ハロウィンパーティー?

「結局、私達…大人達にイタズラを仕掛けられたって事なのかしら?」

みんなで集めたお菓子を食べながら、思わずといった様子で音瑠ねるは呟いた。

「まぁ、結局デマだったわけだし……よかったんじゃないか?そもそも、俺達も大人なんだがな……」

隣に座った倉世くらせは、パンプキン味のクッキーを食べながら言う。

「街で連れて歩いている誰かがいたら、当たり前だがパニックになるだろ?」
「そうなったら、俺達はハロウィンどころではなくなるな。駆り出されるから……」

赤いトマトジュースを飲みながら、七弥ななやは静かに呟く。

「また駆り出されたら、あの悪夢が蘇るかもしれないだろ……」
「ははは…」

同じ経験をした倉世くらせは、七弥ななやの言葉に笑うしかなかった。
そして、何かを思い出したかのように首をかしげる。

「そういえば、大蛇の話を最初にしたのは――」
「あぁ、白季しらきだった気がするぞ」

そう答えた七弥ななやは、視線を白季しらきに向けた。
当の白季しらきは棺桶の蓋を開けて、本当にカボチャ色の大蛇をつついている。

「品種改良で大きくならないようにしたのに、三人共君が苦手なんだって」
「比較的に大人しい大蛇の子を借りてきたのにな……まぁ、作った本人は当局に捕まったがな」

白季しらきの言葉に、同意するように頷いた杜詠とよみがちらりと倉世くらせ達を見た。
ついでに、制作者の不吉な末路話もしたが。

「ギャー、止めろっ!巻き付けるな!」

悲鳴をあげたのはカボチャ色の大蛇が白季しらきの手を逃れ、身体に巻き付かれた希衣沙きいさだ。

「あら、貴方を気に入ったようですわね」

クスクスと楽しそうに笑っているのは紅茶を飲み、マフィンを口に運ぶ樟菜くすなだった。
樟菜くすなの隣で織葉おりはが紅茶を飲みながら、その様子を静かに見ていた。

(お母様…それに織葉おりはさんも、大蛇は苦手ではないのね)

母親の強さというものを違った場面で見たかった、と音瑠ねるは密かに思う。

「で、結局のところ…誰主催なんだ?このパーティーは」

倉世くらせは解けない謎に、首を傾げながらお菓子を食べる。

「……多分、あそこにいる白季しらき杜詠とよみ。そして、希衣沙きいさやご婦人達だと思うぞ」

ジュースを飲み干した七弥ななやは、白季しらき達の方を指した。

白季しらきは別として、希衣沙きいさ達五人が他の仮装した者達に菓子を渡していたのは本当の事だろうが…」
「まぁ、道中賑やかな声は聞こえてきたからな」

納得したように頷いた倉世くらせはこれ以上追求する事を諦め、楽しそうに過ごすみんなの姿を見てふと思う。

(なんだかんだ言っても楽しかったしな…)

こうして、ハロウィンの夜は更けたのだった。




「いや、ちょっと待て。一番気になったんだが…希衣沙きいさは何故、蓑虫状態になったんだ?」

気になっていたらしい倉世くらせは、希衣沙きいさの身体に巻き付いた糸を見つめて訊ねた。

「これですか、倉世くらせ殿?」

白い糸の中をもごもごと動いた希衣沙きいさは、笑みを浮かべながら答える。

「木の枝に糸を張って待っていたんですが、子供達にお菓子を渡しているうちに崩れて……」
「それで蓑虫状態、か」

思っていたとおりの結果に、七弥ななやは呆れたようにため息をついた。

「それよりも、当局に捕まった誰かを知りたくないか?」
「…まぁ、確かにそうですわね」

同意するように頷いた音瑠ねるは、カボチャ色の大蛇と戯れている杜詠とよみを手招きで呼んだ。
手招きで呼ばれ、首を傾げながら杜詠とよみがやって来た。

「なんだ?何か気になる事でもあったのか……」
「その大蛇の造り主は何者だ?」

大蛇に目を向け、首を傾げた倉世くらせは訊ねる。

「ついでに何故、当局に捕まった?」
「あぁ…それは前日にカボチャ柄の大蛇を逃がして、辺り一帯が大騒ぎになってな」

笑いながら答えた杜詠とよみは、カボチャ色の大蛇を腕に巻き付けるとその頭を撫でた。
どうやら、杜詠とよみの連れている大蛇の他にカボチャ柄の大蛇もいるらしい。

(そいつ、張り切りすぎだろ。何故、大蛇をハロウィンに染めたかったのか……わからない)

頭をおさえた倉世くらせは後日後始末を手伝わされそうだと、大きくため息をついた。


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