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「正直、恋愛の禁止って難しい話だ。君はどう思う?」
「さあ。まあでも、私達も人間だし」
薄暗くも賑わってるカンティーナでアナキンとナマエはカウンター席に隣同士に座っていた。飲ませてみたら、こんなに色々と話してくれるとは。アナキンはナマエの内心を聞けるまたとない機会に心を躍らせながら、少し憤ってもいた。こんなに酒に弱いなんて聞いてない。いくら強いジェダイの戦士の一人とはいえナマエは女性だ。こんなに無防備で大丈夫なのか。
今自分がしている話題など棚に上げアナキンは少しナマエを心配した。
「誰か気になる人が?」
アナキンは自分で聞いておいて少し緊張していた。肯定されたら生きていけない。
「ああ…ない。いない」
アナキンは内心ほっと胸を撫で下ろした。
「そう?じゃあ君は掟を真面目に守ってるわけだ」
「別に掟のためじゃない」
「好きなタイプは?」
アナキンはグラスをあおりながら尋ねた。
「それは、わかるだろ。ほら、優しいとか…頼りになるとか、強いとか」
「優しくて頼りになって君より強い男が君のタイプってこと?」
「タイプじゃなくて、希望っていうか」
「まあ、でも優しくて頼りになって君より強いやつって。例えば、僕とか?」
ナマエの反応を見るためにアナキンは彼女の表情をちらりと伺う。
「うーん……」
ナマエは曖昧な反応だった。酔いすぎて話もあまり聞いていないのかもしれない。でも、ここをはぐらかされるのは困る。
「僕はどう?」
しつこいと思いながらもアナキンは食い下がってみた。確信できる反応が欲しかった。ナマエはうーん、と少し考えてから口を開いた。
「アナキンは…なしかもしれない」
「……」
あっさり言われた言葉にアナキンはしばらく口を閉じて何も言えなかった。なし?この僕が?
「信じられない。どこがなしだって?」
アナキンはなんとか笑ってみせた。が、正直不満だった。実際アナキンは自分の魅力に自信があった。顔、スタイル、強さ、若さ…ここまで揃っている。彼女は自分の何が不満なのか?実際ナマエとは付き合いも長い。自分とナマエはこれ以上なく完璧な2人のはずだ。アナキンの思いなど知らず、ナマエはぼんやりと答えた。
「めんどくさそうな感じがする」
「はあ?めんどくさい?僕が?」
「いやいや!なんか……ほら、同じジェダイだとか!」
ナマエは慌ててフォローする。
アナキンはさらに怪訝そうに目を細める。ナマエは彼らのジェダイという立ち位置ではなく、明らかに彼の性格について言及した。性格でダメ出しされるとは思わなかった。
「嘘だ。単純な男がいいと?」
「そういうわけではないけど…いや、めんどくさいよりいいのか…」
はっきりしない。
「でも相性も大事だろ。僕は君とこの上なく相性がいいと思うけどね」
「まあ、それは否定しない」
きた!アナキンは内心ガッツポーズをした。やっと本題に入れる。
「それで君は認めたわけだ、僕たちの相性がいいことを。それはいいスタートだ。」
「スタート?何の話だ」
「何の話か知ってるだろ。もう僕らはタトゥイーンの子供じゃない。僕らは大人だ、ナマエ。」
アナキンはそっとナマエの手の上に彼の手を置いた。しかし、ナマエは彼の手の下から彼女の手を引いた。彼はその動作にムッとした。つれない。酔ってるんじゃなかったのか。
「大人だが、ジェダイだ。」
「ああ、うんうん。コードの話は今はいい。僕らの相性がいいって話に戻ろう。付き合いが長いし、同じジェダイだし、お互いを理解してる。」
アナキンはナマエの空のグラスにお酒を注ぐと、ナマエは手をひらひらとさせて拒否した。
「ああ、あとはいい。飲みすぎてる感じがする。頭がふらふらするんだ」
「もう注いだよ。いいだろ、あと一杯だけ。ナマエがこんなに個人的なことをたくさん話すのは珍しい。素面になったら勿体無いんだ。」
アナキンもほろ酔いだったが、彼はまだまだ正気だった。彼女だって酒を断ったくせに、彼に注がれたグラスをすでにゆっくりあおっていた。それを見て彼は微笑まざるを得なかった。こんな機会は本当にまたとない。
「暑いな。店内に人も増えてきたし。」
「ローブを脱いだら?大歓迎だよ」
「確かに。そうするか……」
「え?ああ……。」
アナキンは肩すかしを食らった気分だった。いつもジェダイローブを羽織って、しかもフードまで鉄壁がごとく深く被ってるナマエだ。たくさんの人がいるカンティーナのような場所で素直に脱ぐのは珍しかった。アルコールの力は偉大だ。アナキンは圧倒的勝利を感じた。
「いいね。」
ナマエがジェダイローブを脱いだので、彼女の汗ばんだ首や鎖骨が晒された。とはいえ、それでもチュニックを着てるから別に露出が多くなったわけじゃない。でも少なくとも首と顔が見える。見えないより良い。否、俄然良い。
「じろじろ見るなよ」
「あ?ああ…いいじゃないか。いいなって思ってるだけだよ。顔も…首まで赤い。」
ナマエはアナキンの言葉に少し照れてるようだった。彼はにやりと笑って彼女の手にもう一度触れた。
「知ってた?君って綺麗だ…酔ってると特に。上着を脱いだのは僕のためだ、そうだろ?」
今度は顔を近づけてほとんど彼女の耳の近くで話した。彼女の髪の香りとアルコールの息の香りを感じた。多分彼女もアナキンを嗅ぐことができた。
「やめろ。お前はなしだって言っただろ。」
「めんどくさそうだから?」
「そうだ。それに我慢強くもないっ」
ナマエはアナキンの手を振り払った。彼は彼女のつれなさに苛立ちを感じたが、同時に少し胸が高鳴った。
「我慢強くないだって?」
アナキンは皮肉っぽく言った。
「そうだね。でも誰のせいだと思ってるんだ?さっきから微妙に僕をかわそうとして…こんな満員のカンティーナじゃなかったら、僕が君に何ができたか…」
「アナキン、離れろ」
彼はもうナマエの言うことを聞く気になれなかった。彼らが素面じゃなくてもなんだろうと、この機会を利用するしかない。
「今だってできる」
アナキンはそう言ってナマエの唇に、彼の口に唇を寄せた。
「いや、本当にやめろ」
「うるさいな」
「待て!ちょっと聞いてくれ!」
「黙れよ!待たないし聞かない!往生際の悪い…」
アナキンは彼女の両肩を抑えようとした。
しかし、彼女は突然立ち上がって口元を抑えた。
「うっ……飲みすぎた!吐き気する、気持ち悪い…めちゃくちゃトイレに行きたい!」
沈黙があった。
「……何?」
アナキンは怪訝に眉を顰めた。が、すぐにアナキンはナマエが逃げるためにこの言い訳を使っているんだろうと推測した。盛り上がっていたのに、そんなふうに中断されるなんて。
「ちょっと待て。ナマエ…」
しかし立ち止まり、彼女の具合悪そうな表情を見た。ナマエは多分嘘をついてなかった。
「わかったよ…一緒に行く。」
彼は立ち上がり、彼女の肩に手を置いて支えながら歩いた。心の中でナマエのことを心配しつつも同時に失望感も感じていた。あと少しでキスしそうだったのに……くそ。
アナキンはトイレに鍵を掛けた。彼は洗面台に俯くナマエの背中を撫でてやった。
「うっ…吐きそうなのに吐けない…」
「大丈夫か?ゆっくり呼吸して…」
アナキンは優しくなだめるように言った。彼はまだ彼女への心配と下心が互角に戦っていた。ナマエが吐こうとしてるのを見て、アナキンは彼女の顎をやさしく掴んで言った。
「少し苦しいかもしれないけど、耐えるんだ。」
アナキンはナマエの口の中に指を入れ、彼女の喉奥を優しく押し、嘔吐反射を誘発させようとした。ナマエは苦しそうに喘いだ。
「頑張れ。もう少し。」
ナマエは込み上げる嘔吐の感覚とともに少し涙を目に貯めていた。アナキンはそんな彼女を見て彼の中の何かが刺激された気がしたが、今は彼女を吐かせることに集中した。
「そうだ…吐くと気分が良くなる。頑張れ。」
ナマエはなんとか吐くことができた。静かなトイレで洗面台に水を流す音と彼女の荒い呼吸だけが響いていた。アナキンはナマエを支えながらも鍵を開けた。
「もう帰ろう。君がここまで具合が悪くなる前に気付くべきだったよ。」
アナキンはナマエを支えながらカンティーナを出て、彼女の宿舎に連れて行った。足で彼女の部屋のドアを開け、電気を付け、ナマエをベッドに寝かせてやった。横たわるナマエはいつもの皮肉で強気なジェダイナイトではなく、より儚げで繊細そうにみえた。
「具合は?」
「かなり良くなった……」
ナマエは衣服を緩めて大きく息を吐きながら彼に言った。ナマエが枕に顔を寄せるとその前髪が数束顔に垂れた。
アナキンは自然に彼女のその前髪を彼女の耳にかけてやった。彼女は許可なく触られるとムッとすることがあったので、彼はしまった、と思ったが、意外にも彼女は文句を言わなかった。むしろ彼女はほんの少し目を細め、口角を上げた。
アナキンはその微笑みを見て、限界だと思った。彼女は気分が悪くて吐いたばかりだったが、実力のあるジェダイナイトだ。なんとかなるだろう。実際、アナキンはナマエの気分を良くするのを手伝ったので、見返りを請求する権利があるだろう。彼の中で、彼女を欲しがる気持ちが大きくなっていった。
アナキンはベッドに膝を乗せて、彼女の上に移動した。ナマエはただぼんやりとアナキンを見つめていた。アナキンも彼の下に横たわる彼女を見つめ返した。アルコールはお互いに冷め始めていた。だが、まだ熱があった。そして、酒による熱ではない。
アナキンはそっとナマエの首に顔を近づけようとした。
しかしその時、ナマエが彼の袖を掴んだ。
「アナキン…ありがとう…背中さすってくれて嬉しかった。」
彼は固まった。
弱々しいが、優しい声だった。いつもの生意気さはない。
「……気にしなくていい。」
彼は短く答えた。それしか言えなかった。
彼はしばらくその体勢のままだったが、やがてゆっくり起き上がった。それから黙って彼女に毛布をかけてやって、電気を消し、ナマエの宿舎を去った。
──ずるい。
アナキンは自分の宿舎に早足で歩きながら考えた。そんなふうに感謝されたら、彼は決してあの状態のナマエを利用することなんてできなかった。あんなふうな彼女はよりアナキンの欲望を煽るだけなのに、その一方で、彼に自分の欲望に従うことを困難にさせた。ずるい。いつもナマエは彼の言うことを聞かず、皮肉さえ言うくせに。なぜ彼女はさっき、あんなにも穏やかに。
アナキンは彼の部屋に戻り、ナマエのことを考えていた。さっきのナマエの声や表情がアナキンの心から離れなかった。それは彼女のいつもの反抗的で、気怠げな態度とは違って、それは彼を動揺させた。ナマエがアナキンの名前を優しく呼んだ時の声...
「ずるい……」
彼は独りでつぶやいた。彼の部屋の明かりはまだしばらく消えなかった。
翌日、ナマエは訓練棟に行く途中でアナキンに会った。彼女はさりげなく彼に近づいた。
「アナキン、おはよう。昨夜は迷惑かけたな。まあ、実は飲みすぎたからあまり覚えてないんだけど…とにかくありがとう。部屋に連れてってくれたんだろう?」
覚えてない。その言葉に彼の眉毛が少し動いた。アナキンは少し不機嫌そうだった。視線も合わせなかった。
「おはよう。どういたしまして。」
アナキンの不機嫌そうなオーラにナマエは内心冷や汗をかいた。吐くのを手伝ってもらった記憶はあるし、全容はなんとなく覚えていたがアルコールが入ってる時の記憶なんてほぼアテにならない。もっと何かをやらかしたのかもしれない。
「あ、お…怒ってるのか?す、すまない。あと、繰り返しになるけど、ありがとう。その…機嫌直してくれると嬉しい…」
アナキンは、ナマエが困った表情を浮かべたことに、思わずちょっとだけ満足感を覚えた。いつもぶっきらぼうで距離を置いているのは彼女の方だったのに、今度は彼がすこし拗ねてみただけで、彼女のほうが困惑してる。いい気味だ。
「怒ってない」
彼は表情を変えないよう試みた。が、つい徐々に口角が上がってしまう。
「でも僕の機嫌を直したいなら、そのための努力が必要だと思うよ」
「努力?…じゃあ、次飲む時は奢るよ。」
アナキンの目が彼女の言葉にわずかに輝いた。また二人で飲める。全然悪くない。進展だ。しかし彼はさらに考え込むふりをした。
「ああ…。それも悪くないけど、それより欲しいものがあるんだ。」
彼は少し身を乗り出し、低い囁き声で言った。
「昨夜、君が台無しにしたものをくれないか?」
アナキンは言ってから、ナマエのぽかんとした表情を楽しんだ。
「何かは君が当ててみて。昨夜を思い出そうとすれば当てられるはずだ。」
ナマエは怪訝に眉を顰めながら考えて、それから顔がどんどん赤くなった。
「覚えてない!」
ナマエはアナキンに歯を剥いて言った。アナキンはにやりと口角を上げて、彼女の視線の高さまで身を屈めた。
「もちろん覚えてないだろうな。でも酔ってる君は無防備で、ローブとフードまで脱ぎ始めた。良かったよ。時々そんなふうになった方がいい。」
「ああ、黙れ!」
ナマエは彼に軽く拳を投げたが、彼は簡単に彼女の拳を受け止めた。そして彼はぎゅっと彼女の拳を引き込んで[FN:名前]を抱きしめた。
そして、そっと優しく彼女の額に唇を当てた。
「わああ!何するんだ!」
「唇にしなかっただけ僕に感謝したほうがいい。昨日君が台無しにしたものを回収しただけだよ。」
ナマエは彼から飛び退いた。アナキンは口角を上げて得意げに動揺してるナマエを見た。ナマエは額を抑えながら大きく息をついた。
「ああ…え?…台無しにしたって…それか。…何だ……てっきり……部屋で……」
「部屋?」
アナキンは目を細めた。
「あ…いや、違う!全く、全然、誓って、何でもない!忘れた!覚えてない!」
ナマエは口を押さえてもっと真っ赤になった。アナキンはナマエの動揺にくすくす笑った。彼は彼女が何を勘違いしたのかをすぐに理解した。そして、もうそれについてからかわずにはいられなかった。そうだ。結局彼女は全部覚えていた。
「嘘だ。覚えてるくせに。言ってみろよ、ナマエ。君の部屋で何だって?」
彼は低く、ほのめかすような声で言いながら、再び彼女に近づいた。
「僕は覚えてる。『アナキン、ありがとう……背中さすってくれて嬉しかった…』だっけ?結構可愛かったよ。僕の我慢を褒めて欲しいね。」
アナキンが裏声でナマエの声真似をした時、ナマエは苛立ちでますます彼を睨みつけた。
「それは、お前が吐くのを手伝って部屋まで連れてってくれたから感謝しただけだろ!」
「何だよ、ほら。やっぱり全部覚えてるじゃないか。」
「ああうるさい!この話は終わりだ!」
ナマエは彼に背を向けて立ち去ろうとした。アナキンは大きく笑いながら今度は後ろから彼女を抱きしめた。やめろ、とか、はなれろ、とかナマエは暴れて、アナキンの足を踏んだりして痛かったけど、彼は決して彼女を離さなかった。
「やっぱりいいスタートだ。」
彼は間違ってなかった。アナキンは勝ち誇ったように微笑んで、ナマエの髪にそっと顔を埋めた。そしていつかまたナマエのあのやさしい声色で彼の名前を呼ぶ声をもう一度聞くことを夢見たのだった。
今度はアルコールがない時に。
(その酔いが覚めるとき)
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