みんな忘れる
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「はぁー」
解答用紙を前の人に渡すと隣の席の夏目くんが、大きく伸びをした。
「…お疲れさま」
ふと目が合ったので、声をかけてみる。
「お疲れ。大丈夫か?転校早々土曜まで登校で模試なんて、ほんと疲れたんじゃないか?」
最後の10分、眠くなってカクカクしていたところを見られたかな?
「そうかも。初登校までほとんど外に出なかったせいか、すぐ疲れちゃう気がするし。それに暖かくて眠くなっちゃった」
「ここ、日当たりいいよな」
前の席の人から渡された解答冊子を受け取る。
「あー」とか「よし!」とか、解答冊子を開いて思い思いの声をあげるクラスメイトたち。
「自己採点して、各教科の来週最初の授業までに解説確認してくることー」
と先生。
その後の放課後は、自分の席で答えの確認をする人もいれば、早々と帰宅し始める人も。
ガヤガヤと賑やかな教室。
採点してから帰るか迷ったけれど、解答番号一覧があったので、ものの3分で自己採点が終わってしまった。自分がマークした解答用紙を鮮明に思い出せるので、問題用紙の方に付けた印を確認する必要はない。
「夏目ー、採点してから帰るのかー?」
夏目くんの机の前に西村くんがやって来た。
「いや、家に帰ってからしようかな」
「だよなー。家に帰る時くらい模試が終わった開放感を満喫したいよな!そして、帰り道くらい現実を見たくない!」
「ははは」
「あーー…あ、月代さんお疲れさまー。最初の週から週6登校で大変だったよねー。模試どうだった?」
「模試どうだった?」
話を振ってくれたのに、つい質問をおうむ返ししてしまった。
「え?あ、俺は数学苦手で運を天に任せたところが3つ、4つ、5つ…国語も時間足りなかったー」
時々やってしまっては変な顔をされる私のおうむ返しをさほど気にかける風もなく西村くんは答えてくれた。
「運が良いといいね。私は、忘れず飛ばさず全部解答したよ」
「そう!そこ一番大事だよな!マーク式って飛ばしたり解答ズレるのが一番怖いよなー!あー、なんか心配なってきた。やっぱ自己採点してから帰ろうかな…」
表情がくるくる変わる西村くん。表情豊かだ。
だ。
「西村、自己採点しても解答ズレたかどうかはわからないよ」
「たしかに!」
夏目くんの指摘に西村くんは頭を抱える。
「夏目、西村ー、なんか食べて帰ろうぜ。あ、自己採点してから帰る?」
「いや、ひとまず現実逃避して、家に帰ってからやろうかと思ってる」
教室にやって来た北本くんに夏目くんが答える。
「月代さん、お疲れさま。初日から6日連続休みなしでハードだね」
北本くんも私を気にかけて声をかけてくれる。
「ハードだね。でも初日は1時間休んだけど」
「ああ、保健室いたんだっけ?体調はもう大丈夫?」
「うん。心配してくれてありがとう」
「あっ、うん、…大丈夫ならよかった」
答え方を間違えただろうか?なんだか変に目を逸らされた…最終的には微笑んでくれたけど。
「月代さんは採点してから帰るの?」
「採点終わったから、下校しようかなと思ってる」
北本くんの問い掛けに答えると
「え!?もう!?」
「いつの間に!?」
「さっき解答集ペラペラめくってたけど、問題用紙見てた!?」
北本くん、西村くん、夏目くんが次々と驚きの声をあげる。
「えーと…解答用紙の自分がマークしたところを覚えているから、解答一覧を見れば当たっているかどうかわかるの」
「???」
3人とも首を傾げる。
「えーと…塗り終えた用紙の形を思い出せば、国語の1問目3、2問目2とかわかるから解答一覧と照合して採点はすぐに終わるってこと…なんだけど…」
よく訊かれることだけれど、いつも上手く答えられない。
「あ、なんかそういうのドラマで見た!カメラアイってやつ?見たままを映像として記憶できるってやつ!」
西村くんが目を輝かせて言う。
そんなドラマしてるのか。帰国してから新ローマ教皇の演説と姉妹お勧めの映画の続編ドラマしかテレビを見ていないのでわからない。
「うん…ドラマは見てないけど、確かにカメラアイって言われる。でも…一度聞いたことも忘れない」
「すげー!テスト最強じゃん!」
「覚えているだけで理解していないと問題は解けないよ。あと、頭の中ごちゃごちゃするから、書き間違えたり問題を飛ばしたりしがちなの」
「へー、たしかに何も忘れないとごちゃごちゃしそうだな」
と北本くんは共感を示してくれる。
「でも何でも思い出せるってすげーよな」
純粋な感想を言う西村くん。そこには嫌味も妬みも感じられない。
「うーん…何も忘れないけど忘れ物は多いほう」
「何も忘れないけど忘れ物は多い?」
夏目くんが首を傾げる。
「必要な時に必要なことを思い出すのが苦手なの。思い返せば、古語辞典持って来るように言っていた先生の口調も服装も思い出せるけど、準備してる時に『明日古語辞典いる』ってことを思い出さないから家に忘れて来たりする。何も忘れないから必要な記憶が不必要な記憶に埋もれがちなの。持ち物を忘れたり、物をいろんな場所に置き忘れたり」
「なるほど」
と素直に納得する夏目くん。
「忘れないのは忘れないので大変なんだな。ま、忘れたら別のクラスの人に借りればいいよ。声掛けられそうな人がいなかったら、おれが貸すし」
さりげなくアドバイスをくれる北本くん。
「ありがとう」
「ま、おれは記憶力普通だけど、ちょいちょい教科書忘れてるけどな」
「そうだ、西村は忘れすぎだ。授業始まってから忘れたことに気づくくらいだからな」
おどけてみせる西村くんに北本くんが突っ込む。
…優しい人達だ。
解答用紙を前の人に渡すと隣の席の夏目くんが、大きく伸びをした。
「…お疲れさま」
ふと目が合ったので、声をかけてみる。
「お疲れ。大丈夫か?転校早々土曜まで登校で模試なんて、ほんと疲れたんじゃないか?」
最後の10分、眠くなってカクカクしていたところを見られたかな?
「そうかも。初登校までほとんど外に出なかったせいか、すぐ疲れちゃう気がするし。それに暖かくて眠くなっちゃった」
「ここ、日当たりいいよな」
前の席の人から渡された解答冊子を受け取る。
「あー」とか「よし!」とか、解答冊子を開いて思い思いの声をあげるクラスメイトたち。
「自己採点して、各教科の来週最初の授業までに解説確認してくることー」
と先生。
その後の放課後は、自分の席で答えの確認をする人もいれば、早々と帰宅し始める人も。
ガヤガヤと賑やかな教室。
採点してから帰るか迷ったけれど、解答番号一覧があったので、ものの3分で自己採点が終わってしまった。自分がマークした解答用紙を鮮明に思い出せるので、問題用紙の方に付けた印を確認する必要はない。
「夏目ー、採点してから帰るのかー?」
夏目くんの机の前に西村くんがやって来た。
「いや、家に帰ってからしようかな」
「だよなー。家に帰る時くらい模試が終わった開放感を満喫したいよな!そして、帰り道くらい現実を見たくない!」
「ははは」
「あーー…あ、月代さんお疲れさまー。最初の週から週6登校で大変だったよねー。模試どうだった?」
「模試どうだった?」
話を振ってくれたのに、つい質問をおうむ返ししてしまった。
「え?あ、俺は数学苦手で運を天に任せたところが3つ、4つ、5つ…国語も時間足りなかったー」
時々やってしまっては変な顔をされる私のおうむ返しをさほど気にかける風もなく西村くんは答えてくれた。
「運が良いといいね。私は、忘れず飛ばさず全部解答したよ」
「そう!そこ一番大事だよな!マーク式って飛ばしたり解答ズレるのが一番怖いよなー!あー、なんか心配なってきた。やっぱ自己採点してから帰ろうかな…」
表情がくるくる変わる西村くん。表情豊かだ。
だ。
「西村、自己採点しても解答ズレたかどうかはわからないよ」
「たしかに!」
夏目くんの指摘に西村くんは頭を抱える。
「夏目、西村ー、なんか食べて帰ろうぜ。あ、自己採点してから帰る?」
「いや、ひとまず現実逃避して、家に帰ってからやろうかと思ってる」
教室にやって来た北本くんに夏目くんが答える。
「月代さん、お疲れさま。初日から6日連続休みなしでハードだね」
北本くんも私を気にかけて声をかけてくれる。
「ハードだね。でも初日は1時間休んだけど」
「ああ、保健室いたんだっけ?体調はもう大丈夫?」
「うん。心配してくれてありがとう」
「あっ、うん、…大丈夫ならよかった」
答え方を間違えただろうか?なんだか変に目を逸らされた…最終的には微笑んでくれたけど。
「月代さんは採点してから帰るの?」
「採点終わったから、下校しようかなと思ってる」
北本くんの問い掛けに答えると
「え!?もう!?」
「いつの間に!?」
「さっき解答集ペラペラめくってたけど、問題用紙見てた!?」
北本くん、西村くん、夏目くんが次々と驚きの声をあげる。
「えーと…解答用紙の自分がマークしたところを覚えているから、解答一覧を見れば当たっているかどうかわかるの」
「???」
3人とも首を傾げる。
「えーと…塗り終えた用紙の形を思い出せば、国語の1問目3、2問目2とかわかるから解答一覧と照合して採点はすぐに終わるってこと…なんだけど…」
よく訊かれることだけれど、いつも上手く答えられない。
「あ、なんかそういうのドラマで見た!カメラアイってやつ?見たままを映像として記憶できるってやつ!」
西村くんが目を輝かせて言う。
そんなドラマしてるのか。帰国してから新ローマ教皇の演説と姉妹お勧めの映画の続編ドラマしかテレビを見ていないのでわからない。
「うん…ドラマは見てないけど、確かにカメラアイって言われる。でも…一度聞いたことも忘れない」
「すげー!テスト最強じゃん!」
「覚えているだけで理解していないと問題は解けないよ。あと、頭の中ごちゃごちゃするから、書き間違えたり問題を飛ばしたりしがちなの」
「へー、たしかに何も忘れないとごちゃごちゃしそうだな」
と北本くんは共感を示してくれる。
「でも何でも思い出せるってすげーよな」
純粋な感想を言う西村くん。そこには嫌味も妬みも感じられない。
「うーん…何も忘れないけど忘れ物は多いほう」
「何も忘れないけど忘れ物は多い?」
夏目くんが首を傾げる。
「必要な時に必要なことを思い出すのが苦手なの。思い返せば、古語辞典持って来るように言っていた先生の口調も服装も思い出せるけど、準備してる時に『明日古語辞典いる』ってことを思い出さないから家に忘れて来たりする。何も忘れないから必要な記憶が不必要な記憶に埋もれがちなの。持ち物を忘れたり、物をいろんな場所に置き忘れたり」
「なるほど」
と素直に納得する夏目くん。
「忘れないのは忘れないので大変なんだな。ま、忘れたら別のクラスの人に借りればいいよ。声掛けられそうな人がいなかったら、おれが貸すし」
さりげなくアドバイスをくれる北本くん。
「ありがとう」
「ま、おれは記憶力普通だけど、ちょいちょい教科書忘れてるけどな」
「そうだ、西村は忘れすぎだ。授業始まってから忘れたことに気づくくらいだからな」
おどけてみせる西村くんに北本くんが突っ込む。
…優しい人達だ。
