7話:記憶の海風
笑っている水城 さんを包み込む黒い靄のようなもの…あれは、一体何?
よく覚えていないけど、この光景をあの日の悪夢のような出来事 でも見かけたような気がする。
…あれ?何処で同じような事が起こったんだっけ……ぁ、確か『お祭り』の時――
思考に耽っていた私の背中に、誰かがそっと手を添える気配を感じた。
そちらに視線を向けると、天宮 様が周囲の警戒を強めながら私にだけ聞こえるくらいの小さな声で囁きかける。
「少し落ち着きなさい…それと、もう彼女は貴女の知っている水城 ではありません」
水城 さんではない、と言われても…姿形は水城 さんにしか見えない――でも、確かに彼女はいつもと違う表情を浮かべていた。
……だとしたら、今目の前にいる彼女は誰で何を目的としているというの?
そういえば、あの笑い方…私の知っている子に似ているような気がする。
困惑している私の隣で、天宮 様が深いため息をついた。
「しかし…まさか、あの子 の持つ共鳴の力を利用されるとは思いませんでした」
共鳴する力――そういえば、医院を襲ったという化身について教えてもらった時に天宮 様が言っていたよね?
――…彼女は『共鳴してしまう因子』をより多く持って生まれたようですから。
つまり、医院を襲った化身というのが…もしかすると、この状態の水城 さんなのかもしれない。
理哉 さんを助け、理哉 さんの友人を救おうと霧深い中を行ってしまった水城 さん……
向かった先で何があって、水城 さんは操られ…ううん、心を殺されてしまった。
共鳴する力って何…?
どうして、水城 さんがこんな目にあわされているの?
そして…何故、私の生命を狙っているの?
「あなたは…一体、誰なの?」
わからない事だらけの私は、思わず彼女にそう訊ねていた。
私の問いにきょとんとした表情を浮かべた彼女は、わざとらしい笑みを浮かべると答える。
「誰って…やだ、忘れちゃったの?私の事――あ、もしかして私の存在なんて元々興味なかった?ふふふ…」
彼女の、この反応…やっぱり、私とは知り合いなのかな?
記憶にないから確信が持てないけど、あの表情やこの棘のあるような言い方――そういえば、私は彼女が苦手だったと思う。
……だから、あまり関わらないようにしていた。
そして、天宮 様に視線を移した彼女は口元を歪める。
「その力、せっかくだから利用しようと思ったのに…思わぬ邪魔が入っちゃったの。ねぇ、もう大丈夫だと思うから…それ、頂戴?」
そう言った彼女は、自身が纏っている黒い靄に私や天宮 様を襲うようけしかけはじめた。
どうしたらいいのかわからずにいる私に、天宮 様が耳元で囁く。
「動かずに、そのナイフを構えていなさい…それだけで、貴女は大丈夫です」
――私は大丈夫…って、天宮 様は?
言われるがまま、咄嗟に構えるように持ったけど…すぐに、隣にいる天宮 様が無防備な状態だと気づいた。
どうしたらいいのか…と内心慌てている私を余所に、天宮 様は特に慌てていない。
「何で…?」と首をかしげていると、一瞬で天宮 様の姿が私の視界から消えた。
その瞬間、天宮 様がいた場所に黒い靄が突き刺さる…と同時に、私も黒い靄が包み込まれてしまう。
あまりの恐ろしさに私は咄嗟に目を閉じたけど、一瞬で包み込んでいた黒い靄 は霧散してしまった。
「ちっ…いつの間に、そんなもの用意して持ってたの?」
舌打ちをした彼女は、私が持っていたナイフに目を向ける。
……多分、このナイフに天宮 様の血がつけられている事に気づいたのかな。
姿が見えなくなった天宮 様の居場所を急いで探してみると、瞬時に助けられたようで八守 さんと一緒にいた。
一緒にいた、というか…天宮 様が脇に抱えられている――そんな状態で、私の右斜め後ろに移動していた。
八守 さんって、天宮 様を敬っているのに時々扱いが少しだけ雑な気がしてならないんだけど……
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よく覚えていないけど、この光景を
…あれ?何処で同じような事が起こったんだっけ……ぁ、確か『お祭り』の時――
思考に耽っていた私の背中に、誰かがそっと手を添える気配を感じた。
そちらに視線を向けると、
「少し落ち着きなさい…それと、もう彼女は貴女の知っている
……だとしたら、今目の前にいる彼女は誰で何を目的としているというの?
そういえば、あの笑い方…私の知っている子に似ているような気がする。
困惑している私の隣で、
「しかし…まさか、
共鳴する力――そういえば、医院を襲ったという化身について教えてもらった時に
――…彼女は『共鳴してしまう因子』をより多く持って生まれたようですから。
つまり、医院を襲った化身というのが…もしかすると、この状態の
向かった先で何があって、
共鳴する力って何…?
どうして、
そして…何故、私の生命を狙っているの?
「あなたは…一体、誰なの?」
わからない事だらけの私は、思わず彼女にそう訊ねていた。
私の問いにきょとんとした表情を浮かべた彼女は、わざとらしい笑みを浮かべると答える。
「誰って…やだ、忘れちゃったの?私の事――あ、もしかして私の存在なんて元々興味なかった?ふふふ…」
彼女の、この反応…やっぱり、私とは知り合いなのかな?
記憶にないから確信が持てないけど、あの表情やこの棘のあるような言い方――そういえば、私は彼女が苦手だったと思う。
……だから、あまり関わらないようにしていた。
そして、
「その力、せっかくだから利用しようと思ったのに…思わぬ邪魔が入っちゃったの。ねぇ、もう大丈夫だと思うから…それ、頂戴?」
そう言った彼女は、自身が纏っている黒い靄に私や
どうしたらいいのかわからずにいる私に、
「動かずに、そのナイフを構えていなさい…それだけで、貴女は大丈夫です」
――私は大丈夫…って、
言われるがまま、咄嗟に構えるように持ったけど…すぐに、隣にいる
どうしたらいいのか…と内心慌てている私を余所に、
「何で…?」と首をかしげていると、一瞬で
その瞬間、
あまりの恐ろしさに私は咄嗟に目を閉じたけど、一瞬で包み込んでいた
「ちっ…いつの間に、そんなもの用意して持ってたの?」
舌打ちをした彼女は、私が持っていたナイフに目を向ける。
……多分、このナイフに
姿が見えなくなった
一緒にいた、というか…
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