SRWOG
八房ATX4巻ネタ
目紛るしかったモニターから解放され、大きく息をついたブリットが腰を下ろした。その横からすっとスクイズボトルが差し出される。
「ありがとうございます」
渡したのは、普段以上に無表情と化したキョウスケだ。涼しい顔でシミュレータを降りたイルムにはコーヒーの入った紙コップが渡された。
「サンキュー」
「いえ、お疲れ様です」
会話はすぐに月からの補給便の件に移行する。詳細を話す内心、イルムはこの状況下では仕方がないと理解しながらも、それを差し引いてもこの後輩二名は立派な仕事中毒だな、と嘆かわしく思った。特にブリットは真面目すぎる節がある。任務に訓練にと追われる若者に生温かい眼差しを向けてしまっても、それこそ仕方がない。
「では、自分はこれで。ブリットも、今日はもう切り上げていい」
「はい。お疲れ様でした」
コーヒーを啜りながらイルムは立ち去る背に手を振る。ドアの向こうに消えた能面のような顔にもう慣れつつあることが、口内の苦味と合わさって余計に苦く感じた。
「……しっかしお前さんの上司はスパルタだねえ」
「そうですか?」
きょとんとしてブリットが言う。その様子にイルムは先程の嘆きを再び感じた。同時に、ワーカホリックが周囲にも影響を及ぼすことを思い出した。
「以前と変わらないと思いますけど……」
「っていうと?」
「ゼンガー少佐も同じくらいのトレーニング量を出してたので……え、これってスパルタの部類に入るんですか?」
純粋な瞳がイルムを見やる。向けられた側は耐えきれないというように目線を逸らしつつ、苦笑いを浮かべた。自覚させるべきか、否か。なぜか迷う。
「いや、まあ、俺から見れば、だが」
曖昧な返答で濁してから、別に嘘は言っていないと自分に言い訳をする。口から出てしまったものは戻しようがなく、代わりにコーヒーを流し込んで誤魔化した。
イルムは、キョウスケよりもブリットの方が長くATXに所属していることを失念しつつ、完全に染まりきってるなあと、やはり苦笑いのままそんなことを思った。
目紛るしかったモニターから解放され、大きく息をついたブリットが腰を下ろした。その横からすっとスクイズボトルが差し出される。
「ありがとうございます」
渡したのは、普段以上に無表情と化したキョウスケだ。涼しい顔でシミュレータを降りたイルムにはコーヒーの入った紙コップが渡された。
「サンキュー」
「いえ、お疲れ様です」
会話はすぐに月からの補給便の件に移行する。詳細を話す内心、イルムはこの状況下では仕方がないと理解しながらも、それを差し引いてもこの後輩二名は立派な仕事中毒だな、と嘆かわしく思った。特にブリットは真面目すぎる節がある。任務に訓練にと追われる若者に生温かい眼差しを向けてしまっても、それこそ仕方がない。
「では、自分はこれで。ブリットも、今日はもう切り上げていい」
「はい。お疲れ様でした」
コーヒーを啜りながらイルムは立ち去る背に手を振る。ドアの向こうに消えた能面のような顔にもう慣れつつあることが、口内の苦味と合わさって余計に苦く感じた。
「……しっかしお前さんの上司はスパルタだねえ」
「そうですか?」
きょとんとしてブリットが言う。その様子にイルムは先程の嘆きを再び感じた。同時に、ワーカホリックが周囲にも影響を及ぼすことを思い出した。
「以前と変わらないと思いますけど……」
「っていうと?」
「ゼンガー少佐も同じくらいのトレーニング量を出してたので……え、これってスパルタの部類に入るんですか?」
純粋な瞳がイルムを見やる。向けられた側は耐えきれないというように目線を逸らしつつ、苦笑いを浮かべた。自覚させるべきか、否か。なぜか迷う。
「いや、まあ、俺から見れば、だが」
曖昧な返答で濁してから、別に嘘は言っていないと自分に言い訳をする。口から出てしまったものは戻しようがなく、代わりにコーヒーを流し込んで誤魔化した。
イルムは、キョウスケよりもブリットの方が長くATXに所属していることを失念しつつ、完全に染まりきってるなあと、やはり苦笑いのままそんなことを思った。
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