友人
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「彼氏じゃない男友達ねぇ…ちなみにお名前は?」
「『わけあり』で本名は明かされなくて、みんな『アール』と呼んでいました。アルファベット18番目のRです」
「わけあり、ですか…」
「国家機密をハッキングして他国に情報を売ったり生物兵器や爆弾を開発したりとか…困った非行少年です」
「…困った非行少年…もはや凶悪知能犯では…?さすが天才ですね。『わけ』のレベルが私の想像以上でした」
少し困惑した顔でこめかみを押さえる的場さん。
「…依頼されて気が向けば何でもする人だから。暗号解読、プログラミング、建築物の設計、製薬、物理・数学の証明、古文書の解読とか、いろいろ」
「本当に万能な人ですね。今はどうしているんですか?」
「何かの機関の監視下で幽閉状態です。機密事項らしいので、私も深掘りしていません。監視下で好き勝手やっているみたいですが」
「今も連絡を取り合っているんですか?」
「連絡というか、主にネット上で2人で遊んでいます」
「遊んでいる?」
不思議そうに首を傾げる。
「彼の友人が作ったボードゲームをしています。駒と一緒にメッセージを出せるんですが、相手がオフラインでも駒を置けるので、1日1、2回やりとりがあります。長い話はメール、お互いオンラインの時はチャットも使いますが、そうでなければ『退屈だ。何かない?』とか『今日初めての日直』とかテキトウなつぶやきとそれへの返事と共にちまちまとゲームが進むだけです」
「ほう、そんなに仲良しな友人だったとは…少し妬けますね」
意味ありげに微笑む的場さんに、どう答えたものかと首を傾げる。
「…的場さんもゲームしたいんですか?」
「いえ、決着に何日もかかるような勝負はじれったくて好みません。それに、勝てない勝負はしない主義です。ただ、君は私には自分から何か話すことがないのに、他の男とは気軽に他愛のない話をしているのかと思うと、少し妬ましく思いますね」
本心なのか私がどう答えるか見たいだけなのか図りかねる。
「それに、個人的には、1対1の関係での男女の友情は成立しないと思っているんでね」
と的場さんは片肘をテーブルについて言葉を続ける。
「統計データでも、女性に比べて男性はそう考えている人が多いようです」
「君としては彼に対して恋愛感情はないと?」
「はい」
「何故?」
口元は微笑んだまま視線だけこちらに向ける。
「彼は生活力のないサイコパスだから。ですが、そういう破滅的な恋愛に溺れる人もいるし、好きになるのにもならないのにも、言葉で説明できるような論理的な理由はないんじゃないでしょうか?」
「それもそうですね。それにしても、生活力のないサイコパスって結構な言いようですね」
「『独房にいるから、生活力なくても困らない』そうです。遵法精神が乏しく、反社会的で、他者への共感性が極めて低い、典型的な高知能サイコパスです」
「むしろ、それでよく友達やってますね」
そういう的場さんも女子高生を脅して軟禁している時点で、遵法精神が乏しく、反社会的で、他者への共感性が低いタイプだと思う。
「こっちが深掘りしなければ、自分がしたことを自慢げに言人でもないし、基本的に私に実害ないので」
的場さんの方が私にとってはよっぽど実害がある。今のところ衣食住を整えて学校に通わせてもらっているだけなので、害とも言えないけれど。
「……」
口元に軽く手を当てて何か考えている風。
「男女の友情が成立しないと考えるのは、男性の方が多いとさっき君は言いましたが、R君の方が君に好意を持っていることはあり得るわけですね」
やたらと深掘りしてくるのは、Rを警戒しているのだろうか。図書館で『逃げるなら助けるよ、囚われのお姫様』と前進した黒い王を思い出す。
「好意という感情がそもそもあの人にあるのかな…」
「…それでも君が困っていたら手を貸すくらいはするでしょう?」
「趣味で情報を送りつけてくることはあるけど、基本頼まない限り個人にも世の中にも手は出さないです」
「つまり君が頼めば手を貸すわけですね」
「たぶん。でも私は彼に頼み事はしません。彼は猿の手のような人なので」
「小説の『猿の手』ですか?主人の願いをなんでも3つ叶えるけれど、不本意な形で願いを叶えるという」
「はい。同じ感性を持っているからこそ、相手の意図を汲んで願いを叶えられるんです。自分と感性がかけ離れている人に安易願いを託すべきではないと思います」
「それはよくわかります」
妖怪、人とは異なる感性と力を持つ異形を相手にしている祓い屋は、普段から私などよりずっと注意を払っていることだろう。
「遵法精神が乏しい上に、こちらの意図を汲む共感力がない天才に頼むと、真っ当でない過程を踏んでこちらが意図しない結果を生むものです」
そう、Rは『騎士』ではなく『王』を前進させた。
「なるほど。囚われのお姫様を連れ出すナイトになり得ないなら、触らぬ神に祟りなし、今はそっとしておくとしましょう」
賢明な判断だ。
「猿の手のような人か…ますますなんで友人なのか疑問ですね」
「お互い性格を理解しているので、一応お互いに心を許せる間柄で、話が合って気兼ねせずに会話ができて、一緒に遊んでいるから『友人枠』に入っているんです」
「気兼ねなくね…R君とは普段どんな話をしているんです?」
何か思うところがある様子でつぶやいてから尋ねる。
「どんな…Rも私も割と何にでも興味があるから、何の話を振っても話が展開するので話題を深く考えたことないです。他の人だとそう上手くはいかないですが」
「確かに何にでも興味を持てるほど頭が良い人はそうそういないでしょうね」
「はい…何にでも興味があって何でも追究する能力があるってことは、特別なことがないってことだから、…それは、なんというか…本当はとても生きづらいことだと思います」
「…そういうものですかね…」
「私は彼ほど頭が良くはないですけど」
「君とR君の差がどの程度なのか私には計り知れませんが、君たちは互いに良き理解者なんですね」
「…どうでしょう…」
私はRのことを3%くらいしか理解していない気がする。
「『わけあり』で本名は明かされなくて、みんな『アール』と呼んでいました。アルファベット18番目のRです」
「わけあり、ですか…」
「国家機密をハッキングして他国に情報を売ったり生物兵器や爆弾を開発したりとか…困った非行少年です」
「…困った非行少年…もはや凶悪知能犯では…?さすが天才ですね。『わけ』のレベルが私の想像以上でした」
少し困惑した顔でこめかみを押さえる的場さん。
「…依頼されて気が向けば何でもする人だから。暗号解読、プログラミング、建築物の設計、製薬、物理・数学の証明、古文書の解読とか、いろいろ」
「本当に万能な人ですね。今はどうしているんですか?」
「何かの機関の監視下で幽閉状態です。機密事項らしいので、私も深掘りしていません。監視下で好き勝手やっているみたいですが」
「今も連絡を取り合っているんですか?」
「連絡というか、主にネット上で2人で遊んでいます」
「遊んでいる?」
不思議そうに首を傾げる。
「彼の友人が作ったボードゲームをしています。駒と一緒にメッセージを出せるんですが、相手がオフラインでも駒を置けるので、1日1、2回やりとりがあります。長い話はメール、お互いオンラインの時はチャットも使いますが、そうでなければ『退屈だ。何かない?』とか『今日初めての日直』とかテキトウなつぶやきとそれへの返事と共にちまちまとゲームが進むだけです」
「ほう、そんなに仲良しな友人だったとは…少し妬けますね」
意味ありげに微笑む的場さんに、どう答えたものかと首を傾げる。
「…的場さんもゲームしたいんですか?」
「いえ、決着に何日もかかるような勝負はじれったくて好みません。それに、勝てない勝負はしない主義です。ただ、君は私には自分から何か話すことがないのに、他の男とは気軽に他愛のない話をしているのかと思うと、少し妬ましく思いますね」
本心なのか私がどう答えるか見たいだけなのか図りかねる。
「それに、個人的には、1対1の関係での男女の友情は成立しないと思っているんでね」
と的場さんは片肘をテーブルについて言葉を続ける。
「統計データでも、女性に比べて男性はそう考えている人が多いようです」
「君としては彼に対して恋愛感情はないと?」
「はい」
「何故?」
口元は微笑んだまま視線だけこちらに向ける。
「彼は生活力のないサイコパスだから。ですが、そういう破滅的な恋愛に溺れる人もいるし、好きになるのにもならないのにも、言葉で説明できるような論理的な理由はないんじゃないでしょうか?」
「それもそうですね。それにしても、生活力のないサイコパスって結構な言いようですね」
「『独房にいるから、生活力なくても困らない』そうです。遵法精神が乏しく、反社会的で、他者への共感性が極めて低い、典型的な高知能サイコパスです」
「むしろ、それでよく友達やってますね」
そういう的場さんも女子高生を脅して軟禁している時点で、遵法精神が乏しく、反社会的で、他者への共感性が低いタイプだと思う。
「こっちが深掘りしなければ、自分がしたことを自慢げに言人でもないし、基本的に私に実害ないので」
的場さんの方が私にとってはよっぽど実害がある。今のところ衣食住を整えて学校に通わせてもらっているだけなので、害とも言えないけれど。
「……」
口元に軽く手を当てて何か考えている風。
「男女の友情が成立しないと考えるのは、男性の方が多いとさっき君は言いましたが、R君の方が君に好意を持っていることはあり得るわけですね」
やたらと深掘りしてくるのは、Rを警戒しているのだろうか。図書館で『逃げるなら助けるよ、囚われのお姫様』と前進した黒い王を思い出す。
「好意という感情がそもそもあの人にあるのかな…」
「…それでも君が困っていたら手を貸すくらいはするでしょう?」
「趣味で情報を送りつけてくることはあるけど、基本頼まない限り個人にも世の中にも手は出さないです」
「つまり君が頼めば手を貸すわけですね」
「たぶん。でも私は彼に頼み事はしません。彼は猿の手のような人なので」
「小説の『猿の手』ですか?主人の願いをなんでも3つ叶えるけれど、不本意な形で願いを叶えるという」
「はい。同じ感性を持っているからこそ、相手の意図を汲んで願いを叶えられるんです。自分と感性がかけ離れている人に安易願いを託すべきではないと思います」
「それはよくわかります」
妖怪、人とは異なる感性と力を持つ異形を相手にしている祓い屋は、普段から私などよりずっと注意を払っていることだろう。
「遵法精神が乏しい上に、こちらの意図を汲む共感力がない天才に頼むと、真っ当でない過程を踏んでこちらが意図しない結果を生むものです」
そう、Rは『騎士』ではなく『王』を前進させた。
「なるほど。囚われのお姫様を連れ出すナイトになり得ないなら、触らぬ神に祟りなし、今はそっとしておくとしましょう」
賢明な判断だ。
「猿の手のような人か…ますますなんで友人なのか疑問ですね」
「お互い性格を理解しているので、一応お互いに心を許せる間柄で、話が合って気兼ねせずに会話ができて、一緒に遊んでいるから『友人枠』に入っているんです」
「気兼ねなくね…R君とは普段どんな話をしているんです?」
何か思うところがある様子でつぶやいてから尋ねる。
「どんな…Rも私も割と何にでも興味があるから、何の話を振っても話が展開するので話題を深く考えたことないです。他の人だとそう上手くはいかないですが」
「確かに何にでも興味を持てるほど頭が良い人はそうそういないでしょうね」
「はい…何にでも興味があって何でも追究する能力があるってことは、特別なことがないってことだから、…それは、なんというか…本当はとても生きづらいことだと思います」
「…そういうものですかね…」
「私は彼ほど頭が良くはないですけど」
「君とR君の差がどの程度なのか私には計り知れませんが、君たちは互いに良き理解者なんですね」
「…どうでしょう…」
私はRのことを3%くらいしか理解していない気がする。
