3-1 白黒のアドレッセンス・前編
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抜き足差し足…というほどではないけれど、出来るだけ足音を立てないように、かつ目立たないように玄関に向かう。
静かに下足入れを開けて、ローファーを取り出す。
運動靴の方が動きやすいのだろうけれど、体育用の運動靴は学校に置いてきてしまった。このまま転校となるなら、持ち帰るべきだった。
急いで靴を履いて玄関扉に手をかけたところで、
「さやぎ様、…」
と後ろから声をかけられた。
振り返ると、4mほど離れたところに和服姿の男の人がいて、
「どちらへ?」
と尋ねながらこちらへ歩いてくる。
「…外へ」
無視して出て行こうか2秒ほど迷ってから答えを返す。呼ばれた時点で振り返らずに出て行けばよかった。
「どのようなご用向きでしょうか?」
「えっと…用…外に行きたい以外ないですけど…」
「庭までなら差し支えありませんが、門の外に出るのは頭首が戻られてからにしていただければと思います」
「…どうしてですか?」
「そのように伝えるよう、頭首から申しつかっておりますので」
「…そうですか…」
丁寧だけれど有無を言わさないような事務的な口調に、良い返答が思い浮かばず、返事と一礼をするのみに留めて庭に出る。
暑くも寒くもない、暗くも眩しくもない、曇り空。
手入れの行き届いた日本風の庭。
一見したところ、目の届く範囲には誰もいない。
誰もいないけれど、何かの気配があるような、ないような。
少し歩いて門のそばに辿り着く。特に何もない、誰もいない。
門には大きな扉と小さな通用口の扉。結界だろうか?目を凝らすと、薄い膜のような、とても大きなシャボン玉のようなものに敷地全体が包まれているように見えるけれど、門は膜の外側5mmにある。とりあえず通用口の扉のかんぬき錠に手を伸ばす。
とても強い静電気のような、ばちんと弾かれる感覚があって、錠に触れることができない。
「_私を通らせて_」
錠に左手の甲をかざす。
ふわりと溶けるように扉の周りの結界が開き、カチャっという音と共に錠が外れた。
「さやぎ様、お戻りください」
さっき玄関先で声をかけてきた人と同じ声。
「頭首が戻られるまで、中でお過ごしください」
「何かご用がおありでしょうか?」
右側から別の声。
今度は振り返らずに扉から外に飛び出した。
静かに下足入れを開けて、ローファーを取り出す。
運動靴の方が動きやすいのだろうけれど、体育用の運動靴は学校に置いてきてしまった。このまま転校となるなら、持ち帰るべきだった。
急いで靴を履いて玄関扉に手をかけたところで、
「さやぎ様、…」
と後ろから声をかけられた。
振り返ると、4mほど離れたところに和服姿の男の人がいて、
「どちらへ?」
と尋ねながらこちらへ歩いてくる。
「…外へ」
無視して出て行こうか2秒ほど迷ってから答えを返す。呼ばれた時点で振り返らずに出て行けばよかった。
「どのようなご用向きでしょうか?」
「えっと…用…外に行きたい以外ないですけど…」
「庭までなら差し支えありませんが、門の外に出るのは頭首が戻られてからにしていただければと思います」
「…どうしてですか?」
「そのように伝えるよう、頭首から申しつかっておりますので」
「…そうですか…」
丁寧だけれど有無を言わさないような事務的な口調に、良い返答が思い浮かばず、返事と一礼をするのみに留めて庭に出る。
暑くも寒くもない、暗くも眩しくもない、曇り空。
手入れの行き届いた日本風の庭。
一見したところ、目の届く範囲には誰もいない。
誰もいないけれど、何かの気配があるような、ないような。
少し歩いて門のそばに辿り着く。特に何もない、誰もいない。
門には大きな扉と小さな通用口の扉。結界だろうか?目を凝らすと、薄い膜のような、とても大きなシャボン玉のようなものに敷地全体が包まれているように見えるけれど、門は膜の外側5mmにある。とりあえず通用口の扉のかんぬき錠に手を伸ばす。
とても強い静電気のような、ばちんと弾かれる感覚があって、錠に触れることができない。
「_私を通らせて_」
錠に左手の甲をかざす。
ふわりと溶けるように扉の周りの結界が開き、カチャっという音と共に錠が外れた。
「さやぎ様、お戻りください」
さっき玄関先で声をかけてきた人と同じ声。
「頭首が戻られるまで、中でお過ごしください」
「何かご用がおありでしょうか?」
右側から別の声。
今度は振り返らずに扉から外に飛び出した。
