて」
アナキンはにやにやしながらあごで指し示すだけだった。彼は彼女の反応を見て、そしてからかいたかった。
「何なんだ」
肩をすくめて、ナマエはそれから小説の残りの部分を読み始めた。
「ううん。私とお前が小説に出てるのか?しかもなんか雰囲気が……もう怪しいぞ。」
アナキンは彼女が読むのを見ながら、すでに笑いを抑えるのが難しかった。物語は、彼らが情熱的な禁断の愛に落ちるという、感傷的なラブストーリー。ぜんぜん彼女に似合わない。
ナマエの目が文字を追い続けて左右を往復する。そして彼女の眉間にしわが寄せられた。
「おい。小説で何か私たちが急に戦場でキスし始めたぞ!何が起こってるんだよ!」
ナマエの叫びにアナキンはとうとう吹き出して笑いながら膝を叩いた。笑いすぎて、ほとんどデータパッドを落としそうになった。
「いいから読み続けてみてくれ!行を読み飛ばさずにね。笑える部分がまだまだある。」
「どうなってるんだ?キスをより印象的にするために戦場での爆発まで背景にしてる。これもう何というか……」
「言っただろ!」
アナキンはまだ大笑いしていて、お腹を抑えていた。
「ああ面白い、少し泣きそうだ。読み続けて、この次の部分はもっと……ハ、なんて言うか、最高だから。」
彼は彼女の肩に腕を回し、彼女を引き寄せた。ナマエが次のもっと直接的でセクシーなシーンにたどり着いた時、彼女がどう反応するか見たかったのだ。
「『彼らはお互いのチュニックに手をかけ……』って、待て!これ正気か?戦場のど真ん中のキャンプでなんか始めちゃってるぞ、私達!しかも、なんで小説の中の私はこんなに押しに弱いんだよ!もっとこう何か……抵抗してくれ、せめて!」
アナキンはゾッとしてるナマエを見て笑い続けた。いつも冷静で落ち着いているナマエが取り乱してる。彼は彼女にさらに近づいた。彼女の髪の香りがした。アナキンは得意げに片方の口角を上げて言った。
「『彼女は彼のなすがままだった』って書いてある部分を忘れずに。そこが最高の部分だから。しっかり声に出して読んで」
「読むか!アホ!」
ナマエは彼の膝にデータパッドを放り投げた。
「何でこんなものにたどり着いたんだ?」
「暇だったから、ホロネットを見てたんだ。ニュースとかね。そしたらアルゴリズムがこのページを拾ったんだ。ほら、コメントも読んだ方がいい。」
「コメント?」
ナマエが怪訝に彼のデータパッドをのぞいた。アナキンはパッドをスクロールしながらコメントを読み上げた。
「ほら、『戦場のシーンは最高です!』とか。『ファンフィクションサイトのトレンドリストにアナキン/ナマエが載った!』とか。」
「こういうのを規制できる法律とかないのか。私たちは仮にも平和の守護者だぞ。」
「表現の自由っていうだろ?」
この話題であと数ヶ月はからかえるな、とアナキンはほくそ笑んだ。ナマエは寄りかかってくるアナキンを振り払った。
「重い。ああ、何か全部お前のせいな気がしてきたぞ。お前の距離感センサーが取り返しのつかないほど壊れてるから、私たちは勘違いされるんだ。適切な距離感を保つことが始めろ」
「申し訳ないけど僕の距離感センサーは正常に作動してる。」
アナキンは得意げに口角を上げた。
ナマエはため息をついてふたたびベンチに横たわった。
「もう一回寝る。くだらないことでまた起こすんじゃないぞ」
「くだらない?僕たちはトレンドリストに乗りさえしたのに」
ブランケットをすっぽりかぶって無視しようとするナマエに聞こえるように言って、アナキンは最後まで彼女をからかうのを楽しんだ。
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翌日、彼らは昨夜ミッションの報告を終えてジェダイ寺院に無事到着していた。ナマエは朝餉をジェダイ寺院のカフェテリアで食べていた。
「おはようナマエ。座っても?」
「良くない」
期待通りの反応。アナキンは気にせず彼女の隣に座った。アナキンはナマエの言うことをそもそも聞かないのだ。
「残念だけどもう座った。そしてどこにも移動しないから、そのつもりで。」
ため息。
アナキンはナマエのすぐ隣にいて、肩と脚がほとんど触れていた。ナマエが迷惑そうな顔を向けると、彼は口角をあげた。彼はあの小説を読んだ今となっては、もう彼女を別の視点でみているようだった。アナキンは頬杖をついて微笑みながら彼女を見つめた。
「調子はどう?」
「朝ごはん食べろよ」
アナキンは小さく首を振ってフォークで彼の皿からフルーツの一切れを刺し、にやりとした。
「朝から不機嫌だな。ほら、口開けて。」
彼はそのフルーツを彼女の唇の近くに持っていった。
「いいって。自分で食べれる」
「何だよ。やったことあるじゃないか」
「パダワンの時の話だろ!フォークをどけろ、たたき折るぞ!」
「ナマエ、アナキン、おはよう。朝から穏やかじゃないな。」
アナキンとナマエはぱっと顔をあげると、オビワンが口角を上げて二人を見下ろしていた。
「おはよう、オビワン。アナキンがうっとおしいから何とかしてくれないか?弟子だろう」
「うっとおしい?君がよそよそしいだけだ。僕たちは仲がいいだけなのでお構いなく、マスター」
オビ=ワンは困ったように肩をすくめてアナキンとナマエの向かいに座った。
「ナマエ、昨日のミッションはどうだった。インナーリム外の辺境の星に行くのは久しぶりだっただろう。」
「暑かった。でもあの惑星に原生する植物や生物達は興味深い。個人的にまた近いうちに訪れたいな。」
「そうか、良かった。」
アナキンはオビワンとナマエが話してるのを見て彼は不機嫌にフルーツををフォークで突き刺した。ナマエの注意を自分に向けて欲しかった。
「確かに。現地の植物を観察するのに夢中で、巨大な蜘蛛型の生物に襲われかけたのは誰だった?僕が助けてやったんだぞ。どういたしまして。」
「はあ?自分で何とかできたっつうの!」
ナマエはすぐさま反論した。
アナキンは椅子にもたれかかりながらニヤリと笑って言った。
「何とかできたって? 蜘蛛が苦手なくせに。その場で固まってたじゃないか。僕がいなかったら、君は2、3年間はずっとそこに立ち尽くしてただろうな。」
「仕方ないだろ、蜘蛛嫌いなんだよ!あの膨らんだ腹、たくさんの足、早い動き!」
ナマエは自分を抱きしめながら巨大な蜘蛛を思い出して震えがっていた。ナマエは戦いでは勇猛果敢なくせに、蜘蛛が苦手だった。アナキンはかわいいな、と思った。
「小さい蜘蛛ですら?意外な弱点だな」
「寧ろ蜘蛛を好きなやつの方が少ないだろ!なあ、オビワン!」
ナマエはオビワンに助けを求めた。
「まあ、確かに。一部の愛好家を除いては、かもしれない。」
オビワンはナマエに微笑んだ。アナキンがすかさずオビワンに言った。
「ところでそれよりも面白いことがあって…」
アナキンはにやりと笑って話し始めた。ファンフィクションの小説について持ち出すつもりだった。ナマエはそれを察して慌てて立ち上がった。
「食べたからもう任務の準備しないと!それじゃ!」
「待て、逃げるなよ!」
アナキンも立ち上がった。いつも通りナマエをアナキンが追いかける光景をみてオビワンは頭を掻いた。
ナマエがカフェテリアを出てから少し歩いたところで、背後から足音が近づいてくるのに気づいた。彼女は立ち止まり、振り返ると、アナキンが口角を上げて腕を組んで柱に寄りかかっていた。
「まだ何か用か」
ナマエはわずかに不機嫌な顔で言った。
アナキンは息を吐いてから、いたずらっぽく微笑んだ。
「ファンフィクションの話だけど。もし僕たちが本当に…小説みたいに付き合ったら、どんな感じだと思う?」
「またそれか。そんなこと考えたこともない。」
「でも、もし考えてみたら?」
アナキンは彼女の返事を遮るように言った。
ナマエはその質問に対してどう答えるべきか一瞬迷った。それから肩をすくめて答えた。
「喧嘩が多い。」
アナキンはナマエの短い答えにくっと笑った。
「喧嘩だけ?」
「まあ…お互い譲らないところがあるし。」
「僕はそうは思わない。」
アナキンは口角を上げて一歩ナマエに近づいた。
「全然そう思わないよ、ナマエ。君となら、もっと楽しいことがたくさんあると思う」
アナキンは優しく言ってから、そっとナマエの髪を彼女の耳の後ろにかけてやった。
勝手に思っとけ、とか、何か皮肉の一つでも言ってやるつもりだった。でもそのかわり、ナマエは何も言い返せなかった。
しばらくの間、二人の間には言葉がなく、その静寂には彼らが今まで持ったことのない不思議な感覚があった。
やがて、ナマエは軽く息をつき、無理にこの微妙な空気を切り替えようとした。
「どうかな」
それだけいってナマエは歩き始めた。
アナキンは微笑んで頷き、彼女の隣を歩いたが、彼の心にはまだその問いが残っていた。そして、それが二人の関係に新たな意味をもたらすことを、彼は願っていた。
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翌日、ナマエとアナキンは再びミッションに出ることになった。今回は、アウターリムとインナーリムの間くらいに位置する小さな星系での任務だった。分離主義者が基地を設置するために現地の村を攻撃し、人々が避難を余儀なくされているとの報告があり、彼らはその救助と部隊の撃退に向かった。
彼らは即座に行動に移り、ライトセーバーを手にドロイドと戦いながら、住民たちを安全な場所へと誘導した。彼らの迅速な行動が功を奏し、多くの住民が無事に避難することができた。
ドロイドをすべて片付けた後、避難施設の一角にいた女性が駆け寄ってきた。
「ありがとう、あなたたちのおかげで家族も私も怪我なく済んだわ」
「いや、無事でよかった。」
「あなた達の活躍についてホロネットでよく見てる。だから本物に会えて嬉しいわ。ファンなの。特にあなた達2人の。」
「僕と彼女の?」
アナキンは意外そうに言った。
「そう。あなた達2人が特に好きで。あなた達についての活躍のホロ記事も保存してる!」
「そ、そうか。ありがとう」
ナマエは戸惑いながらもお礼を言った。
「本当よ。だからずっと応援するわ、あなた達二人。命を助けてもらったし。気をつけてね」
その言葉に、ナマエとアナキンは少し驚いたが、彼らは一瞬目を合わせ、やがて照れくさそうに微笑んだ。
その後、村人に礼を言ってから、二人は再び任務に戻り、無事にその場を離れた。
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帰りの輸送船で、ナマエとアナキンは並んで座っていた。静かな船内で、ナマエは自分のライトセイバーを手入れし、アナキンは外を眺め、彼らはそれぞれの思いにふけっていた。アナキンがふと口を開いた。
「彼女がファンフィクションの作者だったりしたかもしれないな。」
「はあ?」
「つまり、彼女は僕達2人のファンだと言っていた。」
その言葉に、ナマエは片眉をあげてアナキンを見たが、すぐに呆れたように言った。
「どんな確率だ」
「あり得るだろ」
アナキンの主張にナマエはライトセイバーのエミッターを磨きながらただ息をついて口角を上げた。
「ファンサービスでハグの一つでも見せてやればよかったかな。」
アナキンはさりげなく言ってから反応を伺うようにちらりとナマエを見た。
ナマエは軽く肩をすくめながら言った。
「かもな。ビジネスハグ。」
「ビジネス…なるほど。」
アナキンは少し乗り気に返事したナマエに意味深な笑みを浮かべて言った。
「ハグだけ?」
「だけ」
「わかったよ。頑固だな」
アナキンはしばらく自分のライトセイバーに集中しているナマエを優しい視線で見つめた。アナキンは一人で笑みを深めながらも、それ以上は何も言わず、静かな時間が流れた。外の宇宙空間を眺めながら、アナキンは彼女との心地よい沈黙を楽しみながら思いを馳せた。「ビジネス」という口実でこれからどれだけ彼女に彼がハグを要求できるか。そして、いつか小説のように…。アナキンは小説のように彼らが戦場のど真ん中で爆発を背に唇を合わせる姿を想像して、ほんの少しの憧れと馬鹿馬鹿しさにもう一度一人ひっそり微笑んだのだった。
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