1-1 邂逅
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数ヶ月かけて彼女を引き取ることを承諾させた(というと若干聞こえはいいが、実際は金で買い取ったようなものだが)ちょうどその頃、彼女を狙って罠をはる大物妖怪が現れた。
あわよくば彼女を餌に大物妖怪も捕まえられないかと彼女と妖怪を見張り始めたが、当の彼女は狙われていることに気づいているのかいないのか、ぼんやりしていることが多かった。
叔父や叔母に縁談と引越しの話も聞かされているはずだが、特に変わった様子もなく、何も考えていないのか何か難しいことを考えているのか、一点を見つめていたり空を見上げていたり、相変わらず何を考えているのか予想がつかなかった。
しかし、見ていると、日を追うごとにうとうとと眠そうにしていることが多くなり、動きもゆっくりとおぼつかなくなっていくようだった。
見張り始めて2週間ほど経った雨の日、今日がさやぎを引き取りに行く日だったため、妖怪の件は今日で片を付けるつもりでいたが予想外のことが起きた。
今までは偶然か意図的か蜘蛛の巣のような罠を何度も回避していたさやぎが、雨宿りしていた樹の下で膝を抱えて眠り込んでしまったのだ。
雨がすぐに止むと思ったのか、木陰に座り、歌でも歌っているのか、一定のリズムで木の根を叩いているが、そのうちに眠くなってきたのだろう。
外で眠り込むなど、妖怪に狙われていなくとも危険だろうに、ここ数日相当眠かったようだ。
ずっと罠が空回りしていて妖怪は、この好機を見逃すことなく直接さやぎに襲いかかる。
2体の式がすかさず彼女と妖怪の間に入り、数日前に用意した陣の中に妖怪を追い立てる。
部下の2人が呪符を使って更に妖怪を追い詰めた時、後ろの方から凄まじい妖力を感じた。
振り返るとさやぎの背中から真っ白な翼が生えていくのが見える。
部下の2人もそれに気を取られたのか、そのすきに呪符が破れて妖怪が襲いかかる。
目が覚めたのか、縮こまって耳を塞いでいるさやぎに向かって護符を投げて妖怪の一撃から守り、破魔矢を数本放ってこちらに引きつけようとするが妖怪は見向きもせずに彼女に向かう。
急いで彼女と妖怪の間に入り、その妖怪の急所である眉間に破魔矢を放つ。
封印など考えている場合ではなかった。しかし、矢の刺さった妖怪は、呪文を唱える前に封印のために陣の中に置いてあった壺の中に吸い込まれていった。
何が起こったのかわからず、戸惑っていると左手が急に下に引っ張られた。
見ると、左手に握った弓の端をさやぎが掴んでいた。
「… Regen … auf…」
声をかけようとした瞬間、彼女は何かつぶやいて弓を掴んだまま倒れてしまった。
日本語ではなかったのか単に聞き取れなかったのか、何と言ったのかはわからなかった。
「完全に封印されているようですが、滅したわけではなかったのですか?」
部下の1人が壺を持ってきた。
「滅する前に勝手に壺に入っていった。彼女の力が関係しているのか、何なのか…」
翼はすでに消えているが、雨上がりの水たまりに2枚だけ白い羽が浮いていた。
水面に映った虹の両端に1枚ずつ浮いた真っ白な羽は、拾おうとしたら溶けるように消えてしまった。
あわよくば彼女を餌に大物妖怪も捕まえられないかと彼女と妖怪を見張り始めたが、当の彼女は狙われていることに気づいているのかいないのか、ぼんやりしていることが多かった。
叔父や叔母に縁談と引越しの話も聞かされているはずだが、特に変わった様子もなく、何も考えていないのか何か難しいことを考えているのか、一点を見つめていたり空を見上げていたり、相変わらず何を考えているのか予想がつかなかった。
しかし、見ていると、日を追うごとにうとうとと眠そうにしていることが多くなり、動きもゆっくりとおぼつかなくなっていくようだった。
見張り始めて2週間ほど経った雨の日、今日がさやぎを引き取りに行く日だったため、妖怪の件は今日で片を付けるつもりでいたが予想外のことが起きた。
今までは偶然か意図的か蜘蛛の巣のような罠を何度も回避していたさやぎが、雨宿りしていた樹の下で膝を抱えて眠り込んでしまったのだ。
雨がすぐに止むと思ったのか、木陰に座り、歌でも歌っているのか、一定のリズムで木の根を叩いているが、そのうちに眠くなってきたのだろう。
外で眠り込むなど、妖怪に狙われていなくとも危険だろうに、ここ数日相当眠かったようだ。
ずっと罠が空回りしていて妖怪は、この好機を見逃すことなく直接さやぎに襲いかかる。
2体の式がすかさず彼女と妖怪の間に入り、数日前に用意した陣の中に妖怪を追い立てる。
部下の2人が呪符を使って更に妖怪を追い詰めた時、後ろの方から凄まじい妖力を感じた。
振り返るとさやぎの背中から真っ白な翼が生えていくのが見える。
部下の2人もそれに気を取られたのか、そのすきに呪符が破れて妖怪が襲いかかる。
目が覚めたのか、縮こまって耳を塞いでいるさやぎに向かって護符を投げて妖怪の一撃から守り、破魔矢を数本放ってこちらに引きつけようとするが妖怪は見向きもせずに彼女に向かう。
急いで彼女と妖怪の間に入り、その妖怪の急所である眉間に破魔矢を放つ。
封印など考えている場合ではなかった。しかし、矢の刺さった妖怪は、呪文を唱える前に封印のために陣の中に置いてあった壺の中に吸い込まれていった。
何が起こったのかわからず、戸惑っていると左手が急に下に引っ張られた。
見ると、左手に握った弓の端をさやぎが掴んでいた。
「… Regen … auf…」
声をかけようとした瞬間、彼女は何かつぶやいて弓を掴んだまま倒れてしまった。
日本語ではなかったのか単に聞き取れなかったのか、何と言ったのかはわからなかった。
「完全に封印されているようですが、滅したわけではなかったのですか?」
部下の1人が壺を持ってきた。
「滅する前に勝手に壺に入っていった。彼女の力が関係しているのか、何なのか…」
翼はすでに消えているが、雨上がりの水たまりに2枚だけ白い羽が浮いていた。
水面に映った虹の両端に1枚ずつ浮いた真っ白な羽は、拾おうとしたら溶けるように消えてしまった。