SRWOG
ヒゲに乗った王子様
「ラウル!」
迫る切っ先に気付き、フィオナは声を荒げた。はっとするもラウルの反応は遅れ、衝撃に備えて歯を食いしばる。
しかしその切っ先は眼前で弾かれた。現れた機体に二人は目を見張る。
どちらかといえば鳩が豆鉄砲を食ったような顔だったフィオナは、どこか感心したように表情を変え、ほぼ初対面に等しい搭乗者に通信を入れた。口元を緩ませる。
「改めて礼を言わなくちゃね、ヒゲに乗った王子様」
「……なんのことだ?」
その珍妙な呼ばれ方に、アクセルは片眉を吊り上げた。
通信画面に目を向けた矢先、短い電子音が鳴った。吊り上げたばかりの片眉を再び吊り上げるも、それに応じる。フィオナの映るものとは別の画面がモニターの端に現れた。
「前も颯爽とピンチに現れたんでしょ? その分も含めての礼よ」
「必要ない。こちらもそれなりのことをしたからな、こいつが」
薄ら寒い呼ばれ方の理由にすぐに思い至り、間を置かずして返した。アクセルとしては言うまでもないことだったが。
同様に、フィオナもまた彼が拒否した理由にすぐに思い至って、少々意地の悪い笑みを見せた。
「ああ、あなたも私を次元のいずこへすっ飛ばした要因ですもんね。なら、貸し借りなしってとこかしら?」
「……そういうことだ」
「了解。王子様」
そんな皮肉を残して通信を切る。消える間際に映った顰め面に優越感を覚え、フィオナは笑みを零す。その心地よさを乗せるように、戦線に戻るべくバーナーを噴かした。
「で、貴様も同じ用件か?」
顔を顰めたままアクセルは口を開いた。モニターの端を一瞥する。
音声のみの通信画面。先程、フィオナとほぼ同時に入ったものだ。
沈黙は肯定と取ったがしかし、今までの会話を聞いたからなのか。
「……礼は要らないんだろ」
プツンと通信が切れた。
幾分か低い、怒気を含んだ声音ながらやはり皮肉の類であったそれに対し、溜息を一つ吐き出す。
「双子は行動も似るんだったな……」
前線へと舞い戻っていった一機と、それを追って去っていく一機をモニター越しに見やり、やれやれと肩を竦めた。
「ラウル!」
迫る切っ先に気付き、フィオナは声を荒げた。はっとするもラウルの反応は遅れ、衝撃に備えて歯を食いしばる。
しかしその切っ先は眼前で弾かれた。現れた機体に二人は目を見張る。
どちらかといえば鳩が豆鉄砲を食ったような顔だったフィオナは、どこか感心したように表情を変え、ほぼ初対面に等しい搭乗者に通信を入れた。口元を緩ませる。
「改めて礼を言わなくちゃね、ヒゲに乗った王子様」
「……なんのことだ?」
その珍妙な呼ばれ方に、アクセルは片眉を吊り上げた。
通信画面に目を向けた矢先、短い電子音が鳴った。吊り上げたばかりの片眉を再び吊り上げるも、それに応じる。フィオナの映るものとは別の画面がモニターの端に現れた。
「前も颯爽とピンチに現れたんでしょ? その分も含めての礼よ」
「必要ない。こちらもそれなりのことをしたからな、こいつが」
薄ら寒い呼ばれ方の理由にすぐに思い至り、間を置かずして返した。アクセルとしては言うまでもないことだったが。
同様に、フィオナもまた彼が拒否した理由にすぐに思い至って、少々意地の悪い笑みを見せた。
「ああ、あなたも私を次元のいずこへすっ飛ばした要因ですもんね。なら、貸し借りなしってとこかしら?」
「……そういうことだ」
「了解。王子様」
そんな皮肉を残して通信を切る。消える間際に映った顰め面に優越感を覚え、フィオナは笑みを零す。その心地よさを乗せるように、戦線に戻るべくバーナーを噴かした。
「で、貴様も同じ用件か?」
顔を顰めたままアクセルは口を開いた。モニターの端を一瞥する。
音声のみの通信画面。先程、フィオナとほぼ同時に入ったものだ。
沈黙は肯定と取ったがしかし、今までの会話を聞いたからなのか。
「……礼は要らないんだろ」
プツンと通信が切れた。
幾分か低い、怒気を含んだ声音ながらやはり皮肉の類であったそれに対し、溜息を一つ吐き出す。
「双子は行動も似るんだったな……」
前線へと舞い戻っていった一機と、それを追って去っていく一機をモニター越しに見やり、やれやれと肩を竦めた。
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