3-1 白黒のアドレッセンス・前編
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駅の方に向かって走る。
4日前に見た時刻表では電車はしばらく来ないけれど、その先のバス停は後10分45秒ほどでバスが来る。
2分ほどで後ろから何かが追ってくる気配、多分白いお面の細長い妖怪。
走って走って…駅を過ぎて、バス停留所。
バスが停まっている。
家を出てから11分20秒。
走って走って…バスに乗り込む。
近かったから後ろから乗っちゃった!と思ったけれど、機械から整理券らしき紙が出てきて、後ろから乗るのが正解だったと一安心する。
長く走っていて急に止まると苦しくなるので、一度最前列まで歩いてから、後ろから2列目に座った。バスには誰も乗っていない。
追ってくる白面達が窓から見えたけれど、1kmを過ぎた所で急に立ち止まり追ってこなくなった。主人とそれほど離れて行動できる妖怪ではないのかもしれない。
自分の心臓の鼓動が耳でも聞こえる。息が苦しい。
追手がいなくなったことで、やっと詰めていた息を吐いて、バスの行き先表を見る。…全部知らない停留所名。とりあえず、乗り込んだバス停は表の最初の方なので、終点まで乗ればそこそこ遠くへ行けるのかな程度の推測はできるけど、市街地で降りるべきか終点まで行くべきか迷うところだ。
用があるのか?と訊かれたけれど、特に用があるわけでもなく、どこかに行きたいわけでもなく、行く宛があるわけでもなく…。
ただ嫌だったから、怖かったから逃げてきてしまった。
怖い、よく知らない人と話すのは苦手、痛いのは嫌だ…
ひとりになって、何でも自由にできるようになったら、私は何がしたいんだろう?
どこへ行こう?
空を飛び回る赤蜻蛉。
稲刈りを終えた田んぼ。
竹を組んだ棒に掛けて天日干しされている稲。
地域によって稲の干し方が違うのだろうか。音羽のおじいちゃんおばあちゃんの家の近くでは、地面に立てた杭に稲を掛けて干していた。
音羽のおじいちゃんおばあちゃんに会いたいなあ。
土とお日さまと書物の匂い…
書物…図書館に行こうかな。
バス停と料金の一覧表の『図書館前』という停留所が目についた。
とにかく、知らないことが多すぎる。
ここがどこなのかもわからない。
日々見かける名前も知らない妖怪たち。
最近やたらと妖怪に狙われる理由。
祓い屋という職業。
的場一門という祓い屋の集まり。
妖力の強い後継が欲しいからよく知らない人を急に結婚相手に決めるとか…今どきそんなことある?
邸を離れて、冷静に考えるとそんなふうに思えてくる。
もっとちゃんと調べておけばよかった。
2週間後に来てもらうという話だったはずなのに、叔母さまから話を聞いた7日後に連れて来られた。
2週間後というのも十分急な話だけど。
4日前に見た時刻表では電車はしばらく来ないけれど、その先のバス停は後10分45秒ほどでバスが来る。
2分ほどで後ろから何かが追ってくる気配、多分白いお面の細長い妖怪。
走って走って…駅を過ぎて、バス停留所。
バスが停まっている。
家を出てから11分20秒。
走って走って…バスに乗り込む。
近かったから後ろから乗っちゃった!と思ったけれど、機械から整理券らしき紙が出てきて、後ろから乗るのが正解だったと一安心する。
長く走っていて急に止まると苦しくなるので、一度最前列まで歩いてから、後ろから2列目に座った。バスには誰も乗っていない。
追ってくる白面達が窓から見えたけれど、1kmを過ぎた所で急に立ち止まり追ってこなくなった。主人とそれほど離れて行動できる妖怪ではないのかもしれない。
自分の心臓の鼓動が耳でも聞こえる。息が苦しい。
追手がいなくなったことで、やっと詰めていた息を吐いて、バスの行き先表を見る。…全部知らない停留所名。とりあえず、乗り込んだバス停は表の最初の方なので、終点まで乗ればそこそこ遠くへ行けるのかな程度の推測はできるけど、市街地で降りるべきか終点まで行くべきか迷うところだ。
用があるのか?と訊かれたけれど、特に用があるわけでもなく、どこかに行きたいわけでもなく、行く宛があるわけでもなく…。
ただ嫌だったから、怖かったから逃げてきてしまった。
怖い、よく知らない人と話すのは苦手、痛いのは嫌だ…
ひとりになって、何でも自由にできるようになったら、私は何がしたいんだろう?
どこへ行こう?
空を飛び回る赤蜻蛉。
稲刈りを終えた田んぼ。
竹を組んだ棒に掛けて天日干しされている稲。
地域によって稲の干し方が違うのだろうか。音羽のおじいちゃんおばあちゃんの家の近くでは、地面に立てた杭に稲を掛けて干していた。
音羽のおじいちゃんおばあちゃんに会いたいなあ。
土とお日さまと書物の匂い…
書物…図書館に行こうかな。
バス停と料金の一覧表の『図書館前』という停留所が目についた。
とにかく、知らないことが多すぎる。
ここがどこなのかもわからない。
日々見かける名前も知らない妖怪たち。
最近やたらと妖怪に狙われる理由。
祓い屋という職業。
的場一門という祓い屋の集まり。
妖力の強い後継が欲しいからよく知らない人を急に結婚相手に決めるとか…今どきそんなことある?
邸を離れて、冷静に考えるとそんなふうに思えてくる。
もっとちゃんと調べておけばよかった。
2週間後に来てもらうという話だったはずなのに、叔母さまから話を聞いた7日後に連れて来られた。
2週間後というのも十分急な話だけど。
