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あれこれ考えている間に授業が終わって掃除。
私の班は教室の掃除当番だったらしい。
「綾目学園って、小中高一貫校だよね?」
訊かれて少し考える。
「うん…そうだと思うけど、幼稚園もあるみたい。あと高等部から編入して入って来た人もいたみたい。私は途中から入って4ヶ月くらいしかいなかったからよくわからないけど…」
「え、前の学校も転入だったんだー」
「この時期に転校って珍しいよね?」
夏目くんの友達らしい西村くんが何の気なしに訊く。
「うん…親戚のところにお世話になってて、最近別の親戚の人の家に移ったから」
的場さんと私は一応遠縁だから嘘ではない。
「へぇ、夏目と同じかんじだな」
「そうなの?」
夏目くんに聞くと彼はまた柔らかく笑った。
「うん。親戚筋を転々としてたから、転校もたくさんした」
「そうなんだ…。私は小さい時に養子になったからいろんな親戚筋を回ってるわけではないけど、こういう新しいクラスに入るって経験は…たくさんしたかも」
「引越しとか多い家族だったの?」
西村くんが訊く。
「んー…養親が離婚したり、お母さんが仕事で異動が多かったり、再婚したりしたから、引越しも多いほうかな…お母さんが亡くなって親戚に引き取られた時と、今回も引っ越してるし。でも、引っ越さなくても、留年したり飛び級したりでクラスが変わることも多かったけど」
「えっ!?留年!?飛び級!?」
「うん、…ぼんやりしてたら2回留年した。1回1つ下の学年に下がったこともあるよ」
「えっ!?どんだけぼんやりしてたら留年するの!?って、ことは年上!?」
「うーん…注意散漫だからかな。過集中だからかな。ドイツでは小学校でも容赦なく留年になるから。そのかわり飛び級もするけど。飛び級もしてるから、たぶん皆と同い年…かな」
「ドイツにいたの!?」
「…うん、まあ…」
「さやぎちゃーん、どうだった?」
ちょうど掃除が終わった時、教室のドアから女の子が顔をのぞかせた。5組の多軌透ちゃん。
「あっ、タキさん!」
真っ先に反応する西村くん。
「タキちゃん、うん、大丈夫。ありがとう」
と返事をする私に
「そっか、よかった、よかった」
と柔らかい笑顔を向けて教室に入ってくる多軌ちゃん。
「知り合いなの?」
私と多軌ちゃんの顔を交互に見比べる夏目くんと西村くん。
「朝に用事があって保健室に行ったら、たまたま会ったの」
「えっと…私、緊張で具合悪くなって朝保健室にいて、保健だよりを取りに来たタキちゃんが『違うクラスだけど、隣の席どんな人か偵察してきてあげようか!』って…」
「ああ、それで朝チラチラ教室覗いてたのか」
「タキさんが来てるなら声かけろよっ」
西村くんが小声で夏目くんにささやく。
「西村、夏目、転入生が来たって聞いたけど、噂では女子だって…」
教室に新たに男子2人が入ってきたが、私を見て言葉を止めた。
制服が違うから明らかにわかる転入生、私。
「…月代さやぎです」
「えっ、あっ、悪い…急になんか…、えっと、1組の北本篤史です!こっちは同じ1組の田沼…」
本人の前で「転入生が来たって聞いたけど」と言ってしまったことに相当焦っているのか、もともとこういう人なのか…。
「田沼要です。よろしく」
「よろしくお願いします」
「その制服って、…綾目学園?」
控えめに北本くんが訊く。
「うん。なんか…有名なの?県外なのにみんな知ってる…」
「綾目学園って言ったらもう…アイリス女子じゃん!もう、男のロマン…じゃなくて、えっと、合唱と空手だっけ?」
「本音出たな、西村。強いのは合唱と琴と薙刀だよ」
「さっきワタワタしてたくせして揚げ足取るなよ」
「そんな有名なんだ…。なんかそわそわしちゃう…この制服」
ただでさえ、1人だけ違うから目立つのに。
「みんなと違うとそわそわしちゃうよね。でも、可愛くていいなー。女の子の間では制服可愛いって有名だよ。襟の縁とスカートの裾の刺繍とかステキー」
「うーん…目立ってて緊張しちゃう」
学校に制服や体操着の予備ってないものなのかな…。
「そういえば、あの…授業中にふと思ったんだけど、…私、『タキちゃん』って呼んでたけど『多軌』って苗字なんだよね?」
「あーうん。そっか、ドイツでは名前苗字の順だもんね。でも、いいよ、タキで。タキって呼ぶ人のほうが多いし」
私の間違いを軽く流してくれるタキちゃん。
「そっか、じゃあタキちゃんで。よろしくね」
「こちらこそ」
「そう!ドイツ!いつからドイツいたの?ドイツ語ペラペラ?」
「えっと…ドイツは小学4年生の途中からかな?ドイツに行ったけど、ぼーっとしてて落第して、その後特別クラスに行ったり飛び級したりして半年くらい前までいたけど…言葉はだいたい喋れる…と思うよ」
「バイリンガルってこと!?」
「んー…」
「ドイツ語で何か喋ってみて!」
「え…え…え…」
何かと言われても、何を話せばいいの?
「困らせるなよ、西村」
北本くんが助けてくれた。
私の班は教室の掃除当番だったらしい。
「綾目学園って、小中高一貫校だよね?」
訊かれて少し考える。
「うん…そうだと思うけど、幼稚園もあるみたい。あと高等部から編入して入って来た人もいたみたい。私は途中から入って4ヶ月くらいしかいなかったからよくわからないけど…」
「え、前の学校も転入だったんだー」
「この時期に転校って珍しいよね?」
夏目くんの友達らしい西村くんが何の気なしに訊く。
「うん…親戚のところにお世話になってて、最近別の親戚の人の家に移ったから」
的場さんと私は一応遠縁だから嘘ではない。
「へぇ、夏目と同じかんじだな」
「そうなの?」
夏目くんに聞くと彼はまた柔らかく笑った。
「うん。親戚筋を転々としてたから、転校もたくさんした」
「そうなんだ…。私は小さい時に養子になったからいろんな親戚筋を回ってるわけではないけど、こういう新しいクラスに入るって経験は…たくさんしたかも」
「引越しとか多い家族だったの?」
西村くんが訊く。
「んー…養親が離婚したり、お母さんが仕事で異動が多かったり、再婚したりしたから、引越しも多いほうかな…お母さんが亡くなって親戚に引き取られた時と、今回も引っ越してるし。でも、引っ越さなくても、留年したり飛び級したりでクラスが変わることも多かったけど」
「えっ!?留年!?飛び級!?」
「うん、…ぼんやりしてたら2回留年した。1回1つ下の学年に下がったこともあるよ」
「えっ!?どんだけぼんやりしてたら留年するの!?って、ことは年上!?」
「うーん…注意散漫だからかな。過集中だからかな。ドイツでは小学校でも容赦なく留年になるから。そのかわり飛び級もするけど。飛び級もしてるから、たぶん皆と同い年…かな」
「ドイツにいたの!?」
「…うん、まあ…」
「さやぎちゃーん、どうだった?」
ちょうど掃除が終わった時、教室のドアから女の子が顔をのぞかせた。5組の多軌透ちゃん。
「あっ、タキさん!」
真っ先に反応する西村くん。
「タキちゃん、うん、大丈夫。ありがとう」
と返事をする私に
「そっか、よかった、よかった」
と柔らかい笑顔を向けて教室に入ってくる多軌ちゃん。
「知り合いなの?」
私と多軌ちゃんの顔を交互に見比べる夏目くんと西村くん。
「朝に用事があって保健室に行ったら、たまたま会ったの」
「えっと…私、緊張で具合悪くなって朝保健室にいて、保健だよりを取りに来たタキちゃんが『違うクラスだけど、隣の席どんな人か偵察してきてあげようか!』って…」
「ああ、それで朝チラチラ教室覗いてたのか」
「タキさんが来てるなら声かけろよっ」
西村くんが小声で夏目くんにささやく。
「西村、夏目、転入生が来たって聞いたけど、噂では女子だって…」
教室に新たに男子2人が入ってきたが、私を見て言葉を止めた。
制服が違うから明らかにわかる転入生、私。
「…月代さやぎです」
「えっ、あっ、悪い…急になんか…、えっと、1組の北本篤史です!こっちは同じ1組の田沼…」
本人の前で「転入生が来たって聞いたけど」と言ってしまったことに相当焦っているのか、もともとこういう人なのか…。
「田沼要です。よろしく」
「よろしくお願いします」
「その制服って、…綾目学園?」
控えめに北本くんが訊く。
「うん。なんか…有名なの?県外なのにみんな知ってる…」
「綾目学園って言ったらもう…アイリス女子じゃん!もう、男のロマン…じゃなくて、えっと、合唱と空手だっけ?」
「本音出たな、西村。強いのは合唱と琴と薙刀だよ」
「さっきワタワタしてたくせして揚げ足取るなよ」
「そんな有名なんだ…。なんかそわそわしちゃう…この制服」
ただでさえ、1人だけ違うから目立つのに。
「みんなと違うとそわそわしちゃうよね。でも、可愛くていいなー。女の子の間では制服可愛いって有名だよ。襟の縁とスカートの裾の刺繍とかステキー」
「うーん…目立ってて緊張しちゃう」
学校に制服や体操着の予備ってないものなのかな…。
「そういえば、あの…授業中にふと思ったんだけど、…私、『タキちゃん』って呼んでたけど『多軌』って苗字なんだよね?」
「あーうん。そっか、ドイツでは名前苗字の順だもんね。でも、いいよ、タキで。タキって呼ぶ人のほうが多いし」
私の間違いを軽く流してくれるタキちゃん。
「そっか、じゃあタキちゃんで。よろしくね」
「こちらこそ」
「そう!ドイツ!いつからドイツいたの?ドイツ語ペラペラ?」
「えっと…ドイツは小学4年生の途中からかな?ドイツに行ったけど、ぼーっとしてて落第して、その後特別クラスに行ったり飛び級したりして半年くらい前までいたけど…言葉はだいたい喋れる…と思うよ」
「バイリンガルってこと!?」
「んー…」
「ドイツ語で何か喋ってみて!」
「え…え…え…」
何かと言われても、何を話せばいいの?
「困らせるなよ、西村」
北本くんが助けてくれた。
