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帰り道。
ゾロゾロとみんなで学校を出て、方向が一緒なのでその場の流れで、夏目くんと二人きりになってしまった。
慣れない人と何を話していいか困ってしまう。
「夏目くん、何度も転校したって言ってたよね?」
「うん」
「制服ってどうしてたの?日本の学校ってほとんど制服あるよね?」
「あー、小学校は私服だったし、転入しても、また数カ月後には転校するからって、いちいち制服買い換えてなかったんだ。そういうこと頼めなかったし」
「…そっか…ごめん…なんか…」
すごく無神経なことを訊いてしまった。
本当はこの制服も学費も高かったのだろう。
「いや、えっと、ほら…おれ、男だからさ。学ランってパッと見そんなに違わないからあんまり気にならなかったっていうか…。そうじゃなくて…おれの方こそ、ごめん。なんか…」
「そんなことないよ。『お嬢様学校』って皆が言うから、この制服着て学校にいるのがそわそわして、私、そればっかりで…無神経なこと聞いちゃって…」
「いや、そうじゃなくて、今はこの学校の制服だし、お世話になってる家の人もいい人達だし、だから…」
焦ったような困ったような顔をする夏目くん。
ああ、そうか…心配してくれているんだ、とやっと気がついた。
自分のように、またすぐに転校しないといけない境遇なのかと心配だけど訊けずにいる、そんな優しい人なんだ。
「あ、あのね、制服、まだできてないだけなの。急な転入だったから、制服は今週の金曜日に出来上がるの」
「あ、そうなんだ…。そっか…」
少しホッとしたように表情が緩んだ。
「今のお家の人はね、会ってそんなに経ってないからどういう人なのかまだよくわからないところも多いんだけど、…昨日、電車に乗る練習に付き合ってくれたの」
私の状況を心配してくれていたみたいなので、追加の情報を提示してみる。
「電車?」
「そう、電車。前の学校は歩いて通ってたから電車にちゃんと乗れるか心配で…」
「電車…初めてだったの?」
「あの改札っていうのが私にとっては未知のシステムで…。ドイツには改札がないから」
「え?ないの?じゃあ切符とか要らないの?」
「電車に乗ってると、不定期に乗務員さんみたいな人が乗車券の確認に来るから改札がないの。で、タダ乗りが見つかると高い罰金払わされるシステム。」
「へぇー。それじゃ、買う乗車券とか乗る電車間違えたら大変だね」
「ああ、確かに。私は一定区間乗り放題になる路面電車通学だったから心配したことなかった。でも、日本では改札あるから、間違えて前の駅で降りて改札出ちゃたらもう戻れないから、ちゃんと降りる駅の雰囲気をつかんでおこうとか、機械に切符通せるかなとか、いろいろ心配で…」
「それで、練習?」
くすりと笑われた。
「そう。練習するぞ!ってネットで電車の乗り方とか調べてそわそわしてたんだけど、切符買って、改札通って、電車に乗って、改札出て、学校まで歩いて、で、また電車で家に帰るところまで一緒に付き合ってくれたの」
「そっか。よかったね、いい人そうで」
「うん。でもね、その人も電車久しぶりだったみたいで、自動改札苦手みたいだったけどね」
「あー、やっぱり田舎は車社会だからね。車持ってる人はあんまり電車使わないしね」
はたして的場さんは車を運転するのだろうか?あまり想像できないけれど、一応「うん」と答えておく。
「確かにね。あ、私こっちだから…」
「あ、うん。じゃあ、また」
「うん。また明日ね」
夏目くんと別れて駅へ。昨日の練習通り切符を買って改札を通る。
自動改札になったのが最近なのか、片目で距離感が取りにくいからなのか、的場さんは昨日、自動改札機に切符を通すのに一瞬手間取った。
何でもキビキビこなす彼の姿しか見たことがなかったので、そんな一面を見て少し安心したり、電車に乗っている的場さんを見ること自体が新鮮だったりで、なかなか楽しかった昨日を思い出して、一人でニヤニヤしてしまう。
定刻通り来た電車に乗り、転校・編入初日のチェックリストにしている歌を頭の中で口ずさむ。
一人で…行けた。
隣に座る子…いい子。
一人で行けるように手伝ってもらったのも、隣に座る子を偵察してきてもらったのも、初めて。今回は、なんだか上手くいきそうな気がする。
友達になれるかな…出だし好調。
ゾロゾロとみんなで学校を出て、方向が一緒なのでその場の流れで、夏目くんと二人きりになってしまった。
慣れない人と何を話していいか困ってしまう。
「夏目くん、何度も転校したって言ってたよね?」
「うん」
「制服ってどうしてたの?日本の学校ってほとんど制服あるよね?」
「あー、小学校は私服だったし、転入しても、また数カ月後には転校するからって、いちいち制服買い換えてなかったんだ。そういうこと頼めなかったし」
「…そっか…ごめん…なんか…」
すごく無神経なことを訊いてしまった。
本当はこの制服も学費も高かったのだろう。
「いや、えっと、ほら…おれ、男だからさ。学ランってパッと見そんなに違わないからあんまり気にならなかったっていうか…。そうじゃなくて…おれの方こそ、ごめん。なんか…」
「そんなことないよ。『お嬢様学校』って皆が言うから、この制服着て学校にいるのがそわそわして、私、そればっかりで…無神経なこと聞いちゃって…」
「いや、そうじゃなくて、今はこの学校の制服だし、お世話になってる家の人もいい人達だし、だから…」
焦ったような困ったような顔をする夏目くん。
ああ、そうか…心配してくれているんだ、とやっと気がついた。
自分のように、またすぐに転校しないといけない境遇なのかと心配だけど訊けずにいる、そんな優しい人なんだ。
「あ、あのね、制服、まだできてないだけなの。急な転入だったから、制服は今週の金曜日に出来上がるの」
「あ、そうなんだ…。そっか…」
少しホッとしたように表情が緩んだ。
「今のお家の人はね、会ってそんなに経ってないからどういう人なのかまだよくわからないところも多いんだけど、…昨日、電車に乗る練習に付き合ってくれたの」
私の状況を心配してくれていたみたいなので、追加の情報を提示してみる。
「電車?」
「そう、電車。前の学校は歩いて通ってたから電車にちゃんと乗れるか心配で…」
「電車…初めてだったの?」
「あの改札っていうのが私にとっては未知のシステムで…。ドイツには改札がないから」
「え?ないの?じゃあ切符とか要らないの?」
「電車に乗ってると、不定期に乗務員さんみたいな人が乗車券の確認に来るから改札がないの。で、タダ乗りが見つかると高い罰金払わされるシステム。」
「へぇー。それじゃ、買う乗車券とか乗る電車間違えたら大変だね」
「ああ、確かに。私は一定区間乗り放題になる路面電車通学だったから心配したことなかった。でも、日本では改札あるから、間違えて前の駅で降りて改札出ちゃたらもう戻れないから、ちゃんと降りる駅の雰囲気をつかんでおこうとか、機械に切符通せるかなとか、いろいろ心配で…」
「それで、練習?」
くすりと笑われた。
「そう。練習するぞ!ってネットで電車の乗り方とか調べてそわそわしてたんだけど、切符買って、改札通って、電車に乗って、改札出て、学校まで歩いて、で、また電車で家に帰るところまで一緒に付き合ってくれたの」
「そっか。よかったね、いい人そうで」
「うん。でもね、その人も電車久しぶりだったみたいで、自動改札苦手みたいだったけどね」
「あー、やっぱり田舎は車社会だからね。車持ってる人はあんまり電車使わないしね」
はたして的場さんは車を運転するのだろうか?あまり想像できないけれど、一応「うん」と答えておく。
「確かにね。あ、私こっちだから…」
「あ、うん。じゃあ、また」
「うん。また明日ね」
夏目くんと別れて駅へ。昨日の練習通り切符を買って改札を通る。
自動改札になったのが最近なのか、片目で距離感が取りにくいからなのか、的場さんは昨日、自動改札機に切符を通すのに一瞬手間取った。
何でもキビキビこなす彼の姿しか見たことがなかったので、そんな一面を見て少し安心したり、電車に乗っている的場さんを見ること自体が新鮮だったりで、なかなか楽しかった昨日を思い出して、一人でニヤニヤしてしまう。
定刻通り来た電車に乗り、転校・編入初日のチェックリストにしている歌を頭の中で口ずさむ。
一人で…行けた。
隣に座る子…いい子。
一人で行けるように手伝ってもらったのも、隣に座る子を偵察してきてもらったのも、初めて。今回は、なんだか上手くいきそうな気がする。
友達になれるかな…出だし好調。
