友人
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「毎日日本食ばかりで飽きませんか?」
黙々と食事を口に運んでいると、不意に的場さんが問いかける。
「そうでもないです…」
美味しくなさそうな顔をしていたのだろうか…。
せっかく話題をふってくれたので何か話をふくらまそうとしたが、無理だった。
ここに来て52日経つが未だに慣れない。
的場さんが苦手というより、そもそも親しくない人と話をすることが苦手なのだ。それだからこそ、人と親しくなるのも苦手なのだけれども。
しかもこういうよくわからない関係性は苦手だ。友人でもないし、先輩でもない、家族でもない。何をどこまで言ってもいいのか、どういう態度を取るべきかわからない。
基本的には食事は2人でとることにしているが、的場さんは遠出の仕事で家を空けたり夜遅くに帰ったりすることもあり、実際に2人で過ごしたこと自体が数えるほどしかない。
とにかく緊張する。
基本穏やかでにこやかな表情の中に、時折一瞬何かを見透かそうとするような品定めするような視線が混じる。
日本の食事のマナーはたぶん大丈夫だとは思うけど…。
いや、彼が見ているのはきっとそういうところじゃない。
名家の御曹司として育った人らしい丁寧で上品そうな言葉遣いや所作に、時折砕けた口調やラフな仕草が混じる。
たぶん、どちらが素顔か考えるのは無意味。どちらも織り交ぜて『素』なのだろう。
「ドイツの料理が食べたくなったりしませんか?」
「…そんなには…」
こんな時のために先日『誰とでも会話がはずむ究極のテクニック』なんて本を読んだのに、実践できないんじゃ全然意味が無い。
っていうか、ドイツの料理って何だろう?パンとソーセージと生野菜?
「えっと…ドイツでは、平日の朝夕のメニューは数パターンしかない家庭も多いので、日本食の方がバリエーションが多いと思います。だから毎日ドイツ食なら飽きるかもしれませんが、毎日日本食で飽きるということはないです」
そっけなかったかなと思い、情報を追加してみる。
「ドイツではそんなにメニューのバリエーションが少ないんですか?」
「平日はそうらしいですが、前日の夕食について話したり家に遊びに行ったりするような友人がいなかったので実際のところは分かりません」
素っ気ない返事と思われないように情報を追加してみたものの、自分でもよく知らないことを言うんじゃなかった…。
「たしかに考えてみれば、友人同士でも普段家でどんな食事をしているかなんてそれほど話題に上ることも見る機会もないですね」
「…そういうものですか…友人自体が少ないので何とも…」
フォローしてくれたのだろうけど、上手い返しがわからない…。
「飛び級していたということは、周りは皆年上だったんですか?」
会話が上手い人はこうして話を展開するのね。
「高IQのクラスにいた時と卒業試験までの3年間はそうでした」
「高IQの特別クラスというのは?」
「IQ130以上の子供を対象に特別なカリキュラムが組まれているクラスです。市内に設置されたから転校したんですが、組織的なトラブルがあって2年で解体されました」
「本当に『いろんなことに振り回されてばかり』ですね」
本当にいろんなことに振り回されてばっかりだ。
「世分高校はどうですか?」
「……割とゆったりしたカリキュラムです。同級生は概ね心根が優しくて、親切です」
『どう』という曖昧な質問は苦手だ。カリキュラムの話の後だから授業について?友人の話の後だからクラスメイトついて?
「それはよかった」
質問の意図が大きくズレてはいなかったようでよかった。
黙々と食事を口に運んでいると、不意に的場さんが問いかける。
「そうでもないです…」
美味しくなさそうな顔をしていたのだろうか…。
せっかく話題をふってくれたので何か話をふくらまそうとしたが、無理だった。
ここに来て52日経つが未だに慣れない。
的場さんが苦手というより、そもそも親しくない人と話をすることが苦手なのだ。それだからこそ、人と親しくなるのも苦手なのだけれども。
しかもこういうよくわからない関係性は苦手だ。友人でもないし、先輩でもない、家族でもない。何をどこまで言ってもいいのか、どういう態度を取るべきかわからない。
基本的には食事は2人でとることにしているが、的場さんは遠出の仕事で家を空けたり夜遅くに帰ったりすることもあり、実際に2人で過ごしたこと自体が数えるほどしかない。
とにかく緊張する。
基本穏やかでにこやかな表情の中に、時折一瞬何かを見透かそうとするような品定めするような視線が混じる。
日本の食事のマナーはたぶん大丈夫だとは思うけど…。
いや、彼が見ているのはきっとそういうところじゃない。
名家の御曹司として育った人らしい丁寧で上品そうな言葉遣いや所作に、時折砕けた口調やラフな仕草が混じる。
たぶん、どちらが素顔か考えるのは無意味。どちらも織り交ぜて『素』なのだろう。
「ドイツの料理が食べたくなったりしませんか?」
「…そんなには…」
こんな時のために先日『誰とでも会話がはずむ究極のテクニック』なんて本を読んだのに、実践できないんじゃ全然意味が無い。
っていうか、ドイツの料理って何だろう?パンとソーセージと生野菜?
「えっと…ドイツでは、平日の朝夕のメニューは数パターンしかない家庭も多いので、日本食の方がバリエーションが多いと思います。だから毎日ドイツ食なら飽きるかもしれませんが、毎日日本食で飽きるということはないです」
そっけなかったかなと思い、情報を追加してみる。
「ドイツではそんなにメニューのバリエーションが少ないんですか?」
「平日はそうらしいですが、前日の夕食について話したり家に遊びに行ったりするような友人がいなかったので実際のところは分かりません」
素っ気ない返事と思われないように情報を追加してみたものの、自分でもよく知らないことを言うんじゃなかった…。
「たしかに考えてみれば、友人同士でも普段家でどんな食事をしているかなんてそれほど話題に上ることも見る機会もないですね」
「…そういうものですか…友人自体が少ないので何とも…」
フォローしてくれたのだろうけど、上手い返しがわからない…。
「飛び級していたということは、周りは皆年上だったんですか?」
会話が上手い人はこうして話を展開するのね。
「高IQのクラスにいた時と卒業試験までの3年間はそうでした」
「高IQの特別クラスというのは?」
「IQ130以上の子供を対象に特別なカリキュラムが組まれているクラスです。市内に設置されたから転校したんですが、組織的なトラブルがあって2年で解体されました」
「本当に『いろんなことに振り回されてばかり』ですね」
本当にいろんなことに振り回されてばっかりだ。
「世分高校はどうですか?」
「……割とゆったりしたカリキュラムです。同級生は概ね心根が優しくて、親切です」
『どう』という曖昧な質問は苦手だ。カリキュラムの話の後だから授業について?友人の話の後だからクラスメイトついて?
「それはよかった」
質問の意図が大きくズレてはいなかったようでよかった。
