11話:いくべき未来
「…さて、御使いを名乗る者よ。貴女の目的は何ですか?」
御使いの少女の方へ顔を向けた天宮 様が訊ねる――何故こんな事件を引き起こしたのかを、数多の生命を犠牲にして御使い は何を成そうとしていたのかを。
確かにわからない事だらけだもの…何時 、熾杜 と会ってあんな悲劇を起こしたのか私も知りたい。
彼女は腕を組むと頬を膨らませて、まるですねたように口を開いた。
『べーつに、ただ遊んでただけじゃーん。わたし達、前々から【迷いの想い出】に繋いでみたかったのよね』
そこに玩具 があったら、誰だって遊ぶでしょう?と彼女は続ける。
「…元々、企画の違うシステムだというのにどうやって?」
少女の様子をうかがうように、神代 さんが訊ねた。
私には【古代兵器 】のシステムとか、よくわからないけど…【迷いの想い出】とあの少女の本体というものとは、互換性がなく相性も悪いのだと後日教えてもらったからわかる。
でも、この時の私は静観しかできずにいたし…私自身も御使い が遊び感覚であんな悲劇を引き起こした理由を知りたかった。
彼女は神代 さんの問いに、不思議そうに首をかしげて答える。
『えーそうだっけ?んーママはそんな事言ってなかったけどな~…あ、でも【迷いの想い出】に入り込むの時間かかったっけ』
ママの力も貸してもらったんだー、と嬉しそうに言っている彼女は本当に幼子のように思えた。
あれ…熾杜 が幼く感じた理由って、もしかしてこの子の影響なのかもしれない。
こういうのって似た性質、っていうのかな?
「…母、か。どれ の事を言っているのか…さしずめ冥 国にあるやつか?」
何か心当たりがあったのか、まだ残る化身を斬った悠河 さんが言った。
「ここへ来る前に、塑亜 から可能性のひとつとして教えてもらったが…お前は、その分身体 か」
『うふふ、そうよ。私は冥 国にいるママの娘…遊びたいって言ったら、快く送りだしてくれたわ』
悪い事をしている自覚がない彼女は、本当に嬉しそうに笑っている。
――でも彼女が冥 国から麟 国の、森に隠された【迷いの想い出】に入り込んで数多の生命を弄んだ元凶だとわかった。
見た目どおり、善悪の区別がつかない幼い子供なのかもしれない。
「どうやら【機械仕掛けの神 】より、最近生まれた個体のようだな…昔、情報収集用の分身体が現れていたという話を聞いたからな」
それまで様子をうかがっていたらしい古夜 さんが、顎に手を当てて思いだすように呟いた。
最近生まれたから、御使い の見た目や言動も幼かったんだね…でもだからといって、赦されるわけじゃないけど。
「ふざけた事を…あれは、本当に忌々しい存在ですね」
怒りを顕わにさせている天宮 様の言葉に、同意するように八守 さん達が頷いて御使いを睨みつけている。
彼らに睨まれている彼女だけど、あまり気にした様子もなくころころと笑った。
『やっだなー、そんな昔の事なんかわたしは知らないも~ん!まぁ情報としては知ってるけど、それはママに教えてもらっただけだし?わたしに言われても困るよ』
知らない、と言いながら彼らが何に怒りを抱いているのか――本人も言っていたけど、母親から情報として教えられているから知っている程度の感覚でしかないのかも。
これが【古代兵器 】の分身体という存在…私達の先祖達は、これらを造りだして何をしようとしていたのだろう?
「真那加 さん…」
私の傍に、静かに近寄った神代 さんが囁きかけてきた。
「この御使いは本体から生みだされたばかりで経験が浅い故に、注意力散漫で隙だらけです。僕らが話しかけて注意をそらしますから、その隙に中枢の切り替えをお願いします。そうすれば【迷いの想い出】は再起動しますから、この状況を打開できるはずなので」
神代 さんが私の傍に来たのに、すぐ近くにいる御使いは全然気にしていないみたい…経験が浅い、というより何をしているのかわからないのかもしれない。
だから頷いて答えた私はタイミングを計る為、彼らの会話に耳を傾ける。
『そもそも、ママが少し囁いただけで暴走した方が悪いんでしょう?試作体 だか何だか知らないけど、本物 はママだけだもの』
「…他にも同一の兵器が何体か存在しているのに、お前の母親だけが本物なのか?」
感情の読めない様子で、古夜 さんが疑問をぶつけた。
【古代兵器 】である【機械仕掛けの神 】というものが、冥 国にあるのは会話の内容からわかったけど他国にもあるの?
そういえば天宮 様と千森 医院の病室で話をした時、6年前の事件について教えてもらったけどそれと関係ある事なのかな。
もしそうなら御使い がじゃなく、母親である【機械仕掛けの神 】が生命を弄んでいたという事だよね。
それを眺めて楽しんでいたのだとしたら赦せない、私だけでなく理哉 さんや生き残った人達もきっと同じ気持ちになるはず。
御使いの少女の方へ顔を向けた
確かにわからない事だらけだもの…
彼女は腕を組むと頬を膨らませて、まるですねたように口を開いた。
『べーつに、ただ遊んでただけじゃーん。わたし達、前々から【迷いの想い出】に繋いでみたかったのよね』
そこに
「…元々、企画の違うシステムだというのにどうやって?」
少女の様子をうかがうように、
私には【
でも、この時の私は静観しかできずにいたし…私自身も
彼女は
『えーそうだっけ?んーママはそんな事言ってなかったけどな~…あ、でも【迷いの想い出】に入り込むの時間かかったっけ』
ママの力も貸してもらったんだー、と嬉しそうに言っている彼女は本当に幼子のように思えた。
あれ…
こういうのって似た性質、っていうのかな?
「…母、か。
何か心当たりがあったのか、まだ残る化身を斬った
「ここへ来る前に、
『うふふ、そうよ。私は
悪い事をしている自覚がない彼女は、本当に嬉しそうに笑っている。
――でも彼女が
見た目どおり、善悪の区別がつかない幼い子供なのかもしれない。
「どうやら【
それまで様子をうかがっていたらしい
最近生まれたから、
「ふざけた事を…あれは、本当に忌々しい存在ですね」
怒りを顕わにさせている
彼らに睨まれている彼女だけど、あまり気にした様子もなくころころと笑った。
『やっだなー、そんな昔の事なんかわたしは知らないも~ん!まぁ情報としては知ってるけど、それはママに教えてもらっただけだし?わたしに言われても困るよ』
知らない、と言いながら彼らが何に怒りを抱いているのか――本人も言っていたけど、母親から情報として教えられているから知っている程度の感覚でしかないのかも。
これが【
「
私の傍に、静かに近寄った
「この御使いは本体から生みだされたばかりで経験が浅い故に、注意力散漫で隙だらけです。僕らが話しかけて注意をそらしますから、その隙に中枢の切り替えをお願いします。そうすれば【迷いの想い出】は再起動しますから、この状況を打開できるはずなので」
だから頷いて答えた私はタイミングを計る為、彼らの会話に耳を傾ける。
『そもそも、ママが少し囁いただけで暴走した方が悪いんでしょう?
「…他にも同一の兵器が何体か存在しているのに、お前の母親だけが本物なのか?」
感情の読めない様子で、
【
そういえば
もしそうなら
それを眺めて楽しんでいたのだとしたら赦せない、私だけでなく