4-2 サンプル(標本)
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「そんなに不安そうにしなくとも、もともと君に危害を加える気はありませんよ。むしろ、大切に守るべき存在ですから」
「そんなに私は有益なんでしょうか?」
祓い屋の価値観、いまいちピンとこないけど。
「ええ、とても。妖力は遺伝的な要素が大きいですが、見える者同士であっても必ず見える子が生まれるとは限りません。見える者が絶えても妖怪から買った恨みは消えない。見える者が生まれなくなった家は、妖怪からの復讐に怯えることになるのです」
「一門というくらいそれなりにたくさんの家があるのなら、どこかの家には見える子どもが生まれるんじゃないかと思うんですが…」
「ええ、まさに見える者不在の家が出たら助け合おうという打算で契約し合った祓い屋の集まりが的場一門なので、それなりに安泰ではありますね。ただやはり妖力の強さは運次第なので他家を守れるほどの力を持つ者が常にいるとは限らない。実際、一門に入ったけれども絶えてしまった家もありますしね」
話の途中で的場さんは1.2秒天井を、『私の父でさえ、見えていなかった』と言っていた護符文字を見た。
「何のために右目を狙われ続けているんですか?」
大した効果ないじゃんと思ったのがつい口に出てしまった。
「あはは、手厳しいですね。まあ、右目を狙われ続けているから何とかやれていると言えなくもないのが現状ですね。それくらい妖力の遺伝は不確実なのです」
何とかやれているなら、人を巻き込まずにそのまま内輪で何とかやっててくれればいいのに。そうもいかないか。
「今日いろいろな記録を見て、…この辺りの祓い屋は的場一門一強という印象を受けたのですが、そうだとしたら、他家に比べて的場家は必死になって私を手に入れる必要がないんじゃないかと思って…。私が有益な存在というよりむしろ…他家に渡ることで均衡を崩す厄介な存在だから自分のところに囲っておきたいのかなと思ってました。一門内には的場さんと年齢的に合う女性もいるようですし、私はあわよくばどこかに留学でもさせてもらえるかなと思っていたんですが、そう単純な話でもないんですね」
「ええ、君の推測はだいたい合っていて、他家に渡らないようにという理由は確かに大きいですが、最初から言っているように、翼の妖力をもらうことと妖力を持つ後継を産んでもらうことが主な目的なので、留学させる気はありませんよ。強者は強者なりに、力を必要とする理由があるものです。祓い屋トップの的場一門にとっても、君はかなり魅力的なんですよ」
「一門内で結婚を繰り返すと血が濃くなるとか、新参の家から嫁を取ると古参の家との間で角が立つとか、パワーバランスを保つのに面倒がなく、音羽の血となれば周囲も納得しやすいとかそういうことですか?」
「君は本当に頭がいいんですね。まさにそういうことです。お母様の実家がカルトだとか、高い壺買ってる人と言われた時は衝撃的でしたが、高い情報収集能力に論理的な推論ができるから、あれこれ訊かなくても自分で正答に辿り着けるんですね。私のことが怖くていろいろ訊けないのか、眠って現実逃避しているのかと思っていました、すみません」
にこにこと謝られたけれど、実際は的場さんの言う通りだ。
「…現実逃避をしていたから、叔母の家にいるうちに調べておかなかったんです…」
まぁ、来て様子を見てから調べたほうが手掛かりが多いから効率的だというのもあるけれど。
「そうでしたか。それで、現実を見る気にはなったんですか?」
いまいち胸の内の読めない笑顔で尋ねる彼に、本音を話すべきか迷うところだ。
「…あまり先のことは、考えたくないんです」
「何故?」
心を見透かそうとするかのように見つめられて、とても居心地が悪い。
「大きな変化は苦手なんです。それなのに、やっと慣れてきたり何とか決心したりしたところでいつも全てひっくり返されたりするから」
「たしかに、ドイツから日本に来てまだ数ヶ月ですしね。その点は申し訳ないと思っています」
本当に思っているのだろうか?
「教育方針の変更で飛び級したり特別クラスに行ったり、経済制裁とか渡航中止勧告で一時帰国したり、いろんなことに振り回されてばかりです」
「国レベルで異動する仕事は大変ですね」
「ワーキングマザーに対してブラックな上に、国際情勢に関して先見の明がないんですから、海外に事業展開する企業としてダメなんじゃないでしょうか」
「結構シビアな評価しますね」
ぼんやりしているように見えて、という含みがある気がする。
「そんなに私は有益なんでしょうか?」
祓い屋の価値観、いまいちピンとこないけど。
「ええ、とても。妖力は遺伝的な要素が大きいですが、見える者同士であっても必ず見える子が生まれるとは限りません。見える者が絶えても妖怪から買った恨みは消えない。見える者が生まれなくなった家は、妖怪からの復讐に怯えることになるのです」
「一門というくらいそれなりにたくさんの家があるのなら、どこかの家には見える子どもが生まれるんじゃないかと思うんですが…」
「ええ、まさに見える者不在の家が出たら助け合おうという打算で契約し合った祓い屋の集まりが的場一門なので、それなりに安泰ではありますね。ただやはり妖力の強さは運次第なので他家を守れるほどの力を持つ者が常にいるとは限らない。実際、一門に入ったけれども絶えてしまった家もありますしね」
話の途中で的場さんは1.2秒天井を、『私の父でさえ、見えていなかった』と言っていた護符文字を見た。
「何のために右目を狙われ続けているんですか?」
大した効果ないじゃんと思ったのがつい口に出てしまった。
「あはは、手厳しいですね。まあ、右目を狙われ続けているから何とかやれていると言えなくもないのが現状ですね。それくらい妖力の遺伝は不確実なのです」
何とかやれているなら、人を巻き込まずにそのまま内輪で何とかやっててくれればいいのに。そうもいかないか。
「今日いろいろな記録を見て、…この辺りの祓い屋は的場一門一強という印象を受けたのですが、そうだとしたら、他家に比べて的場家は必死になって私を手に入れる必要がないんじゃないかと思って…。私が有益な存在というよりむしろ…他家に渡ることで均衡を崩す厄介な存在だから自分のところに囲っておきたいのかなと思ってました。一門内には的場さんと年齢的に合う女性もいるようですし、私はあわよくばどこかに留学でもさせてもらえるかなと思っていたんですが、そう単純な話でもないんですね」
「ええ、君の推測はだいたい合っていて、他家に渡らないようにという理由は確かに大きいですが、最初から言っているように、翼の妖力をもらうことと妖力を持つ後継を産んでもらうことが主な目的なので、留学させる気はありませんよ。強者は強者なりに、力を必要とする理由があるものです。祓い屋トップの的場一門にとっても、君はかなり魅力的なんですよ」
「一門内で結婚を繰り返すと血が濃くなるとか、新参の家から嫁を取ると古参の家との間で角が立つとか、パワーバランスを保つのに面倒がなく、音羽の血となれば周囲も納得しやすいとかそういうことですか?」
「君は本当に頭がいいんですね。まさにそういうことです。お母様の実家がカルトだとか、高い壺買ってる人と言われた時は衝撃的でしたが、高い情報収集能力に論理的な推論ができるから、あれこれ訊かなくても自分で正答に辿り着けるんですね。私のことが怖くていろいろ訊けないのか、眠って現実逃避しているのかと思っていました、すみません」
にこにこと謝られたけれど、実際は的場さんの言う通りだ。
「…現実逃避をしていたから、叔母の家にいるうちに調べておかなかったんです…」
まぁ、来て様子を見てから調べたほうが手掛かりが多いから効率的だというのもあるけれど。
「そうでしたか。それで、現実を見る気にはなったんですか?」
いまいち胸の内の読めない笑顔で尋ねる彼に、本音を話すべきか迷うところだ。
「…あまり先のことは、考えたくないんです」
「何故?」
心を見透かそうとするかのように見つめられて、とても居心地が悪い。
「大きな変化は苦手なんです。それなのに、やっと慣れてきたり何とか決心したりしたところでいつも全てひっくり返されたりするから」
「たしかに、ドイツから日本に来てまだ数ヶ月ですしね。その点は申し訳ないと思っています」
本当に思っているのだろうか?
「教育方針の変更で飛び級したり特別クラスに行ったり、経済制裁とか渡航中止勧告で一時帰国したり、いろんなことに振り回されてばかりです」
「国レベルで異動する仕事は大変ですね」
「ワーキングマザーに対してブラックな上に、国際情勢に関して先見の明がないんですから、海外に事業展開する企業としてダメなんじゃないでしょうか」
「結構シビアな評価しますね」
ぼんやりしているように見えて、という含みがある気がする。
