9話:鎮めの供物
「このようなもの、機能停止させられれば〈咎人〉の血を引く者達も生贄を差しださずに済むというのに……」
本当に、小さな小さな呟きだった。
この呟きだけで今まで数多の、〈咎人〉の一族から選ばれた生贄達を見てきたのだろうと推察できる。
きっとたくさんの哀しみの声を聞いてきたんだろうな。
一体誰が、どんな目的があって【迷いの想い出】というものを――消耗品といえる〈咎人〉の一族という存在を造ったのだろう?
「…よし。あとは長の承認さえあれば、問題なく変更ができるね」
「もう少し時間がかかるかと思いましたが、ほぼ
…そういえば、
どんな人なのかわからないけど、きっとすごい人なんだろうな~と想像していると
そもそも、大きな怪我のせいで休まざるを得なくなったとか。
今は怪我の方も回復したそうだけど、もう少し療養とリハビリをする為に
その、教会からここに繋いで
旧暦時代の遺物ともいえる機械についてわからない私は、
「多分だけど【
自分達は永い時間があるから旧暦時代の機械についてを調べているからできなくはないんだよ、と言葉を続けた。
永い時間をもってしてもすべてを知る事ができないなんて、本当に当時の科学技術力はすごかったんだろうな。
改めて、そんな事を思った。
……あれ?
そういえば、だけど…〈神の血族〉の人達だけしかいなかった時代は、どんな生活をしていたんだろう?
「うーん…僕らが生まれた時代は、すでに人からもたらされた科学技術と魔道科学技術が共存していたからね。廃れてしまったものもあるみたいだけど、それらを使ってたよ」
『魔導科学』というのは世界の生命力ともいえる『魔素』と呼ばれる物質を利用したもので、便利であったそうだけど
――とはいえ〈神の血族〉は自分達の生活様式を変えられるところは変えて、変えなくても大丈夫なところはそのままにしていたらしい。
「『魔素』を持つ〈
自虐的に笑う
私の質問で、昔あった辛い出来事を思い出したんだろう…なんだか彼が泣いているようにも見えたから、安心させたくて。
「…ありがとう、
抱きしめ返してくれた
そんな様子を、気配で気づいたのだろう
「恋人同士のじゃれ合いをしているところ申し訳ないのですが、離れがたいのも理解してますのでそろそろいいですか?」
その言葉に、私達は慌ててお互いの身体を放した。
申し訳なさと恥ずかしさで俯いていたら、
「はぁ、だから
「うっ…その、バレバレだったかぁ」
動揺している様子の
――6年前は、まだ私達がお互いの恋心を伝えあっていない時期だったっけな。
確かに、隠していた恋心がバレバレだったというのは気恥ずかしいものだよね。
うぅ…なんだか、私まで恥ずかしくて顔が赤くなってきた気がするよ。
たくさんの生暖かな視線を感じつつ、何事もなかったような様子の
この四角い端末が、中枢となる
そして、今中枢に宿っている
つまり――私が、その『罪』を背負って生きていく。
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