SRWOG

そこかしこの残渣


 起きてすぐ目に入るのは、最近見慣れてきた天井だ。
 クロガネに乗艦してから幾日が経つ。少し前までは無機質な天井に違和感を感じてすぐに目が覚めたが、今はそれもなくなってしまった。
 のそのそと起き上がり、まだ覚めきらない頭を掻く。欠伸が出た。
 エクサランスの調整を終えてすぐベッドに倒れ込んだため、昨日から着たままだった上着を足元に放る。そこには既に何枚かの衣服が放られていた。
 割り当てられた自室にも馴染んできた所為か、部屋は散らかっている。
 椅子やベッドには服がほったらかされており、机上にはエクサランスのデータなどが適当に乗せられている。
 片付けなければとは思うのだが、やる気は起きない。結局、自分で片付けるしかないというのに。
 以前は、片付けてくれる人がいた。
 説教を混ぜた文句を垂らしながらも、手慣れた動作で片していく。どこに何をしまうのか、何がどこに置かれていたのか、訊かずとも元の場所に戻していく。
 机上に積まれたディスクや資料は綺麗に揃えられ、放り出された服は洗濯機やクローゼットに入れられ、そうして綺麗になった部屋をくるりと一回見渡して、よし、と満足げに頷く。
 その姿はもうずっと前から見慣れた姿だった。懐かしいと思うなんて、見られなくなるなんて、思っていなかった。
 誰も片付けてくれない、ほったらかしの服と整理されていないデータや資料。
 以前とは違う部屋なのに、以前と同じように散らかっている。
 じわりと喪失感が込み上げた。
「……フィオナ」

 こんなところで、彼女がいないことを実感している。
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