BSR

※死ネタ

 土に血が染み込んでいく。
 赤黒いその傍らで、もうすぐ聞けなくなる声に耳を傾ける。
「やっぱり、強いね、あんたはさ……」
 男の顔に苦悶の色はない。それどころか憑き物が落ちたように晴れやかだった。押し黙ったままの小十郎を不思議そうに見つめるも、やがて穏やかに笑った。
「そんな顔……してちゃあ、だめ、だろ。……もう、行きなよ」
 絶え絶えの言葉と溢れる血を吐き、短い呼吸を繰り返しながら、何も言わない小十郎に困った人だとでもいうように苦笑して、ゆっくりと目を閉じた。
 地に横たえた男の傍らで、小十郎は結局何も言わずに顔を伏せた。見守っていた兵の一人が、狼狽えた声を絞り出す。
「こ、小十郎様……?」
 それに応えるように、静かに立ち上がって男のそばを離れる。刀に付着した血を振り払い、兵達の方を向いた。
「なんでもねえ。行くぞ、てめえら」
「へ、へい。でもあの、いいんすか?」
 兵がちらりと男に目を落とす。それを追わずに小十郎は歩き出した。
「一人、男が死んだだけだ」
 それだけだと、小十郎は常と変わらぬ表情で前を見据えながら、そう言った。
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