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gnsnCP系SSまとめ(全年齢)
放浪者の名前
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空は青々。のどかに揺蕩う雲と白く眩い太陽を携えながら、それは今日も人々の天上に広がっている。そう言えば陽気な空気を思わせるが、しかし風だけは少し優しさが物足りない。ぴゅうと吹く度、冷たく肌の温度を攫った。
「うぅ〜、寒いぞ……」
「パイモンはまだマシでしょ。私の方が薄着で辛いよ」
「なら上着を持てば良かっただろう。一枚くらいないのか?」
「この前ヒルチャールに破かれちゃったの。だから今はない。モラもぜーんぶパイモンのお腹の中だしね」
「うっ……だから謝っただろ」
「そうだねー。謝っても私は寒いままだけど」
いつもより小さくなったパイモン。気まずそうに絞り出した言葉に意地悪く返すと、彼女は今にも地べたに落ちそうなほど凹む。蛍は別段怒っていない。相棒がひもじい思いをするのと自分が少し凍えること、天秤は全く釣り合わない。しかし寒いものは寒いのだから、これくらいの意地悪は許されたい。それに毎度食費で頭を悩ませ続けているのだから、これを機に改善してもらえたら嬉しいという考えもあった。パイモンがそう出来るか、は何とも言えないが。
その時、緩い風が吹く。やはりそれは冷たくて、蛍は小さなくしゃみをした。服を伸ばしてみても守られる範囲に大きな差はない。やっぱりもうちょっと怒ろうかな。そんな思考が脳を掠めた直後、空気が小さく歪む衝撃を覚えた。
「寒っ! えっ、つめた!」
「こんなものでグダグダ言いたくなるなんて。本当に脆弱だね、君達は」
「何で今圧縮したの!?」
「別に。たかが微風に振り回されてる君が哀れで仕方なくてね。笑いが込み上げてしまいそうだ」
「あなたのそれって面白い時に出るものなの……?」
隣を見れば、放浪者の手に大気の塊が浮いていた。しゅるしゅると渦巻くそれは、周囲の空気を吸い込み震えている。それが急な寒気の正体だった。
放浪者は嘲るように目を細めている。しかし視線は蛍でなく、どこか遠くを見ているよう。
「生き物って、不便だね」
そして温度の薄い息と共に一言、それだけを呟いた。
「うぅ〜、寒いぞ……」
「パイモンはまだマシでしょ。私の方が薄着で辛いよ」
「なら上着を持てば良かっただろう。一枚くらいないのか?」
「この前ヒルチャールに破かれちゃったの。だから今はない。モラもぜーんぶパイモンのお腹の中だしね」
「うっ……だから謝っただろ」
「そうだねー。謝っても私は寒いままだけど」
いつもより小さくなったパイモン。気まずそうに絞り出した言葉に意地悪く返すと、彼女は今にも地べたに落ちそうなほど凹む。蛍は別段怒っていない。相棒がひもじい思いをするのと自分が少し凍えること、天秤は全く釣り合わない。しかし寒いものは寒いのだから、これくらいの意地悪は許されたい。それに毎度食費で頭を悩ませ続けているのだから、これを機に改善してもらえたら嬉しいという考えもあった。パイモンがそう出来るか、は何とも言えないが。
その時、緩い風が吹く。やはりそれは冷たくて、蛍は小さなくしゃみをした。服を伸ばしてみても守られる範囲に大きな差はない。やっぱりもうちょっと怒ろうかな。そんな思考が脳を掠めた直後、空気が小さく歪む衝撃を覚えた。
「寒っ! えっ、つめた!」
「こんなものでグダグダ言いたくなるなんて。本当に脆弱だね、君達は」
「何で今圧縮したの!?」
「別に。たかが微風に振り回されてる君が哀れで仕方なくてね。笑いが込み上げてしまいそうだ」
「あなたのそれって面白い時に出るものなの……?」
隣を見れば、放浪者の手に大気の塊が浮いていた。しゅるしゅると渦巻くそれは、周囲の空気を吸い込み震えている。それが急な寒気の正体だった。
放浪者は嘲るように目を細めている。しかし視線は蛍でなく、どこか遠くを見ているよう。
「生き物って、不便だね」
そして温度の薄い息と共に一言、それだけを呟いた。