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2016.12.31

ライブ開始15分前。スクリーンに栞真都がドアップで現れる。引いてみるとそこは何やら控え室の前のようだ。

「これから、本日の主役にドッキリを仕掛けたいと思います」

マイクを片手に囁くような声で言う。もう片方の手には”識”とミミズが這うような字で書かれた小さなケーキを持っていた。

そこへ2から3本のクラッカーを手にした花芳あおは、遥樹がやって来た。ライブの準備をしていたのか、遥樹は中途半端に衣装を着ていた。

「準備整いましたよ!あおはも手伝ってくれるって」
「手伝えるのは順番的に私たちぐらいだものね」
2人とも小声で言う。それを聞いて栞は「ありがと」と一言で返す。

「俺が今日は何の日か聞いて、シッキーが答えたら、クラッカーからのおめでとう、だからな!」

ケーキをあおはに持たせ、念を押すように言った言葉に花芳姉兄は強く頷く。

いよいよ10分前になった時、控え室のドアを強く開ける。

「シッキーお疲れ!!!」

栞が上ずった声で言う。

「え、ウス…お疲れ様です」

戸惑ったように返す識は衣装に袖を通している所だった。
後ろの2人にも気づき、どうしたのかと不思議そうに栞を見つめている。
確実に識は違和感に気づいているが、含み笑いで栞は続けた。

「今日は何の日でしょうかぁ~~?!」

「カウントダウンライブっす」

そう答えた瞬間、パンと大きな音が数回響き、辺りに紙テープや金銀の細かいナイロンが舞った。

クラッカーを持っていた遥樹の方を全員が見る。しまったといった顔をしてるが反省の色は感じられなかった。

「はるくん!!!!」
「遥樹――――!!」

心底がっかりしたように言う2人を横目に、識は何が起こったかあまり理解出来てない様子で首を傾げた。

「シッキーよく聞けよ」
「はい」

焦りを隠すように真面目な顔で栞が言うと識は素直に返事をする。

「今日はライブもそうだけど…」

そこまで言い、あおはに目配せする。
あおはは了解したと言うようにケーキをそっと差し出した。

「ハッピーバースデーだぞ、シッキー!!」

栞が識をガッと抱き寄せ、すぐに”今日の主役”と書かれたタスキをかける。ようやく状況を飲み込めてきたらしい識は少し照れくさそうな表情を浮かべている。

「ちょっと失敗したけどシッキー、今の気持ちは!?!?」

「普通に嬉しいです」

偽りのない言葉に心底安心したように
栞は笑い、それに応えるように識も笑顔になる。

サプライズ第1弾は失敗に終わってしまったが、識を喜ばせることは出来たらしい。
猛省する遥樹とそれを叱るあおはを横に満面の笑顔とはにかみを映しスクリーンは暗転した。

音楽が鳴り始め、ステージには5つの影が現れる。一気に空間は歓声で溢れた。



_識くん誕生日おめでとう!!!
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